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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年10月17日夜の部 鹿島順一劇団@遊楽館「文太の日」お芝居「新月桂川」ラストショー「花の幡随院長兵衛」

劇団責任者甲斐文太さんが主役になる「文太の日」始めから見たかったので、仕事を早めに切り上げさせてもらい駆け込み

ミニショーは甲斐文太さんの歌「ボケたらあかん長生きしなはれ」で幕開け

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「お金の欲は 捨てなはれ♪ 生きてるうちに ばらまいて..」こんな歌あるんや〜とまたまた歌メモ。大衆演劇から教わった歌は数知れず。文太さんは今「仕事にボケてる」との事・・いいな そんな文太さんの主演でお芝居は「新月桂川」です

 

あらすじ(冒頭のみ)と主な配役

桂川一家の仲の良い兄弟分の好きになったは同じ人。。恋と一家の跡目をかけての勝負の行方を描いた股旅人情劇。1幕3景、1時間13分。(以下聞き取りメモより書き起こし 名前の漢字は当て字です)

(配役)

  • 桂川一家安太郎 甲斐文太 劇団責任者
  • 桂川一家銀次 三代目鹿島順一座長
  • 鳥追い女 春日舞子さん
  • 桂川一家親分 市川雀之助さん
  • 桂川一家娘 おみつ 真神響一さん
  • 一家双子の兄弟 権太・権次 花道あきらさん(二役)
  • 一家身内 菊章吾さん、春咲小紅さん


男修行の旅を終えて帰ってきた、安太郎と銀次。桂川一家まであと少しというところで、どちらが先におみつお嬢さんに挨拶するかで揉めている。仲の良い兄弟分だが、これだけは譲れないのだ。安太郎を慕う鳥追い女お里も、2人の後をついていく。

そのころ桂川一家は窮状。2人が旅に出てから、川向かいの流れ者・蝮一家が幅を利かせ、縄張りも身内も奪い始める。最後の金看板の賭場も譲れと迫る蝮の権太。帰ってきた安太郎と銀次は、話を聞いて怒り、蝮一家に乗り込むと言う。親分は喜び、蝮の権太を討ち取った方に一家の跡目と娘の婿にすると約束。「本当ですかい」「ああ二枚の舌は使わねえ」。俄然士気をあげる2人、果たして勝負の行方はいかに。。。

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銀次役 三代目鹿島順一座長

 

感想など 「大人の女にしかわからない男の魅力」について

鹿島劇団を長く応援されているさくらっちさんから「文太さんが主役の安太郎を演じることはなかなかないので」と教えてもらいました。 素朴で朗らかな股旅芝居。文太さんの哀愁滲む風情を花道側で堪能しました。

お外題についてこちらのブログの記事に詳しく書かれてあります(ネタバレ注意で..)。どの記事もさらさら語る口調で詳細に綴られており、舞台の様子が目に浮かぶようで、唸りながら読ませてもらっています。

若く爽やかな銀次に比べ、やや年季の入った安太郎。無骨な男のうちに秘められた懐太い人間の魅力は、"酸いも甘いも噛み分けた大人の女にしかわからない"というの、本当その通りと思います。今回の配役ではさらに際立っていました。

娘役に真神響一さん。銀次を恋慕う目。普段の「師匠」を慕う気持ちそのままに感じて、うるうるしてしまいました。銀次一筋に見つめて他は視界に入ってない。なので安太郎のことを「ゲジゲジ虫より嫌い」と言いますが、ろくに見もせず言っているんやろうなあ、と思うわけです。

大人の女は見る目があるというその前によく見ているのと違うかな。。。そう、落ち着いて前後左右よーく見ていれば若いお嬢さんがた、あなたにも、、 ふっふっふ

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真神響一さん 12歳 舞台に1輪可憐な花が咲いたような居住まいで惹きつけられた この日が初めての娘役と伺いびっくり 

