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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年12月13日夜の部 筑紫桃太郎一座花の三兄弟@オーエス劇場 お芝居「兄弟」

ざんざん降りの雨の夜 さすがに客席はいつもより少なめ、それでも小屋の熱さは変わらない。筑紫桃太郎一座 花の三兄弟では、交代で日々の舞台を構成演出されるそうで、この日は博多家桃太郎弟座長が主役の日 

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博多家桃太郎弟座長

「兄弟」あらすじ(冒頭のみ)と主な配役

仲の良い兄弟と一家のお嬢さんとの縁談話をめぐって起きる出来事を描いた時代人情劇。1幕4景、55分。(以下、聞き書きメモより書き起こし。一家の名前は聞き取れず、違うかもですみません。名前の漢字は当て字です)

 

(主な配役)

  • 男気と喧嘩では敵なし 兄 鉄治 博多家桃太郎弟座長
  • 男前の優男 弟 万治 筑紫桃之助座長
  • 川向(?)一家の親分 筑豊国太郎頭取
  • 親分の娘お花 筑紫あいさん
  • お花を狙っている田頼一家親分(変顔メイク)玄海花道花形
  • 田頼(?)一家の若いもん 

 

幕開け舞台は川端の往来。田頼一家の親分は、お花に惚れていて女房にしたいと思っている。万治とお花が仲睦まじくやって来るのを見て、「お花をよこせ」と絡む。「兄貴の鉄治は来てないな。だったらお前を殺してでも奪う」

万治は抵抗するも、歯が立たない。そこへ鉄治がやってきた。さっきまでの横暴な態度を急変、蛇に睨まれた蛙。弟をかばう鉄治の啖呵にタジタジ。鉄治はとっても強いのだ。

田頼一家を蹴散らして、向き直った鉄治。その顔の右半分には、痛々しい大きな火傷の跡が。

場面変わって川向一家、親分とお花。「私お婿さんがほしいの」というお花。「鉄治の…」「そうか!お前の気持ちはわかった。わかったからみなまで言うな」と親分。お花は「鉄治の弟の万治」と言おうとしたのだが、親分はそれ以上聞かず、お茶を入れてくれと言ってお花を奥へやる。

鉄治がやってきた。親分は「お前に惚れたという女がいるんだ」と、鉄治相手に縁談話を進めてしまう・・・

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川向一家親分役 筑豊國太郎頭取

 

感想など 「スリーピース」の舞台

「やっぱりここのお芝居は"グラム"とか"パンク"の匂いがするなあ」ーーそんなことをひとりごちてました。ロックバンドで言うたらまさにスリーピース。シンプルでキャッチーな歌を、息のあった演奏で聴かせてもらえる。ロックバンドのガレージスピリットを大衆演劇にも感じる。今月のオーエスには、それがほとばしっている気がして、ハマってます。

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主役・博多家桃太郎弟座長の演技が、スカッとかっこいい。

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あざのない頰の方を舞台に向けて登場し、くるっと向き直り、痛々しいあざ(かなりリアルな特殊メイク)を見せる。心理と場面に合わせて、綺麗な横顔で語り、あざのある方で凄む。その度にハッとさせられる。

1人の身体に棲んでいる2つの人格、コンプレックス、過去の重い出来事。キツいテーマがあるのだけど、、、桃太郎座長の鉄治は肩をいからせ、時に激しい怒りを表出しながらも、ストンと切り替え、飄々と、軽めに演じる。そこにもっとも惹かれました。 

「あの日以来、自分の顔を見たことがねえんだ」という鉄治が、初めて我が顔を直視する場面。葛藤のにじむ演技。悲しい、けど、滑稽で、笑わせもする。可笑しいやろ、正直に笑いなさいと、ええ人ぶって観ている観衆に突きつけられる刃を、しっかり受けて、痛み合う。

 

口上挨拶での説明によると、これは「悲恋兄弟」という古い短編映画をお芝居に仕立てた物だそう。 美男と醜男の兄弟が主人公のお芝居なので「喧嘩屋五郎兵衛」「花かんざし」と設定が重なりますが、ストーリー的には異なったものでした。わたしはどれか1つと言われたら、この「兄弟」が好き、かなあ。。。

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 弟万治役 筑紫桃之助座長

 

さて気になる結末ですが、、、「その発想はなかった」という"決め"があり、兄ちゃーん涙 やっぱバカかっけー。優男の万治も、最後の最後で気を吐く。これもよかったなあ。

兄弟ゆえ距離が近すぎてぶつけ合ってしまう。けど、最後は「兄弟」ならではのマジックがはたらいて(欲を言えばもうちょっと余韻が欲しかったですが、このお芝居は「軽さ」と「勢い」が身上ということで)幕。

 

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田頼一家親分役 玄海花道花形
お芝居では面白メイクの三枚目 舞踊では一転妖艶な女形

 

 

「勘違い」と「縁談」考察

「なんで間違うかなあ」で考えた3つの理由

そもそも川向一家の親分が、お花お嬢さんが好きなのは鉄治だと思い込むのはおかしいんじゃないか、と。その理由を考えてみました:

1つ、親分は鉄治の顔のあざを気にしていない。鉄治のことをいい男だと、心から思っている。2場で、草刈りから帰ってくる鉄治。そのちょっとした所作から、鉄治という男の、地道に仕事をする真面目な人柄がにじみ出ているように思いました(こういう細かい演技を見せてもらえるのが何より嬉しかったりします)。

また「属性」で名乗るんですよね。「〇〇の弟の」「〇〇の娘の」と。これもこの時代の家父長制、徒弟制の風潮ゆえでしょうか。

そして最後にもう1つ、、、これはうちの父親もそうだったのですが、一定の年齢のオッチャン(すみません)は、ほんと人の話、聞かないんよねえ。こどもの頃、父と近所のオッチャンが話しているのを横で聞いてると、お互いが話したいことを交互に喋っているだけで会話になってないなあって思ってました。ほんと聞いてない。え、オバチャンも一緒??やっぱり?笑 

縁談は水が入りやすい

ひと昔前は「"縁談"は早く進めないといけな」かったみたいです。今の感覚では考えにくいのですが、本人の意思というより周りがちゃっちゃと進めるのが一般的だったんですよね。

そもそも"縁談"って何なのでしょうね。。お芝居によく縁談話が登場する理由についても、もう少し突っ込んで考えたいと思います。

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この日の頭取の話は九州の劇団の昔話など、面白かったー

 

以下、舞踊ショーから何枚か:

ミニショーひばりメドレーから お花役 筑紫あいさん

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筑紫つばささん

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ミニショーラスト

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全員名前入りの扇を持ってビシッとな

 

玄海花道花形

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幻想的な"赤"の世界

 

筑紫りおんさん

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可愛らしい「大阪とんぼ」 

 

ラストは「人形ケース」

筑紫桃之助座長「梅川」

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玄海花道花形「八百屋お七」 博多家桃太郎弟座長「お初」f:id:chomoku:20161216085451j:plain

悲劇のヒロイン揃い踏み 壮観です

 

筑紫桃太郎一座 花の三兄弟公演

2016年12月23日まで
お昼の部12時から 夜の部 17時から
オーエス劇場
大阪市西成区山王2ー14-20
地下鉄御堂筋線・堺線「動物園前駅」から徒歩5分
詳細はカンゲキサイトのページをご覧ください

オーエス劇場 | KANGEKI(カンゲキ)

 

 

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