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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年9月28日 新川劇団@梅南座 お芝居「刺青奇偶」

大衆演劇 新川劇団

"大衆演劇の先生"と思っている方(わたしよりうんと若い方ですが~)から教えてもらって、ずっと見たかった新川劇団の「刺青奇偶」が、かかると聞き、参りました。

南座。もう別次元だった。。。

 

あらすじ(冒頭)と主な配役

  • 半太郎 新川笑也座長
  • お仲  新川博也座長
  • 熊介  峰そのえさん
  • 熊介に雇われた男 明石たけ代さん
  • 医師  新川博之リーダー
  • お竹  小峰ゆかりさん 
  • 鮫の政五郎 新川博也座長(2役)
  • その子分 昌史さん・峰そのえさん*・明石たけ代さん*(*2役)


長谷川伸原作の新歌舞伎の演目であり、大衆演劇でも定番のお外題。
1幕4景、1時間40分。

行徳の船着場。女衒の目を盗んで逃げてきた酌婦・お仲が海を見つめている。しばらくして、博打打ちの半太郎と熊介がやってくる。熊介の言いがかりに応戦する半太郎の、勢いに押されて熊介が海にドボン。が、もう1つ海に飛び込む音。お仲だった。半太郎が海に飛び込んで助ける。

借金を背負わされ、酌婦として売られ。男のいいようにされてきたお仲は、人生に、そして男に絶望していた。そんな自分を、下心も損得勘定もなく助け、金子までもたせてくれた半太郎の優しさに、身も心も救われた思いで、半太郎を追う。半太郎が熊介の逆襲で行徳に住めなくなって所払いをするところに現れ、一緒に連れて行ってと言うのだった。

逃げた先で、半太郎とお仲は所帯を持つが、半太郎は博打を止められず、貧乏で荒んだ暮らしぶり。お仲はそれでも半太郎を慕い続けるが、病いがちになり、とうとう床に寝付いてしまう。死期が近づいていることを悟ったお仲は、博打場から帰ってきた半太郎に1つ頼み事をする。お前の言うことならなんでも聞くよと半太郎。「お前さんに墨を入れてもいいかい」「なんだい、"お仲"とでも彫るのかい」そうしてお仲に彫られた二の腕を見て驚く半太郎。それはサイコロの絵だった。。。

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半太郎役 新川笑也座長

 

感想など 鳥を放つような美しい言葉たち

幕が開いたら舞台は浜辺。女が一人、海に向かって呆然と立っている。

たったそれだけで、女の絶望がつたわってきて、早くも涙が出て困りました。

そこから先の1時間半、なんかもう夢心地でした。

半太郎とお仲の逃亡。闇に乗じ、手に手をとって家を出る。これまで見た"道行き"のなかでも、こんなに強く必然性を感じたのは初めてでした。恋じゃない。もっと深いところの、他者愛に思いました。

 

また、全編通じて、台詞が、美しいのです。

古い独特の言い回しが、美しい。つたなさが、美しい。

心から、解き放つ感じの言葉なんです。

まるで、鳥を放つような。。。そんな言葉です。

必死でメモしました。それを追うだけでも、舞台の風情が伝わるでしょうか:

 

「えて勝手だ」(自分勝手)

「のぼせが過ぎるぞ」

「俺は博打打ち。えらくねえ野郎だ」

「ずばずば男をやっつける女だな」

「もう少し、生きていてみようよ」

「我を折ろう」

「夢が覚めたら元の世話場さ」

「傷だねえ」

「おいら、やめようよ」

「男一代、一番好きは女房おなか」

 

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お仲役 新川博也座長

ちょっと言わせて(?)なこと

・・・こんな言い方は避けてるのですが、、今回はちょっと言いたい、、、現代の歌舞伎の枠組みでは、この日感じた裏侘びた空気、底を打つほどの虚無感に、至らないと思う。大衆演劇だけのもの。理屈じゃない。

日々舞台、役者の汗と涙がそのままかかるほど至近距離の客席。綺麗も汚いも全部ある。小さな舞台に灯る芝居に、胸がえぐられて、たまらない。

シネマ歌舞伎の予告編のナレーションでは「夫婦の情愛をしっとり描いた」と言われてますが、あうう、、そうじゃないと思う。

夫婦愛より、他者愛。そして反骨・反逆やで、やっぱり。。。

「男一代、一番好きは女房おなか」

この極めて個人的な叫び。だから胸を打つんだ。

長谷川伸さん。なんでこんな無骨で綺麗な言葉を書けはるんやろう。

新川劇団さん。なんでこんな別次元のお芝居ができはるんやろう。

また見たい。お仲に、半太郎に、熊介に会いたい。

再演を、切に乞います。

 

以下舞踊ショーから

 

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熊介役 峰そのえさん
1つ1つの所作で"癖の強い男"をにじみ出し こんな凜とした女性なのに 背中の煤けたイヤらし〜い男にしか見えない 自然すぎて いつもこの方の役者の引き出しはどんだけあるんだろうと思いながら見ています

 

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明石たけ代さん 昌史さん
途中は愛嬌のある町衆として 最後は政五郎の身内でビシッと登場

 

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医者役 新川博之リーダー 今回は脇に回っておられました
政五郎役で見たいなあ、、、

 

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お竹役 小峰ゆかりさん あったかい隣人として登場
「傷だねえ」はお竹の台詞でした
 

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この日はロング公演でラストショーは「二人花魁」
贅沢すぎて どうなってんのって
感覚が麻痺してても 毎回思います 

 

 

 

 

 

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