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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年11月7日夜の部 本家真芸座@庄内天満座 お芝居「十六夜鴉」後編

お芝居「十六夜鴉」後編です〜(前編はこちら)引き続き、ネチネチ!細かく!書きます笑 長いですがどうぞおつきあいくだされ〜::

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舞踊ショーから「桜音頭」 おみよ役 片岡小梅さん ベビー志月ちゃん 横車一家若いもん役 片岡桔梗さん 

横車親分の横暴三昧とギャップ

さてさて、悪者臭プンプン漂わせながら登場、横車の親分(変顔メイク)の言い分。「おう、女将。てめえの死んだ亭主に貸した10両の金、返してもらおう。すぐに返さなければ、この料亭深川を俺に譲れ。それができなければぁ・・・」

若いもんに娘おみよを連れてこさせ、「娘ががどうなってもいいのか」と脅します。

胡散臭すぎる横車。亭主に10両貸したというのは、おそらく嘘。脅して料亭を我が物にしようという魂胆と推察します。でももう真偽の追求もできず、10両もの大金をすぐに払うこともできず、まして料亭深川を譲るなんて、できる訳がない。「深川は私のものであって私のものじゃない」のだから。しかし娘の身が。窮地に立たされた女将。

そこに友蔵が割って入ってきた、待ってましたともぞ〜! 

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ここからしばらく横車と友蔵のバトル。

「竹の皮にションベンじゃあねぇけれどぉ、ここいら辺りでバリバリいわしてる」という横車の親分、地を這うような低い声に巻き舌で凄みまくるのですが、顔は・・・変顔メイク。普段の二枚目ぶりからのギャップだけで笑いを誘う梅さまに、一歩も引かない大五郎座長。

「いくらですか。わたしが払います」

「お前なんぞに払える金じゃねえ。大枚10両だ」

「なんだ、たったの10両ですか」

「なぁにいいいっ?!」

ここ、声には凄みはあれど変顔メイクの親分と、粗末な身なりの若者だけど実は大金を持っているという、見かけと中身のギャップを、楽しむ場面でもあります。

 

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"凄み"は一級でもあまり賢くない?横車を手玉にとる友蔵

「まずは手付けの5両を払います」
「おーし、わかった」(手を出す横車)
「1枚、2枚、3枚、しめい(終い)」チャリン
「おーっし、引き上げっぞ」
「親分、4両しかもらってねえですよ!」
「なあにいぃ??」

ここも大衆演劇のお約束のパターンということで。。。

 

大詰め 虚実入り混じる殺陣の妙

穏便に交渉を進めているようで、決裂は見えている。横車の親分が欲しいのは10両の金ではなく、料亭ですから。今お金を渡しても脅しが繰り返されるだけと見切った友蔵は、いよいよ脇に差したドスに手をかける。横車も同じ行動を取る。

大詰め、照明とBGMが緊張を高めるトーンに変わり、アクションスタート!

「殺陣」もお芝居によっていろいろで、違いがわかると面白い。今回は、主人公友蔵が刀を振り上げビシッとポーズを決めるところもあれば、横車親分の、いかにも間抜けな悪役を強調するため、遊びを入れて笑いを誘うところもあり。

斬られてよろよろと、舞台袖へはけようとする横車を、なかなか引っこませない友蔵。こういう瞬間は、お芝居上の役から個人に戻っているんですね。早く舞台裏に入りたい梅之助総座長と、まだまだと引っ張る大五郎座長の図という。お芝居と素(す)の間を行ったり来たり、緩急自在なところが、大衆演劇のお芝居の面白いところです。

 

エピローグ ふたたび旅の空の下

決着がついた。友蔵が勝った。母と娘おみよが出てきて礼を言い、「どうか深川に居て下さい」と頼む。

大団円と思いきや、申し出を断る友蔵。悪党でも斬ったら兇状持ち、ここにいたら迷惑がかかるから、すぐさままた旅に出ると言う。

「せめて友吉の遺骨だけでもそばに置かせておくれ」

母の言葉に「それもならない」という友蔵。そうなの?てっきり友吉だけでも母のそばにいさせてあげたいと言うと思ったので、驚きました。

友蔵は言います「ずっと兄弟2人で生きてきたから、ここに置いていけば寂しがるだろう」と。そして「何年かかるかわからねえが必ず帰ってくる。堅気姿で帰ってくる」と言って、去ろうとします。

今ひとつ釈然としない。親子名乗りをしたようなしていないようなだし、互いに許しあったようで、まだよそよそしい感じもするし、、、

しかし、ここからが、ここからが。

十六夜鴉」。以下のような節劇で締められます。

 

お金を託す

おみよと友蔵の節劇。友蔵は、一度は地面に投げつけたお金を全て、おみよに渡す。おみよが断っても、友蔵は首を振り、納めさせます。おみよはありがたく受け取ります。

ああ。。。そうだ。さっきの横車とのやりとりから、料亭深川は決して順風漫歩な経営ではなかったと、友蔵は察したのではないか。きっと、そうだ。

おっかさん、苦労しているんだな。ずっと苦労してきたんだな。。

みんな誰かを思って行動している。母はおみよを思って。おみよは兄を思って。友蔵は母を思って。

 

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十六夜鴉」とは

おみよと別れた友蔵が、花道ではなく、まっすぐ客席に降りてきました。

寂しそう、けれど、どこかすがすがしい表情。

困っているおっかさんを助け、親孝行もできた。

舞台の幕が閉まって、江戸のまちが見えなくなり、友蔵たった一人。

いや、一人ではない、友吉がいる。

瞼の母」では、忠太郎は一人になって「おっかさんに会いたくなったら両の眼をつぶろうよ」と言うところ、ここでは、、友蔵は、友吉の遺骨をしっかりと抱きしめ、力強くヤマを上げてこう言うのです

「兄ちゃんと2人、十六夜鴉で行こう」

「鴉」(からす)とは、旅人。はぐれ者の象徴。

「いざよい」とは、ためらう、躊躇するという動詞が名詞化したもの、とも。


友蔵は再び深川へ戻るでしょうか。

誰にもわからない。

十六夜鴉で行こう」とは、旅の空で「いざよう」ことだから。。。

舞台から一歩を踏み出す友蔵。母恋しくて泣いていたこどもから、孤独を背負って生きる覚悟を持ったーー大人の鴉の旅立ちの瞬間です。

 

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大五郎座長の涙を流しての熱演。1時間少しの心の旅。

この間、見ている者もみな「十六夜鴉」でした

 

本家真芸座@庄内天満座11月公演

11月29日お昼の部まで
昼の部12時から 夜の部18時から
休演日:11月22日
木戸銭 1600円 前売り1300円
庄内天満座
豊中市庄内東町2-3-11
阪急「庄内駅」より徒歩1分
詳細は劇場案内ページをご覧ください

阪急庄内 天満座 | KANGEKI(カンゲキ)

 

庄内天満座からのご案内:

2017年1月末で閉館、3月に移転オープン。
場所は同じ庄内駅前「サンパティオ」3階大ホールだそうです

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これであの「柱」問題も解消!どんなホールでしょうか 楽しみ! 

 

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