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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年12月2日夜の部 劇団新 お芝居「三人出世」

東京大衆演劇協会所属で、これまで関西になじみのなかった劇団新(あらた)さんが大阪・鈴成り座へ。関東の友人から話を聞いて関西に来られるのを楽しみにしてまして、早速初日夜の部に行ってまいりました〜。

初日のお芝居は「遊侠三代」、2日目は「三人出世」いずれも定番のお芝居だったのですが、新鮮。まさに「新」と思いました。。 

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「三人出世」あらすじと主な配役

田舎から都会へ夢を叶えようと出てゆく3人の若者を描いた時代人情劇。
1幕3景、1時間5分。

(配役)*お名前間違いあるかもでわかり次第訂正いたします

  • ちょっとぼーっとしている友吉(ともやん) 龍新座長
  • 兄貴肌で優しい定吉(さだやん) 龍錦花形
  • しっかり者の島吉(しまやん) 小龍優さん
  • 村の人 新奈々さん、千明あず美さん
  • 友吉の恋人?おまん 千明ありささん
  • 目明しの親方で友吉の上司 秋よう子さん
  • 目明しの同僚 新燿(ひかる)さん


河内の村から幼友達の3人が江戸の町に向けて出発。友吉は目明しに、定吉は板前に、島吉は金貸しになりたいという夢を持っている。3年後に日本橋で会おう。その時誰が一番「出世」しているか競い合おうと誓う。

さて約束の3年後が近づいてきた。ぼーっとして要領の悪い友やんだったが、運良く目明しの親方と出会って子分にしてもらい、おまんちゃんという可愛い恋人もできた。島やんも宣言通り金貸しに。手厳しい金貸しで、友やんに容赦なく取り立てにやってくる。その頃、この辺りに世情を騒がす"怪盗定吉"が現れたという。板前になりたいと言っていた定吉その人だった。。。

 

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友やんこと友吉役 龍新座長

 

感想など 「持ってかれ」ました

初日が「遊侠三代」。よくかかるお外題で、実はこのところ当たり続けたのでちょっと食傷気味で参ったところ、劇団新版「遊侠三代」あーいいなあと思うところが随所にあって、翌日の「三人出世」これまた定番のお芝居ですが、どのように演じられるのか見たくて、ダダッと2日連続の鈴成り座詣でした。

 

「三人出世」劇団新版。やっぱり、なんか、持っていかれ..ました。

ゆったりとしたところがいいのかな。

3人の人柄について、冒頭のシーンではあまり強調されない。だんだん紐解かれていく感じ。

島やんも友やんも、田舎から江戸へ出て、3年前に語った夢を叶えて暮らしている。ところが定やんは、、、島やんと友やんがちゃんと職住を得ているのに対し、定やんはお尋ね者。定やんが黒い着物=盗人姿で、スポットの当たっている舞台に対し、暗い客席を通って現れた時、島やん友やんの2人との差も表されているように感じて、じわり涙が出ました。

ほんと、ここだけでなんか涙が出たのです。

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定やんこと定吉役 龍錦花形 

お芝居に心を揺さぶられる時

最近、お芝居を見て、なんでか涙が出てしまう時、胸をつかまれる感じがする時はどういう時だろうかと考えています。いわゆる演技力や一所懸命さは大きいけれど、それだけでもない。なんだろう。なんだろう。

役柄と、それを演じる人の生身の部分が重なった(ように見えた)時、だろうか。役どころの人が、より生々しく感じられた時。役にその人そのものが滲んでるのがいいと思えた時。理屈を超えた境地に立ち会えた時。大衆演劇ならでは、いや、大衆演劇にしかないとさえ思う。

