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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年10月6日夜の部 たつみ演劇BOX@新開地劇場 お芝居「勘太郎夢枕」

今年5月以来の関西公演、お芝居は「勘太郎夢枕」。以前口上での演目紹介で「劇中に三味線演奏がある」と聞いて以来、ずっと気になっていたお外題でした。わたし劇中劇や劇中演奏にヨワいのです。。

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ミニショーラスト「ブラジル音頭」のっけから楽し〜

あらすじ(冒頭のみ)と主な配役

旅の三味線弾きの男が荒れ寺で過ごした一夜の出来事を描いた人情劇。
1幕2景、1時間15分。(以下聞き取りメモより。名前の漢字は当て字です)

(配役)

  • 三味線弾きの勘太郎 小泉ダイヤ座長
  • 和尚さん 辰巳小龍さん
  • 国定忠治 宝良典さん
  • 日光の円蔵 小泉たつみ座長
  • 駆け落ちの男 塩沢又之丞 嵐山瞳太郎さん
  • 駆け落ちの女 おさえ 辰巳満月さん
  • 勘太郎の女房 お吉 葉山京香さん
  • 国定の身内 愛飢男さん・大蔵祥さん・小泉ライトさん・辰巳花さん・小泉龍之介さん
  • 善公(子役) 

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主演 勘太郎役 小泉ダイヤ座長 

 

幕開け、舞台は船着場近くのお寺。犬が吠える声。旅の三味線弾き・勘太郎が船に乗り遅れ、犬に追われて、逃げこんできた。墓標は傾き、草ぼうぼうの荒んだ寺にいたのは、ボロボロの袈裟をまとった、ちょっと変わったご住職。お互いいける口とわかって、まあ飲みねえと、酒を酌み交わす。和尚から「酒の肴代わりに、旅の話でもしてくれないか。怖い話とか、知ってるだろ」と促され、ならばと怪談を語って聞かせる勘太郎

勘太郎の話も怖かったけれど、それ以上だったのは、和尚が語るこの荒れ寺の実話。なんでも駆け落ちの若い男女を泊めてやったところ、その夜のうちに首をつって心中してしまったというのだ。それから「この寺は(幽霊が)出る」という噂が広まり、50あった檀家も減る一方、とうとうご覧の通りの荒れ寺になっちまったと、和尚。

こどもがやってきた。さく爺が死んだので弔ってほしいと言い、和尚は出かけることに。入れ違いに、キリッと渋い渡世人の一行がやってきて、若い男女の二人連れを探しているが見なかったかと勘太郎に尋ねる。そんな者はおりませんぜ。一行が去った後、お堂から、いかにも"訳あり"風の若い男女が出てきた・・・

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小泉たつみ座長 日光の円蔵 「今日は真面目な役なので余計なこと言うたらあかん!と必死で堪えていたんですけど」と その堪え方がストイックな感じになって、ある意味"味"になっていたかも

 

感想など 

1幕1景(2景めはエピローグなので)のお芝居で劇中演奏、個人的に2つも好きな要素がある上、新開地劇場ならではの凝った舞台設営も楽しみにしていた通り。舞台上手に、2階建て(!)のお寺が、堂々たる荒れっぷりで建っていました笑。軒下に張られた蜘蛛の巣や、寄せ集められたような墓石、おどろおどろし〜い竹やぶの背景画の隅々まで、ヨック見入りました。棟梁さん素晴らし。。

仕掛けも凝っていて。和尚の怪談話の途中で、荒れ寺に"何か"が起こる。「怖いのあかんねん」と本気で怯えるお客さんもあって、、いえ、わたしもあれ、怖かったです^^;

ネタバレにならないよう慎重に、が、それ以前にこのお話、なかなか混み入っていまして、あらすじの冒頭だけでも書き出すと、えらい長さになってしまうので、短めにと思ったら、ほんの表面をなぞらえただけになってしまうしで。

