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"大衆演劇(旅芝居)の在る状態"が好きなので

春陽座「殺陣師一代 市川段平」@千鳥劇場2017年10月7日

お昼1回のみの上演。2時間近く、休憩なしの通し狂言でした。

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お芝居終了後の舞台口上 沢田正二郎役の澤村心座長

 

お芝居の概要と配役

「リアリズムが入った”殺陣”が欲しい」—— 稀代の俳優・澤田正二郎に言われ、段平は考え続ける・・・昭和初期の新国劇で殺陣師として活躍した人物を描いた芸道劇。
1幕4景、1時間55分。

  • 市川段平 澤村新吾
  • 市川段平の娘 絹代 澤村かな
  • 劇場主 大谷社長夫人 北条真緒
  • 座員 板倉  澤村かずま
  • 座員 島田  澤村京弥
  • 座員 辰巳  澤村拓馬
  • 座員 久松  澤村みさと
  • 座員 長谷川 澤村みき
  • 座員 倉橋  松田勝則(ゲスト)
  • 澤田正二郎  澤村心

 

第2場面の、段平が亡くなった妻への思いを語る独白部分。20分超え、、、この時、客席にすこーしダレる感じが見られたのですが、第4場、段平が沢田正二郎新国劇の役者たちに「国定忠治」の最期の立ち回りをつける大詰めから、そんな途中のゆるみも一気に払拭。

舞台も客席も全員ただ一点、段平の一挙手一投足を見つめる、凄まじい30分(こっからまだ30分!!)の始まりでした。
 

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市川段平役 澤村新吾 劇団責任者

 

それは映画でいうところの、ノーカットの長回しで、見ているようで、、、
タルコフスキーの映画「ノスタルジー」が頭に浮かぶ

実に生々しい「殺陣指導」だった。

「上手に流れてから、忠治を囲んで3回、ぐるぐるっと回る」
「板倉はん、怪我せんように飛んでおくんなはれや」
「ここで、縄を打ってくる!」

1つ1つの指示がすごくわかりやすい。
まるで座員の一人にでもなって覚えるつもりで笑、段平の最期の殺陣に見入りました。

 

「演技を通り越して本気で泣いてました」
終演後、送り出しの時、段平の娘役のかなさんがホッとした表情で、笑いながら仰いました。

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澤村かなさん

 

もう1つ。忘れられないのが、立ち回りをつけながら何度も倒れる段平に向かって、かずま座長が「段平さん!」ではなく「せんせいっ!!」と叫んだことです。この声で完全に頭ん中が飛び、身体が熱くなりました。

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澤村かずま座長

 

段平が倒れるのは演技なのか、「澤村新吾」が倒れているのではないか?

段平の流す涙は、段平の涙ではなく、「澤村新吾」が泣いているのではないか?

劇中の新国劇の団員が、必死で段平の殺陣についていく姿は、演技ではなく、劇団指導者の演技を必死で覚えようとしている座員の姿ではないか?

前日の稽古の場面に巻き戻っているのではないか?とさえ思えて。

このお芝居のテーマが「リアリズムの追求」。

そこに、、、これはわたしの勝手な想像ですが、、、演じている劇団、役者一人一人が背負っている現実=リアルが重なるからこそ、段平や沢田が、この世に確かに存在した人たちなんだと思えてくる。

役どころを越えて「せんせい!」と叫ぶところにこそ、揺さぶられる。作り物でない、身体と心を張ったリアルなお芝居が、こころに焼き付いて離れません。

 

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澤村京弥さん

 

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澤村みさとさん

 

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澤村拓馬さん

 

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澤村みきさん

 

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澤村心座長 

 

「寒くなりましたね。皆さまお風邪など召されていませんか・・・」

「段平」から1ヶ月後、11月のオーエス劇場。
開演前に流れる、新吾さんのアナウンスに、客席がいっぺんに和みます。

劇場の前に自転車が並び、客席は芝居好きでいっぱいに。なんだか昔に時間が巻き戻ったのを見ているようで、嬉しくてたまらかった1か月間でした。

 

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