劇団新の「三人出世」は、面ざしがよく似ている若い兄弟妹の三人方によって演じられるのが、とても魅力的でした。

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龍新座長 女形舞踊

「三人の運命」

定やんが盗人に身を落としたのは「たまたま助けてくれた人が悪かった」から。
友やんが目明しになれたのは「たまたま助けてくれた人がよかった」から。

定やんがどっから見ても盗人の格好をしているのに「材木問屋の一番番頭になった」と苦し紛れについた嘘に対して、疑いもせず「よかったなあ、さすが定やんや」と喜ぶ友やん。盗人とわかってからも、定やんを自分の友達だと訴える。

「三人出世」は「三人の運命」という別タイトルでも演じられます。

人間の運命、紙一重。 

ーー俺がお前で、お前が俺だったかもしれないーー

セリフとしては出てこないのですが、そんな思いが通底してあったように思いました。面ざしが似ていることで、自然に、三人の姿が重なってたまらんかったです。

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花形錦さん 女形舞踊

 

至近距離で見る涙と細やかな所作

大詰め、島やん役の小龍優さん。セリフはほとんどなく、表情と所作で演じられます。
大げさな所作ではなく、繊細な所作。

友やんの訴えを聞きながら、涙をはらりと落とす。それだけで、気持ちの変化を表す。羽織姿がどこかおぼつかない小柄な優さん演じる、出世したとはいえ、まだあどけなさが残る島やん。島やんだって不安やったんやなあ。。その居住まいが、"島やん"そのもので、、、とてもリアルな「三人出世」。一粒の涙から始まる一連の所作を、涙の落ちる音や息づかいが聞こえる距離で見られて、引き込まれずにおれない。この距離の近さは本当に宝もんですよね。。

 

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島やんこと島吉役 小龍優さん

 

「友だち」

「盗人」なのに、気づかない友やん。やっぱり友やんはアホやなあと一蹴してしまうところ、友やんが言うセリフがあります。

「人間、大きいことは覚えてても小さいことは忘れるやろ。でも、小さいことほど忘れたらあかん思てる。わいは忘れへんで。定やんにしてもろたこと」

阿呆やない。友やんは、みんなが見ようとしないこと、大切にしていないことの方が大事で、そちらの方をより見ているだけ。

 

SAKANAという、大好きなバンドにこんな歌詞の歌があります:

君の友達は誰にでも 何故白い歯を見せてよく笑う
そう 少しだけ変わってる ただ それだけさ

君が笑っているのに 何故君の為に泣いているのだろう
そう 少しだけ変わってる ただ それだけさ

君の友達を君は 隠したがったりしてはいけないよ
笑う奴は 少しだけ変わってる ただ それだけさ...
SAKANA『Blind Moon』より)


ラストシーンも、凝ってました。これはどなたが考えられたのかな。。

はい、もう、しっかり持ってかれました..涙

辛さを含む物語なのですが、見終わった後、胸の中に清い空気が広がるような、、そんな思いになったゲキアラの「三人出世」でした。

 

 

以下、舞踊ショーから少しずつ

小龍優さん 12/1のもの

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鮮烈な「りんご追分」
発光体のような役者さん 衣装もかっこいい!

 

千明ありささん 12/1のもの

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「大阪育ち」しっとりと湿度を含むような丁寧な舞踊 
送り出しで「あなたの舞踊素敵やわあ」と大阪のマダムから囲まれてました

 

新 奈々さん

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新 燿さん

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千明あず美さん

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ラスト舞踊「アジアの海賊」

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2日間とも楽しかった〜
今月でまた関西から離れられるので しっかり参ります

 

劇団新2016年12月公演

2016年12月24日お昼の部まで
鈴成り座
大阪市西成区鶴見橋2-9-1
06-4392-2201

地下鉄四ツ橋線「花園町」駅から徒歩5分
大阪市営バス梅南2丁目から徒歩3分

お昼の部12時から 夜の部17時から
木戸銭1500円 前売り1200円

 詳細はカンゲキの案内ページをご覧ください

鈴成り座 | KANGEKI(カンゲキ)

 

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