chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

夢の住処

大衆演劇が好きで好きで。

昨晩も、あるお芝居小屋にいて。

「ざちょうぅぅぅ!!」「さんだいめっ!!」

客席の後方を陣取った女性たちの、腹筋を使った良い声が、

スコーンと舞台へ飛んでいくのを、うっとり聞いていました。

お客の熱さに、舞台もノリノリ。

熱心にお芝居を見て、ショーが始まれば手拍子をして、冗談によく笑う客席、

打てば響くとはまさにこのこと。

そんなハコの熱気に浸りながら「ああ夢のようだ」と・・・

なんど経験しても、思わずにおれない。

 

すごい芸を、造作なくやってのける大ベテラン。

二十歳そこそこで座長を襲名し、毎日舞台に立っている青年。

男性が美しい女形に、女性がやくざ男に。

こどもが道行きの恋人になることもある

たっぷり3時間、これでもかと観せてくれる。

 

自分が逆立ちしたってできないことばかり、

大衆演劇の技を持った人たちを、心から尊敬している。

 

しかし、世間の多くの人は、大衆演劇を知らない。

また、どーも、いいイメージを持たれていないようである。

 

「ドサ廻り」

「古臭い」

「二流・三流」・・・

 

知り合いが、演劇好きという人を大衆演劇に連れて行った時、その人から

「思ったよりレベルが高くてびっくりした」って、言われたらしい。

どんなレベルと思ってたのか。

そしてそのレベルのイメージとやらを、どこでこしらえたのか、聞きたいものだ。

 

「なんで見もしないうちから、決めつけるんかなあ」とわたし。

それに対して知り合いが言った。

「でも、だいたいの人がそうじゃない?」

大衆演劇は、どうやら芸能文化のヒエラルキー的には、

決して良いポジションではないみたいなのです。

がーん、せやったんか。

好きすぎて気づかなかった。

 

・・・河原興行から始まり、長い間、低い身分とされてきたという役者。

中でもさらに下とされた巡業の集団。その芸の質とは別に。

 

「さて、全国の皆様、ここに結集いたしますは大衆演劇、ドサ廻りの連中を集めましての、中身たっぷりの演技、ごゆっくりご観覧くださいませ・・・」

お芝居の前に、そんなナレーションをかけられる劇団さん。

幕が開き、見せてもらえるのは、心と身体を張った小気味良い芸の数々だ。

 

ドサ廻り 古臭い 二流・三流・・・

 

世間の多くから、そんな風に思われる世界を、選んだ人たちが、

どうしょうもなく好きだ。

 

芝居が好きだからと、人生かけて挑む座長を、

何かの拍子に板の上に飛び込んできた若者を、

どうしたって、応援したいと思う。

  

確かにいろいろややこしそーな匂いもする。

見ていてしんどいなーと思う日もある。

それでも、ここにしかないものがどれほどあるか。

 

むかしから伝えられてきただろう細やかな所作。

いったん堰を切れば、つらつらと口から溢れる言い回し。

梅の花がほころんで、闇の中でも香り続けるような舞踊。

 

これらは危うさと表裏一体で、他では得難いものばかり。

 

映画代より安い木戸銭で、舞台と客席、身体と心の張り合いによって

築かれてきたスリリングな世界に、痺れている。

 

 

f:id:chomoku:20170306165302j:plain

 

 

Copyright © chomoku All Right Reserved.