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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2017年8月12日 劇団あやめ@がんこ座 お芝居「夏祭お七しぐれ」

「誰もいないさ。あるのはかぼちゃ畑だよ」(おしげ)

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猿之助座長 

 

インディペンデントな匂い

・・・を感じて、好きなのです。

現在座長以外のメンバーが全員女性である劇団あやめさんは、独自路線、というような言い方をついしてしまうのですが、役者・姫猿之助座長が作ろうとされている(んじゃないかと思われる)舞台は、古典に対する敬意と飽くなき追求の先に見えてくる世界であって。。。

うまく言えないのですが、例えば、古いモノクロの写真を丁寧に着色してゆくような、息の吹き込み方、蘇らせ方に近いのかもしれない、なんて思います。

前置きが長くなりました、、

8月12日、当たったお外題が「夏祭お七しぐれ」は"女団七"。7月に松竹歌舞伎と、たつみ演劇BOX小泉たつみ座長20周年記念公演の「夏祭浪花鑑」を観た後なので、お楽しみポイント倍増。うちから遠いりんくうタウンまで頑張って来て「おっしゃああ」でした。

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「夏祭りお七しぐれ」

(配役)

  • 女団七ことお七 咲之阿国さん
  • お七の母おしげ 姫猿之助座長
  • お七の妹お花  ひよこさん
  • 藤五郎親分   山戸一樹さん
  • 藤五郎の子分  初音きららさん

 

歌舞伎の演目 「夏祭浪花鑑」の一部をフィーチャーして作られた大衆演劇のお芝居。「団七しぐれ」という芸題でかけられていることが多いかな?

劇団あやめでは主人公・団七が「お七」という女侠客、父の義兵次が母で「おしげ」という茶店を営むお婆さんという設定で。1幕4景、60分。


以下、ざざっとあらすじを:

土地のヤクザ藤五郎親分がおしげ婆さんの茶店にやって来て言う「娘のお花を代官の妾奉公に出せば30両渡す」。強欲なおしげは二つ返事で承諾。知ったお七は、まだおぼこ娘の妹を守るために、自分の家にかくまう。

おしげも諦めない。お七の留守中にお花を連れ出してしまう。追いかけるお七。「金が欲しいなら私が50両を渡すから」とおしげを説得、お花を逃す。

しかしお七が「50両」だと言っておしげに渡したのはただの石ころ。騙されて逆上したおしげ、お七の額を破る。「親殺しは大罪」を笠に来てやりたい放題のおしげに、お七は我慢切れ、とうとう刀を抜く・・・

 

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「お七」咲之阿国さん 団七格子の衣装はこの役のために作られたそう

 

怪演とリアル

猿之助座長のおしげ婆さんの怪キャラぶりが、めちゃめちゃ面白くて、お腹が痛くなるほど笑ってしまいました。

短い中にも決め台詞や、歌舞伎的型や表情もたっぷり、エッセンスを楽しませてもらえて、すんごくありがたい。

「世の中はお・か・ね!」と、お金のためなら娘も喜んで売ってしまうおしげ婆さん、そりゃあもう大変な人物なのだけど「身近にこんな人いるよね」とも感じられるのは、演技がリアルで細かいからでしょうか。 「わたしを妾に?」と勘違いして、しなを作るところなどは本当に色っぽくてドキッとして。

悪くて、生き生きしている。

お芝居での悪役は、ただただ悪いより、どこか愛嬌があるワルが好きです。

 

女団七の優しさ 「囃子」と「殺し」

見せ場の、お七とおしげの母娘対決。

祭囃子が鳴り響く中、じわじわと「殺し」が始まる。

オリジナルと違って、お七とおしげ、女同士の対決。

男性同士による迫力と壮絶な「殺し」の場とは異なる、葛藤と優しさ。

たつみ演劇BOX小泉たつみ座長の「団七」で魅せられたのは、殺しの中にそこはかと滲む「恍惚」でした。あの場面は忘れられない・・・

そして阿国さんのお七はどこまでも優しい。震えて苦しんでいるような。。。

歌舞伎で観たときは、柵の向こうに祭り提灯が通り「泥場」との明暗を際立たせるように思った「祭り」が、「お七しぐれ」を観て、対比ではなく、逃れられない運命が祭り囃子になって、お七(団七)を掻き立て、かつ操る存在としてあるように感じました。

つまり「囃子があるから『殺し』が出来る」というか。祭りと殺しの興奮、渾然一体。この恐ろしく魅力的な演出はいつどなたが考えつかれたのだろうか。。

 

「夏祭浪花鑑」

この夏、歌舞伎と大衆演劇の「夏祭浪花鑑」を観て、このお芝居、ほんと面白くって、にわか論者の弁をどうかお許しいただきつつ、もし叶いますれば、両方観られたら楽しいですよ!と、勢い書いております。

歌舞伎の舞台にしかないものはもちろん多くあるけれど、大衆演劇版には歌舞伎にはない自由さ、面白さがある。そこはかとなく漂う哀愁や臨場感は、大衆演劇の方が、昔の歌舞伎小屋空間にあったものと近いのではないかと、思います。

もっと言うと、こんな風に分けて考える方が、ナンセンスなのと違うかな・・・この演目を観て一層思う。何より、お芝居(に限らずですが)はそんな狭い心のもんじゃあないよと、先人のみなさまの声が聞こえてきそうです。

 

決め台詞クリップ:

「かぼちゃ返せばまた来るかぼちゃ。今年ゃぁかぼちゃの当たり年だってねえ。ケケケ」(おしげ)

「どこまでのぼるやっこ凧。糸の切れ目が命の切れ目。後でどうする、覚えていろよ」(お七)

 

 

舞踊ショーより

客演中の山戸一樹さん

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この日の舞踊は「氷川きよし特集」男の色気と勢いと傾奇ぶりの格好よいこと

 

初音きららさん

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高くジャンプするきららさん
格好よいバック転は動きが速くて撮れなかった

ひよこさん

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 劇団マスコット ひよこさん この日は渋めに扇子舞で

 

咲之阿国さん

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人形振りの優しい表情

 

猿之助座長

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「雪散華」手には木製の鞘の刀 背中に「南無妙法蓮華経」 

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今年1月にこけら落としされたばかりの大衆演劇劇場「がんこ座」f:id:chomoku:20170817113838j:plain

 地元のお客さんと思しき方が多く和やか。月の前半で既にいいムードが漂っていて、近かったらもっと行きたいところです。

 

 以下、いただいたチラシのスケジュールです:

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がんこ座

大阪府泉佐野笠松2-6-36
電話:072-464-0224
JR関西空港線、南海空港線りんくうタウン駅」から徒歩15分
南海本線「羽倉崎駅」から徒歩20分

お昼の部12時半から 夜の部17時半から
木戸銭:ドリンク付きで1500円(前売り1300円)
詳細はKANGEKIの案内ページをご覧ください

e-kangeki.net





 

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