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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年9月9日夜の部 本家真芸座@明石ほんまち三白館 お芝居「喧嘩屋五郎兵衛」ゲスト劇団大川椿裕二座長

大衆演劇 本家真芸座

9月9日夜の部、明石ほんまち三白館へ ミニショーなし、お芝居からの開演でした。

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片岡梅之助総座長 舞踊「傘ん中」

 

「喧嘩屋五郎兵衛」あらすじ(冒頭のみ)と配役

大衆演劇の定番のお外題で、縁談話が人違いだったことから起きる悲劇の任侠もの。1幕4景、1時間20分。

(配役)

  • 喧嘩屋五郎兵衛 片岡梅之助総座長
  • 朝比奈藤兵衛 椿裕二座長(劇団大川よりゲスト)
  • 伊之助 片岡大五郎座長
  • 八百屋の源 豊島屋虎太朗座長
  • 桜木屋のお嬢さん 片岡小梅さん
  • 桜木屋の奉公人 長谷川桜さん
  • 喧嘩屋の身内 真城匠さん・片岡桔梗さん・片岡扇竜さん


喧嘩屋一家のところに、八百屋の源さんが羽織姿でやってきて「7日前の花見で、ならず者に絡まれている娘さんを助けた覚えはありませんか」と尋ねる。ああ、そうやったと答える五郎兵衛。やはり。八百源は喜び、実はその娘さんというのは大店の桜木屋のお嬢さんで、親分さんに一目惚れ。どうしても一緒になりたいと言って、今うちに来ているのだと言う。

五郎兵衛の顔の右半分には大きな火傷の跡があって、女に惚れられたことは一度もない。しかも相手は「今小町」と評判の娘。半信半疑の五郎兵衛に八百源は言う「男は顔じゃない、度胸だ、気っ風だ。助けてくれた時の親分の、度胸と気っ風に惚れたんだとお嬢さんが言うております」

喜ぶ五郎兵衛。八百源もノリノリ。もしも縁談破談になったその時は首を差し出すと約束する。五郎兵衛は、早速仮祝言をと、子分の中でも下っ端の伊之助に使いに走らせる。一家に来てまだ日が浅いが、見所のある男と目をかけていて、この大役に指名したのだが、この伊之助こそが、お嬢さんが惚れた相手だった・・・

 

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口上挨拶される片岡梅之助総座長
今回は五郎兵衛の役でしたが 普段は朝比奈藤兵衛役

 

感想など 課題曲ならぬ課題外題

定番中の定番のお外題。劇団の数だけ「喧嘩屋五郎兵衛」があり、役者さんの数だけ、五郎兵衛がいて、朝比奈の兄貴がいて、伊之助がいて、八百源がいて、、と、実に十人十色。

大衆演劇を見始めの頃、突拍子も無いお芝居に映りました。またいろいろ無茶すぎると思いました。

それが今は、、、このお芝居、よくかかるだけのことがあって、よくできてるなあと思う。

五郎兵衛の心の傷、兄の負い目。強さを張りあう世界で、ひた隠しにしてきた強烈なコンプレックス=心の弱さが、縁談話の間違いによって、ほつれ始め、激情となって噴出してしまう。一見荒削りなのだけど、描かれている主題は、人の心の繊細さや執着の説明できない不可思議さで、象徴的な言葉や場面がいくつも出てきます。

音楽の世界に課題曲というのがあるなら、これは大衆演劇のお芝居の中の課題外題とでもいいましょうか。だからこんな頻回に演じられるのかな。。と、見るうちに考えさせられることが増えました。

 

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伊之助役 片岡大五郎座長 不運の若者の悲壮感を漂わせて

"完成形"を見る快感 養生テープの音までも

本家真芸座の「喧嘩屋五郎兵衛」は、1つの完成されたスタイル・・・「これがうちのやり方」というのが、練り上げられて確立されているような。いつ誰がどの位置で何をするか、舞台道具の1つ1つ、効果音や音楽のタイミングに至るまで、きめ細かく。

幕が開けば、そこには1本の目に見えないレールがビシーッと敷かれていて、その上を役者全員一丸となり粛々と進んでいく、そんなイメージ。。。厳格に"再生"される「型」に、ぎゅっと詰まった"過去からの約束事"。それらを1つ1つ見ていると、丹念に作られた名画を見届けるときに覚える充足感が、湧いてきます。

椿裕二座長の参加で、さらに緊張感が高かったような。

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朝比奈藤兵衛役 劇団大川椿裕二座長 聞き惚れる美声の朝比奈

 

一番前に座っていたので、最終場の転換を待つとき、幕の内から、ビリビリーッと養生テープを引っ張る音が聞こえてきました。血糊よけのシートを貼っているのだな、と、これから始まる場面を想像してゾクゾク。そんな準備の音も、「お約束」の1つかもです。

 

八百源の思い

何度か見るうちに、発見することがあります。今回は、、八百源が、桜木屋のお嬢さんの言葉を鵜呑みにしたのはなぜか、です。

八百源は、本当に五郎兵衛が好きなんです。心酔してるんです。「男は顔やない、度胸や、気っ風や」と、八百源こそが信じている。だからさして疑わず、大喜びで縁談話をつなごうとした。喧嘩家一家にやってきて、自分の草履を親分の下駄と並べるのをためらって、一段下に置く八百源。嬉しそうに対面する八百源・・・

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八百屋の源さん役 豊島屋虎太朗座長

 

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喧嘩家一家の若頭 役 真城匠さん この人も五郎兵衛が好きでたまらない男の1人だった

 

悲しき大阪弁

もう1つ、五郎兵衛の大阪弁の妙。可笑しさと悲しさ。「わいな(顔の痣を指して)こんなんよういらんねん」大親分なのに、発する言葉が、どんどんこどもじみてきて、いびつさが強調される。

胸底からえぐり出された幼い言葉が、痛々しい。

第3場の後半から、最終場へと感情のコントロールが効かなくなって悲劇へと雪崩れていく。誰も悪くないのに、止められない・・

 

・・・と、「喧嘩屋五郎兵衛」については一晩でも喋れてしまうほどで、長々とすみません。また折を見て続きを(もうええて?)

 

以下、舞踊ショーから 何枚か

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片岡梅之助総座長 女形舞踊「やっぱり大阪」

 

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桜木屋のお嬢さん役 片岡小梅さん(写真は9月8日の舞踊「ちょうちんの花」) 

 

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桜木屋奉公人の婆や役 長谷川桜さん「 」

 

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喧嘩家一家の子分役 片岡桔梗さん(写真は9月8日の舞踊「羅生門」この恐竜の衣装いいなあ) 

 

ラスト舞踊「命の華」なんですが 

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舞踊というより この構図 どこかの家族の肖像画にありそうな

 

本家真芸座@明石ほんまち三白館 9月公演

9月29日お昼の部まで 休演日:14日
昼の部12時から 夜の部17時半から
木戸銭 1800円(前売り1500円)小学生以下900円 乳幼児無料
明石ほんまち三白館
明石市本日町一丁目14-18 JR明石駅から徒歩6分

 

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昨年秋にこけら落としをされた劇場 建物は新しいけれど中身は昔ながらの空気があって  すっかり「まちのお芝居小屋」として溶け込んでいる感じ。情報発信も熱心に。スタッフの方によるブログやLINEには、日々のお外題情報、大衆演劇への愛情がたっぷりと 近くの方がほんと羨ましいです〜

 

劇場の詳細は劇場のオフィシャルサイトをご覧ください

www.eonet.ne.jp

 

 

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