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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年10月3日夜の部 鹿島順一劇団@遊楽館 お芝居「月の浜町河岸」

夜の部の遊楽館へ駆け込み。着いたらお芝居が始まって5分ほど?経ったあたりか。「月の浜町河岸」タイトルにもそそられて。

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ラストショー「関の弥太っぺ」

あらすじ(冒頭のみ)と主な配役

スリの若い男が財布を擦った相手の女性から情けを受けて・・・江戸の浜町、料亭一力茶屋の前を舞台に、人びとの巡り合いを描いた時代人情劇。
1幕1景・1時間10分。(以下、聞き取りメモより。名前の漢字は当て字です)

(配役)

  • 金太 鹿島順一座長
  • 目明しの親方 甲斐文太さん(劇団責任者)
  • 目明し 真神響一さん
  • おつた 春咲小紅さん(客演)
  • 一力屋店主富三郎 市川雀之助さん(客演)
  • 大工の源  花道あきらさん
  • おふく 胡阿きいなさん
  • 源の助っ人のごろつき 菊章吾さん


舞台は江戸の浜町、料亭一力茶屋の前。巾着切りの金太が、店で働くおつたの財布を盗み、役人の親方に捕まえられる。「許してくださえ、家に帰れば病気のおっかあと10人の弟妹がおりやして〜」金太はお縄を逃れようとするが「何を言う、この間捕まった時は野中の一本杉、天涯孤独と言ったじゃないか」と親方にバレバレ。おつたが「待ってください、盗られたんじゃない、私があげたんです」と金太をかばう。生まれてこのかた人の情に触れたことがなかった金太は、おつたの優しさに応えようと、罪償いをして堅気になる決心をする。その眼に嘘偽りがないと見た親方は、金太の縄を解き「俺が月に見とれている間に行け」と促す。

おつたには、情夫・大工の源がいて、こやつがちょっと曲者。怪我したふりをして、おつたに50両もの大金の無心にやってくる。おつたが店の主人富三郎に借金を頼んだところ、店のためによくやってくれる、他ならぬお前の頼みならと渡す。それを手にした源は、ちゃっかり、同じ一力屋で働く若い女おふくとずらかってしまう。おつたが源の子を身ごもっているというのに・・・  

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金太役 三代目鹿島順一座長

 

感想など "血を通わせる"

「男十三夜」など異なるお外題で見たことがあります。大衆演劇の定番のお芝居と思います。

おつたが金太に、それにつづいて親方が金太に、一力茶屋の富三郎がおつたに・・・と、江戸の浜町河岸で繰り広げられる情の連鎖。それを見ているお月様。

「地味…いえ、派手さはないんですが、いいお芝居です」と、前日の口上で三代目座長が言われた通り、静かな月夜の2日分の出来事を1幕1景で。スポットライトを月明かりに見立て、目を細めて振り仰ぐ姿が沁み入る、1時間10分のタイムトリップでした。

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甲斐文太さん演じる親方の台詞を少し:

「悪党を取っ捕まえるだけじゃねえ。俺たちには本当の役目がある。この十手に血を通わせるんだ。人間オギャアと生まれて根っからの極悪人はそういない。どうしょうもなくてそうなっちまって、まっとうな道に戻りてえって、思ってる。そういう気持ちを見極めて、手を貸すのも、俺たちのでぇーじな仕事なんだ。手柄立てるだけなら誰にだってできる…」

十手に血を通わせる。いい言葉やなあ。こんな言葉がぽっと聴けるの好きなんです。

こんな風にさりげなく語られる言葉たちが、お芝居に血を通わせる、とも、思いました。

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甲斐文太さん「木遣りくずし」では品良くワルく艶ぽく粋な伊達男

曲げた髷と脱ぎ捨てられた下駄

大詰め、源がおつたの幸せを脅かすのを目撃、なんとか阻止しようとする金太。まっすぐだった髷を、ぐっと横に曲げることで、その決意を表すのです。思い続けた恩人のために、せっかく修行して許された飾り職人の仕事も、終わり。髷を曲げる、つまりこの瞬間から、もう堅気には戻れないと覚悟して、挑んでいるのだ。それくらい強いおつたへの思慕。一方おつたは・・・・

台詞もですが、言葉の代わりにこういう象徴的な所作や節劇で表現されるのが、大衆演劇のお芝居ならではの味わい深さで、とても好きなところです。

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初めは傘で応戦していたのに、源の匕首を持ってしまう金太。後ろには、脱ぎ捨てられた下駄。。。

「根っからの極悪人はそういない。どうしょうもなくてそうなっちまって、まっとうな道に戻りてえって思ってるーー」

月明かりのした、ごろりと転がる下駄も、主を思って泣いてらあなあ。。

台詞、所作、道具の扱いにも細かな意味が込められているお芝居。目を凝らして、我が腹黒の心(笑)をできる限り開いて、見ています。


ーー「どう受け取るも、お客様のご自由に・・・これはそういう余地の多いお芝居でもありますから」(甲斐文太さん)

 

 

以下、舞踊ショーの写真を何枚か:

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大工の源役 花道あきらさん「恋月夜」
いつも不思議な色気が放たれる どーんとかっこいい役者さん あきらさんのこのゴーゴンみたいな鬘が好きなんス

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おつた役 春咲小紅さん 本当にこういう女性いるよねって思う。ひたすらにあったかい。旅かける役者の風格と大人の女にしか出せないこの愛嬌

 

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おふく役 胡阿きいなさん
本当にこういう女性いるよねパート2笑 今風に言うと「まじバイトたるいし」とか。ふわふわと所在なく、どこか寂しげで。この先人生の火の輪をくぐるうち、いつしかおつたのような情けをまとってゆくのだろうと思います

 

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一力屋富三郎役 市川雀之助さん おつたに「言うな!」と制するところ。静かな迫力。これまた強い意志が込められていて。この方の浮世絵の中のお役者のような化粧がとても好きです タイムスリップ度マックス値(当社比)…って なんのこっちゃですねすみません

 

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目明し役 真神響一さん 13歳。着実に歩んではるなあと感じます
(写真は10/2の舞踊から)

 

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助っ人のごろつき役 菊章吾さん 妙な破壊力(笑)で金太を翻弄

 

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送り出しもいつも丁寧なポージングで応えてくださる "みんな大好き三代目"

 

十三の劇場は開始時間が少し遅く、仕事終わり、ミニショーを諦めたらお芝居になんとか間に合うというありがたさ。また参ります〜

 

鹿島順一劇団10月公演@遊楽館

2016年10月30日お昼の部まで
休演日:10月11日
お昼の部12時から 夜の部17時半から
木戸銭:1300円(前売り1100円)
十三遊楽館
大阪市淀川区十三本町1丁目16-19
阪急十三駅から徒歩5分

以下、口上挨拶と劇場の貼り出しから今後の予定:
10/5 春日舞子さん誕生日公演

   お芝居は舞子さん主演「噂の女」座長はあの役!だそうです
10/11 休演日
10/12 ゲスト松丸家小弁太座長
10/14 若手大会お芝居「峠の仇討ち」とのこと(前売3300円・当日3500円)
10/20 鹿島順一座長誕生日公演

詳細は「カン★ゲキ」の案内ページをごらんください

大阪十三 遊楽館 | カン★ゲキ 関西大衆演劇情報誌

 

 

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