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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年10月16日夜の部 鹿島順一劇団@遊楽館「悲恋夫婦橋」

ミニショーの幕が開き、1曲終わった後、甲斐文太さんが「今日のお芝居は長めなのでミニショーは次で終わりです」と告げられました。「お芝居が長めなので」と「『悲恋夫婦橋』です」で、拍手が起きる。長いお芝居、大歓迎。それでもちょっとでもミニショーがあるとホッと一息つけてありがたやです(ギリギリあるいは遅れて駆け込むので特に…)

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写真はラスト舞踊「白雲の城」から"赤"の場面(と勝手に命名..)

あらすじ(冒頭のみ)と主な配役

芸者と法律家を志す若者の出会いを描いた現代劇。新派劇「滝の白糸」から着想を得て作られたものとのこと。1幕2景・1時間13分。

(主な配役)

  • 芸者こしん 春日舞妓さん
  • 水野佐一郎 鹿島順一座長
  • 太田黒の旦那 花道あきらさん
  • 高田屋 市川雀之助さん
  • 久助 甲斐文太さん
  • おまん 胡阿きいなさん
  • 法科の同級生(のち警察官) 春咲小紅さん・菊章吾さん・真神響一さん


舞台は下総佐原の町。売れっ子芸者のこしんは、土地の実力者である太田黒の旦那から熱心に言い寄られるも頑としてなびかない。業を煮やした太田黒はこしんを力づくで我が物にしようと迫り、夫婦橋のたもとの小屋に連れ込む。ところがその小屋には先客が。水野佐一郎という若者で、東京へ法律の勉強のために向かう道中、小屋を宿に眠っていたのだ。

水野に助けられたこしんは、法律を学んで弱い立場の人を助けたいという水野の夢を聞いて、自分にもその夢を分けて欲しいと、学費の出資を申し出る。始めは断る水野も、こしんの掛け値なしの優しさに甘えることにする。姐さんの思いに応えるためにも頑張ります。意気投合した2人、芽生えた淡い恋心。夫婦橋を渡り2人が去った後、再び太田黒が現れ、覚えていろよと捨て台詞・・・

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こしん役 春日舞子さん「あぁ、いい女」

感想など こしんという女性

はじめから悲しい匂いがするお芝居。以前に別の劇団さんで見て筋を知っています。そうでなくてもタイトルで半分ネタバレしてますよね(笑)、それでも、こしんに扮する春日舞子さんが花道から現れた時から、舞台の空気が一筋に、悲恋という結末に向かって流れているように感じたから。そしてそう感じた通り、最初から最後までまっすぐな、悲しいまでにまっすぐな、こしん姐さんでした。

水野だけでなく、目の前の困っている人がいれば助けている。助けられた1人である、煮売屋の久助とおまん夫妻。こしんがお金に困っているんじゃないかと心配して、自分の家財道具(なんと仏壇)を「カビくさいところ(質屋)」に入れて工面するほど、恩に思っている。こしんが何の見返りも求めず、苦学生水野に学費の援助をしているという話を聞いて「さすが俺たちのこしん姐さんだ」と喜びます。「俺たちのこしん」いい言葉やなあ。。

つまり、こしんは知る人ぞ知る小さなコミュニティの偉人 なんですね。

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久助役 甲斐文太さん 口上挨拶

 

「悲しみ」に安心して連れて行ってもらえる

そんなこしんの思いを受けるのだから、ふさわしい人物でなければ納得いかんわけで(笑)、水野佐一郎もまた清すぎるほど清い若者、こしんの情に応えるため、学問に打ち込みます。大詰めでの転身。途絶えていた時間の空白を埋めて余りある、すべてを投げ打っての独白。響きました。

キツい場面もあります。太田黒役の花道あきらさんが、ヒール役から一歩も引かずしっかり"型"で見せられます。

本当にたくさんの感じ入る場面があるのですが、先に述べたように、最初から「悲恋」の空気が、必然のように流れていて、ずっと胸が締め付けられる。どう言ったらいいのだろう、まるで悲しみの列車に乗って運ばれてゆくような気もち。。行き着く先に待つのは悲劇。それでも、安心して乗っていられると言いましょうか。

舞台の上の役者さんが、ひたむきにその役を生きようとしてはるから。
だから自分も一緒にいさせてもらおうという気持ちが湧いてくる。

辛さを受け入れる。そこでできる精一杯。他者を思うことができるかどうか。わたしは「悲しみへの耐性」と呼んでいるのですが、大衆演劇のお芝居を見ることで、少し強くなったのではないかな..と思います。

 

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水野佐一郎役 三代目鹿島順一座長(舞踊「侍ニッポン」) 

 

「一人で見る夢は夢でしかない。しかし誰かと見る夢は現実だ」

ジョン・レノンとオノヨーコの言葉が、こしんと佐一郎にも、重なります。2人が橋の上から川を眺める場面。水面がキラキラ光って2人の顔を照らす。あれは、夢を覗いていたのではないかなーー大衆演劇のお芝居には、普遍的なメッセージがいっぱいあることを知らされます。 

 

 

以下、舞踊ショーから何枚か:

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太田黒の旦那役 花道あきらさん 女形「恋心」チョーカーに帯どめ いつも凝っている独特のセンスが好きです

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市川雀之助さん 「江戸の闇太郎」などいろいろメドレーで めくるめく一人芝居の世界 楽しー

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春咲小紅さんもいつも独特の世界 この日の舞踊「大江戸喧嘩花」とっても似合う

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胡阿きいなさん・真神響一さん 若手による気持ちのよい相舞踊 曲名 控えられず,,

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菊章吾さん「山河」後半..目を潤ませてはって こちらも目が潤みました


体温が上がった 座長のこの曲での舞踊

西城秀樹「情熱の嵐」

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今日のお芝居に捧ぐ舞踊なのかな。。中性的な雰囲気でキレがある舞踊 三代目の舞踊1曲1曲に どんだけ引き出しがあるやろうと毎回感激してしまう 。今閃いた 三代目は「情熱の引き出し」やわ

 

ラスト舞踊「白雲の城」花道の場面(と勝手に命名..)

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 大入りの手打ちで この日も気持ちよく幕 でした

 

鹿島順一劇団10月公演@遊楽館

2016年10月30日お昼の部まで
休演日:10月11日
お昼の部12時から 夜の部17時半から
木戸銭:1300円(前売り1100円)
十三遊楽館
大阪市淀川区十三本町1丁目16-19
阪急十三駅から徒歩5分

以下、口上と劇場の貼り出しから今後の予定:
10/17 「文太の日」"二代目鹿島順一"に戻る日 お芝居は「新月桂川」とのこと
18日「長ドス仁義」 「国定忠治 雪の信濃路」に変更とのこと(10/17)
19日「マリア観音
20日 座長誕生日公演 新作「紋次の祥月命日」座頭市物語より
21日 「芸者の誠」
23日ゲスト天夜叉!

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詳細は「カン★ゲキ」の案内ページをごらんください

大阪十三 遊楽館 | カン★ゲキ 関西大衆演劇情報誌

 

 

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