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"大衆演劇(旅芝居)の在る状態"が好きなので

「股旅物」の精神、作者の真実、月見草 長谷川伸「石瓦混淆」より

"私が股旅物を書くのは、表現の一つの方法として書くのである。要は股旅物にあるのではない。その中に流れている精神である。これを履き違える時、其処には単なる一個の武勇伝が出来上がるに過ぎない。…形に捉われるのは一番いけないことである。"

"嘘のないものは書けるが、真実は絶対に書けない。書けるのは、ただ、作者の真実だけである。
史実を全然知らずに書くのは出鱈目であるが、しかし事実は究めがたい。史記に残されているものなども、調べてみると誇張や嘘が随分多い。一応の事実を知っていて、これに自分の解釈を加え、精神を吹き込んで、嘘を書くがいい。作品から云えばこれが真実になるのである。"

"中里介山氏の『大菩薩峠』に、月見草の花が出るが、その時代の日本には月見草などは無かったと学者が云う。けれどもあの場合、月見草以外に何の花を咲かせたらいいのだろう。"

長谷川伸「石瓦混淆」より(中公文庫)

 

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