「ヤマ」ではなく「谷」で

安太郎の「いろはカルタじゃねえけれど、"骨折り損のくたびれもうけ" だなあ」というセリフに、ほろっとなるも「こうなることはわかっていた」ような・・・

一家のため、弟分のため、お嬢さんのために、「災い」をとことん引き受ける安太郎。親分にすら「見損なった」と言われるまで。誰もいないところでがっくり膝をつく。

大きなヤマはあげない。あげてもその後、その頂きをちょっとへこませる感じ。身振りも、ブワッとやった後、ふっと勢いを沈め、ボソッとつぶやく。ヤマではなく「谷」、見る人の心の谷間に、光と影を落としていくのが文太さんの演技の妙だろうか、、と、思いました。

そんな繊細な表現の場面。鳥追い女のお里に「あんた本気であのお嬢さんに惚れていたのかい?」と、尋ねられた時の安太郎。一瞬固まり、首をちょこっとかしげて、唇をゆっくり歪めていく。そして天を仰いでつぶやきます「ああ、惚れていたさぁ..」。涙がこぼれないよう上を向いたまま、手ぬぐいで目を隠す。。。見ていて思わずもらい泣き。

それでも、安太郎、笑うんです。肩を落としてじっと耐え、悔しさにじませ、くしゃっとわずかに笑う。

以前、劇場で隣り合った方に言われた言葉を思い出しました。

「悲しくても、笑うのよ。忘れることと笑うことは、別なのよ」ーー

とことん損な役回りの安太郎ですが、鳥追いお里も、銀次も、そして親分にも、その優しさが伝わっている。。。

長くなってしまって、すみません。花道あきらさんの2役が面白く、憎めない魅力的な敵役で、三代目のイケメン優男銀次はぴったりで、舞子さんの風情の良さなど、まだまだ書き足りないのですが、今日は「文太の日」ということで、文太さんの役者人生の皺がいっぱい詰まった細やかな演技を、間近で堪能させてもらい、安太郎とともに笑って泣いてで、いったん置きます。 

 

 

以下、この日の舞踊の写真を何枚か:

三代目鹿島順一座長「唐獅子牡丹」

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激しい動きでも着付けの技術力か 身体の線にフィットしてきれい
大衆演劇の役者さんの着付け。どうやったらこんなに着れるのだろうかといつも思います

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甲斐文太さん女形も美しかった 

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日舞子さん「私がめんどうみてあげる」時代劇ヒーローがたくさん出てくる歌で それぞれの女房恋人が彼に対して「私がめんどうみてあげる」と言う 究極のラブソングやなあ

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花道あきらさん「匂艶 THE NIGHT CLUB
振りかえると背中に美女が

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着物の柄も舞踊の楽しみの1つ
大衆演劇の舞踊の着物は「羽裏」の世界。通常隠す方を表にして着る世界やと思うのです(羽裏について) 

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市川雀之助さん 「淡海節」から「若衆船」など お座敷小唄の世界

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春咲小紅さん 曲名わからず、、

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菊章吾さん 曲名わからず、、 

 

ラストショーはお芝居仕立て「花の幡随院長兵衛」

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台詞入りで進んでいく 短いけれど完全に"お芝居"の世界

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「文太の日」は、文太さんが出ずっぱりというのではなくて、オープニング、お芝居、ラスト舞踊と、中心の存在としてあった・・・という印象です。

大衆演劇の面白さを深めさせてもらった舞台
この日だけではなく、いつも考えたり楽しくなる心の種をもらってます。ありがとうございます。

 

 

鹿島順一劇団10月公演@遊楽館

2016年10月30日お昼の部まで
休演日:10月11日
お昼の部12時から 夜の部17時半から
木戸銭:1300円(前売り1100円)
十三遊楽館
大阪市淀川区十三本町1丁目16-19
阪急十三駅から徒歩5分

以下、劇場の貼り出し:
23日はゲスト天夜叉!

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詳細は「カン★ゲキ」の案内ページをごらんください

大阪十三 遊楽館 | カン★ゲキ 関西大衆演劇情報誌

 

 

 

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