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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年10月26日夜の部 鹿島順一劇団@遊楽館 お芝居「六十一・賀の祝い」

10月26日夜の部 遊楽館へ、お芝居は「六十一・賀の祝い」

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ミニショートップ「男の人生」甲斐文太さんと花道あきらさん
男くさい相舞踊もよろしいなあ

 

あらすじ(冒頭のみ)と配役

父親の還暦祝いの前に兄弟が一悶着。家族の情愛を描いた時代人情劇。
1幕2景、1時間15分。(以下聞き書きメモより。名前の漢字は当て字です)

(配役)

  • 父 湊屋幸兵衛 劇団責任者甲斐文太さん
  • 兄 湊屋幸太郎 花道あきらさん
  • 幸太郎の妻おみさ 市川雀之助さん
  • 幸太郎の弟 幸吉 三代目鹿島順一座長
  • 幸吉の妻おたま 春日舞子さん
  • 湊屋の奉公人 真神響一さん
  • 客人だるまや 菊章吾さん
  • 客人たぬきや 春咲小紅さん 


舞台は湊屋という大店の前。大工の幸吉が、女房のおたまを質屋へ追い立てながら通りかかる。大工と言っても仕事は半人前、暮らしに困っている様子。

湊屋から出てきたおみさが、おたまにお金を渡す。遠慮するおたまに、おみさが言う「幸吉さんとうちの亭主は血を分けた兄弟。助け合うのは当たり前ですよ」と。2人は義理の姉妹だったのだ。

そこに寄り合いに出たはずの幸太郎が予定変更で帰ってきてしまい、鉢合わせ。おみよがおたまにお金を与えたのを見つけて、咎める。「金をやる必要はない。欲しければちゃんと働け」

同じ兄弟でも、兄は大店の主人、弟は貧しい大工。どうしてこうなったのか。齢61になる父が語るには。。。

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還暦の父親役 甲斐文太さん「男の花道」

 

感想など 賑々しく楽しい雰囲気

♪シャンチトシャンシャン♪と明るい三味線のBGMで幕開け、役者たちが賑々しく登場。後半は父の還暦の宴に、多彩なお客人が各々自慢の祝いの品を持って駆けつけてくる。途中ホロリとする場面含め、終始賑やかな雰囲気の、楽しいお芝居でした。雀之助さんのよもやの女形で女房役。可愛らしくてテンション上がったー。

ハイライトは、花道あきらさんと座長の兄弟同士の対決場面。後で聞きましたら、ほとんどアドリブなんだそう。相手の出方が読めたらいいけれど、互いに裏をかこうとしているようで、スリリング。「兄弟あるある」は、セコくてねちっこいほど面白い。やがてどちらともなく「きっかけ」を探り始める。。そこからはホロリ。

 

"貧困自己責任論"

わたしには1つ野望?がありまして、、、それは大衆演劇のお芝居で社会科の授業をすること」なんです。このお外題は、現代社会の問題を一緒に考えられるありがたい1本やと思いました。

父の代で築いた湊屋。羽振りのいい時に生まれた兄の幸太郎は、十分な教育を受けることも仕事の修行をするチャンスにも恵まれた。一方、弟の幸吉は、父が小豆相場に失敗し負債を抱えた時に生まれた。この子が将来困らぬように手に職をと、大工の棟梁のところに弟子入りさせたが、それは表向きの理由で、お金に困っての口べらしのためだったとーー

幸太郎には、幸吉の苦境が「努力しない結果」としか映らない。「貧困は自己責任」と思っているんですね。でも違う。貧困は社会の構造に問題があるんです。その事を富める者には理解できない。

幸吉は勉学の機会が得られず、職業も自分の意思ではないところで決められてしまった。合わなければ辛いばっかり。「できない奴」「ダメな奴」の「レッテル」を貼られ、「なんで俺ばっかりが」と心を閉ざす。

格差社会の何が問題かって言われたら、「自分で選べないこと」だと答えます。生きていく上で何もかも選択肢が狭められる。この構造の深刻さは、レッテルを貼られる側でなければ見えにくいんです。

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鹿島順一座長「繁盛ブギ」三代目は指がとても綺麗 いろいろ語りたくてしょうがなさそうな手やなあと思ます

 

緩さは許し ワイルドに

・・・と、こんな話を真正面からされると、鼻白んでしまうところですが、そうならないのが、大衆演劇のお芝居のいいところ。

「賀の祝い」では、甲斐文太さんが緩急をつけ、「現代の61は違うぞ」と現実を挟み(甲斐文太さんは61歳)、下ネタを入れたり、全然「いい子ちゃん」なお芝居じゃないのが、いいと思うんです。

完璧にしない。決めごとは少なく。瑕疵があったって構わない、いや、むしろあった方がいいと、言いたいくらい。

見ようと思えばいろいろな見方ができる余地がある。 見る側に任せてくれる。そもそも古典芸能はワイルドで、野趣な匂いがプンプンしていたのではないかな。。。今大衆演劇以外ではなかなか出会うことがない。だから大衆演劇が好きで、見ています。

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新撰組の扮装で ノリノリの甲斐文太さん 真ん中が真神響一さん

 

今回書き留めたセリフ

「兄を恨むな。我が身を恨むな」父親が幸吉へ諭す言葉です。
じゃあ誰を?誰を恨めと言うのかーー

子の悲しみは、そのまま親の悲しみで、いつまでも十字架を背負う父は悲しそうにいいます「お前には貧乏くじを引かせてしまったなあ」と。。。黙って聞いている幸吉の綺麗な瞳も、印象的でした。

 

 

以下舞踊ショーの写真を順不同でダダッとアップ

花道あきらさん(曲名わからず.. )

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市川雀之助さん 女形で(曲名わからず..)

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日舞子さん「土佐の女」

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春咲小紅さん「いのちの人」

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菊章吾さん 

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 三代目鹿島順一座長 「ああ無情」

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蟹工船」甲斐文太さんの歌で三代目が踊る

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わたしは鹿島順一座長が踊るのを見て初めてこの曲を知ったのですが一世風靡した? 歌なんですよね 棒を使っての気迫の舞踊に客席から「どっこい」と掛け声が


ラスト舞踊は「女の道..」 幕開けが「男の人生」だったので "対"なんでしょうか

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夢心地の夜はあっという間に過ぎてゆく 

 

10月に観たお芝居のこと、まだまだ書きたいことが山盛りなのに、どんどん日が過ぎてもう11月。この1本も遅まきながらのアップになってしまいました汗 見る時間も書く時間も欲しい〜〜

 

11月鹿島順一劇団は和歌山の新吉宗劇場にて公演中

11月7日 ゲスト劇団芸昇 みやま昇太座長
11月14日 休演日

とのことです

詳細は「カン★ゲキ」の劇場情報ページをご覧ください

新吉宗劇場 | KANGEKI(カンゲキ)

 

 

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