寺が荒れ放題でもちっとも気にしない朗らかな和尚、キリッとクールな日光の円蔵、訳あり感バリバリの又之丞とおさえのカップル。登場人物一人一人面白く、その一人一人と絡むことで、幕あけから喋りまくっている陽気な江戸の三味線弾き・勘太郎の、秘めたる胸の内が徐々に引き出されてゆく…という展開。おおいに笑って、やがてしんみり、ほろり。気楽に見られて、追求すれば細やかで深みがじわじわ、いろいろ考えさせられるお芝居なので、まずは機会があれば一度。。

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和尚役 辰巳小龍さん 抑えが効いたおっさんぶりがいい塩梅で この日の立ち舞踊「木やりくずし」がまたカッコよかった~

 

劇中演奏の楽しみ

同じ筋書きの異なるお外題のお芝居を、以前見たことがありますが、劇中で三味線を弾かれるのは今回が初めてでした。

生演奏はやっぱり格別。言葉ではなく、弦の音色に託された思いが切々と、劇場という空間を埋め、包み込み、見る側に迫ります。

演奏は2度。2度目は山の中。勘太郎が一人座し、懐から撥を取り出し奏でる。決別、決心、万感込めて。余韻たっぷり、贅沢な1時間15分でした。

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ダイヤ座長女形「一番綺麗な私を」
この舞踊がとても好きで 当たって嬉しかった

 

「邯鄲の夢」

このお芝居の元々のタイトルは「勘八(かんぱち)夢枕」だったと、たつみ座長が口上で。「かんぱちだとどうしても魚(ハマチ)を思い浮かべてしまうので」ということで、「勘太郎」に改名。お芝居ももっとダダ暗かったそうで、明るめの演出にしたのだそう。

勘太郎の「かん」に「夢」と続くので、「邯鄲の夢」という故事を思い出してしまいます。1つ、これはわたしの思い出話、昔住んでいた家の近くにその名も「邯鄲」という小さな食堂がありましてね。自宅の一角で、女性2人で営んでおられて、お店というより人の家に招かれたような小さな部屋でいただく、日替わりのおばんざいの定食が美味しいお店でした。周りの食堂と比べるとちょっとだけ高かったので、いつもよりちょっと贅沢しようかという時に利用していました。その店は閉じられて久しく、2度といただけなくなった今、ふと思い出し、「あのお店の小部屋は『邯鄲』という名前にぴったりだったなあ、、」と、薄れてゆく記憶を手繰り寄せています。

勘太郎夢枕」と「邯鄲の夢」が重なる。

旅を終え、浮世とやらにもう一度戻ってみよう、と、古巣の江戸へと踵を返す勘太郎。「船にはもう乗らねえんだ」と、高らかに和尚に告げる。その瞳には・・・。このお芝居で解せぬのはたった1つ。こんないい男をどうして???ですわ。と、これは見てのお楽しみ。。。

 

以下、舞踊ショーからいくつか: 

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嵐山瞳太郎さん 「恋」から「恋のバカンス」踊る空間が高く広い いつも見えない扉を次々とあけ放ってゆくような舞踊

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おさえ役 辰巳満月さん 訳あり感をコミカルに健気に 不思議枠の存在感

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お吉役 葉山京香さん きた!という登場の仕方 短い時間で 難しい役やと思う

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国定忠治役 宝良典さん

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子分役 小泉ライトさん「浪漫-ROMAN-」

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大蔵祥さん

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辰巳花さん

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愛飢男さん(手前)やっぱり愛さんは楽しいー

・・・に、負けてないご両人「舟唄」こんな絵のような相舞踊で

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たつみ座長が徳利を向けると条件反射のように歌ってしまう瞳太郎さんでした

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華やかにフィナーレ「愛と欲望の日々

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これまた贅沢な ラスト舞踊
劇場もまた毎日夢の世界が、、いくら見ても大丈夫な夢が、見られるところ

 

10月 たつみ演劇BOX@新開地劇場公演

10月30日お昼の部まで 休演日20日
昼の部12時から 夜の部17時半から
木戸銭1800円 前売り1600円
新開地劇場
神戸市兵庫区新開地5丁目2-3
JR神戸駅から徒歩7分・新開地駅から徒歩5分
詳細は劇場ページをご覧ください

【涙と笑いの人情芝居-新開地劇場-】神戸新開地の大衆演劇劇場

 

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