chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年9月21日夜の部 剣戟はる駒座鵣汀組@鈴成り座 悲喜劇「小豆島」

去年見たお芝居、剣戟はる駒座鵣汀組・晃大洋さんの十八番「小豆島」をもう1度見たくて、鈴成り座へ。ミニショーなしの通し狂言でした。間に合った〜

f:id:chomoku:20160922234245j:plain

お芝居前の説明タイム 役者のみなさんお芝居の扮装で登場

あらすじ(冒頭のみ)と主な配役

大衆演劇の定番のお芝居で、小豆島に住む兄妹と網元父子との縁談をめぐる現代劇。1幕2景、1時間25分。(以下聞き取りメモをもとに。名前の漢字は当て字です)

(主な配役)

  • 直江 晃大洋(こうだい はるか)さん
  • 直江の兄 サダ 津川竜総座長
  • 網元 勝竜治 総裁
  • 網元の息子タサやん 津川鵣汀座長
  • 村人 津川祀武憙副座長、津路桜日さん 他

小豆島の浜。5年前、医者になるため東京に出ていた網元の息子・タサやんが、無事医者になって島に帰ってくるという知らせを聞きつけ、村人たちは出迎えようと集まっている。「タサやんは島の人たちのために島で病院を開いてくれるそうだ。立派だ、ありがたい」と喜んでいる。

そこに一人の娘が通る。直江だ。

f:id:chomoku:20160922234434j:plain

直江役 晃大洋さん

知的に障害があり、容姿もブサイクで家は貧乏。そんな直江が、タサやんと許嫁の仲だなんて、村人たちは釣り合わないと考えている。直江の兄のサダも同じ考えである。親同士がいくら仲が良くて、身分違いでも二人を結婚させようと約束を交わしたとは言え、ずいぶん昔の話で、父はもう亡き人。都会の美しい女性を見てきたタサやんが、直江を選ぶわけがない。サダは直江に恥をかかせまいと、この結婚話を破談にしようと思い立つ・・・。

 

感想など 晃大洋さんの十八番芝居

このお芝居で2時間いや一晩でも語れる・・と毎回そんなことばっかり言うてる気がしますが、見終わった後、うおーっ語りたいことが溢れて、うずうず。

なんといっても、直江演じる晃大洋さんの演技が圧巻。十八番と言われる名人域。

このお芝居は、演じる劇団によっていろいろな進め方があるようで、中でも、兄と網元が一計を案じる場面に重点が置かれることが多いように見受けます。はる駒座でもその場面はあるのですが、それよりも、兄妹が浜に座って会話するところーーサダが直江を説得するくだりが、最も時間をかけて描かれていました。その会話がどんなんか、大ネタバレにならないよう2つほど記します、、

f:id:chomoku:20160922234502j:plain

サダ役 津川竜総座長 現代劇なので鬘なしで登場する"竜さま"ナチュラルメイクでほぼ素顔 カッコいい!です

"草履"と"りんご"

「お前とタサやんは釣り合わない(から諦めろ)」

サダは、このことを、直江が傷つかないよう、遠回しに遠回しに言うのですが、知的に障害のある直江は、兄の言うことがなかなか理解できません。

例えば、東京の女性と直江との差を、草履を使って説明するところでは、こうなります:

サダ「(草履を持って)ええか、これ、りんごや。綺麗で美味しそうなりんご。それで、こっちが腐ったりんご」
直江「兄やん、それ草履やで」
サダ「例えや、例え!ええか、今だけや。りんごや思て見るんや!な。ええか、こっちが綺麗なりんご、で、こっちが腐ったりんごや。お前、どっち食べたい?」
直江「それは草履や。食べられへん」
サダ「あのなあ、そうやなくて・・・」

 

1日に1つきりの松葉を

「5年待ってて」タサやんが島を出るとき約束した直江。でも、5年てどれくらい? タサやんが出て行った次の日から、毎日船着場にやってくる直江に、船着場のおっさんが、こんな風に教えてくれた:

「毎日、船着場の松の木のしたに落ちている松葉を1つ、持って帰るんや。1つきりやぞ。それ以上持って帰ったらあかんぞ。1日1つきり持って帰って、その松葉を貯めるんや。1つ、2つ、3つ・・・もっともっと。松葉が山になって数えきれへんほど溜まった時が、タサやんが帰ってくる頃や」

直江は、言われた通り、松葉を1つ持って帰って、納屋に貯める。雨の日も風の日も、1日に1つきり。2つも3つも持って帰ったらあかん。1つきりや・・・

「直江アホやけど、約束したことは守る。兄やんも教えてくれたやろ。アホはアホと違う。約束守らん奴がアホやって。。。浜のみんながいじめる中で、タサやんだけが優しくしてくれた。タサやんだけや。たった1人、直江に優しくしてくれたタサやんとの約束を、直江、守らなあかんやろ。」

サダは天を仰ぎ、無言で目頭を押さえます。

サダだけじゃなく、見ている側も皆ハッとさせられただろう、この言葉。
純真、それだけじゃない。それしかできない者の苦しさ悲しさ。
それしかできないから、できた。愚直に、人を信じきるという選択が・・・

 

第3景、待ちに待ったタサやん登場(「やっと出番や」と鵣汀座長(笑))運命や、いかにいかに。

ここからもいくつも展開があり、すすり泣く方続出でした。

f:id:chomoku:20160922234727j:plain

タサやん役 津川鵣汀座長
男前で優しくて頭が良くて家が金持ちと4拍子揃った男を爽やかに

 

はる駒座の自信作

前説で、このお芝居はある招聘公演の際にも上演されたそうで、それくらいはる駒座にとって大切な、いわば自信作ですと、副座長。最近はあまりやっておられないとのことでしたが、浜の兄妹の会話のシーンは、津川・晃大ご夫妻による息のあった、そして役者同士火花を散らす名場面。

また、はる駒座のお芝居は集音マイク使用。肉声に限りなく近い声で、自然な奥行きがあり、耳にも優しく、生のお芝居の風情があります。浜が舞台の場面なんて最適なんではないかな。。。そんなこんな、是非見てもらいたい〜と熱く願う1本です。

 

以下、舞踊ショーより何枚か アップさせてもらいます:

 

f:id:chomoku:20160922234749j:plain

網元役 勝竜治 総裁「がまん坂」
陽気で気のいい網元 ための効いた間の取り方に貫禄がにじむ 

 

f:id:chomoku:20160923030810j:plain

村人役津川祀武憙副座長「花咲峠」
舞台に登場されるとパッと明かりがつくような。内なる光を持つ役者さん

 

f:id:chomoku:20160922235307j:plain

若手 津路桜日さん「人生劇場」
長身できれいな身のこなし コントも安定の面白さ

 

f:id:chomoku:20160923031903j:plain

雨でも大入り 鵣汀座長「どんでん返し」

 

入り口で配られる紙の花と劇団のパンフレット
紙の花は歌のコーナーで使います

f:id:chomoku:20160923031633j:plain

お外題とゲスト情報の貼り出し

f:id:chomoku:20160923032038j:plain

早いもので今月もあと10日を切りました
見たいお芝居が多くて大変 って毎月言うてますが〜

 

剣戟はる駒座鵣汀組@鈴成り座 2016年9月公演

2016年9月29日お昼の部まで
昼の部12時から 夜の部17時から
木戸銭 1500円(前売り1300円)
鈴成り座
大阪市西成区鶴見橋2-9-1
地下鉄四ツ橋線「花園町」駅から徒歩5分 
詳細はカン★ゲキの劇場案内ページをご覧ください

鈴成り座 | カン★ゲキ 関西大衆演劇情報誌

 

 

 

Copyright © chomoku All Right Reserved.