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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

センター公演 ひとりの舞踊で

温泉施設の中にある劇場。広いホールにお客さんいっぱい。200、いや300人近い?団体のお客さん、時間潰しになんとなく見ている、というような方も多々。

なので、たくさんの人がいるのに、ハンチョウはかからず、手拍子さえほとんどない重い客席を、なんとか乗せようと、舞台からはたらきかける座員。

舞踊ショー。

1人の役者さんが出てこられた。鼠色の無地の着流し。渋い演歌で、立ち舞踊。ひと振りで「うまい」と分かる。身のこなしが綺麗。力みがなく、さらっと、それでいて静かな迫力。ギッとしかめた眉の下の瞳は憂いを帯びて。

さっきまでぼーっと見ていたお客さんが、前のめりになって「この人かっこいい」「うまいね」と言い合うのが聞こえてきた。

重たかった客席を、たった一振りでさらってゆく。。。この方の舞踊でそうなるのを、これまでも何度も見た。それでも、この日の、この人数を掴んだのには、驚いた。

うまい方はたくさんおられる、けど、この方の舞踊には強く惹きつけられる。

「どや!」と舞台の上から迫ってくるのではなく、こちらが引き寄せられるのです。

みんな口々に「うまい、かっこいい」で、次に「この人は誰?」と、壁の貼り出しを探すーーこれこそ、旅役者の一番かっこいい瞬間では..と、思った出来事でした。


この日この舞台を見た方は、後日、こんな風に話すのではないかな:

大衆演劇?ああ見たことあるよ、みんなで温泉に行った時だったっけ。お芝居とか、踊りとか。よく覚えてないんだけど、1人、すごいうまい人がいたなあ・・・」

そんな記憶の残り方。

大衆演劇、続けて見て欲しい、けど、「ええもん見た」という記憶の1つには、間違いなくなっている、それだけでも、、とも思います。

 

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