読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年9月5日 浪花劇団@ゆの蔵 お芝居「明治の夜明け」

大衆演劇 浪花劇団

9月の浪花劇団の公演先 ゆの蔵へ お芝居は「明治の夜明け」でした

f:id:chomoku:20160907002234j:plain

あらすじ(冒頭のみ)と配役

江戸から明治にかけて生き抜いた武士と商人の巡り合わせを描いた人情劇。1幕3景、1時間10分。(以下、聞き書きより書き起こし・名前の漢字は当て字です)

  • 武士・前田伊三郎 近江新之介座長
  • 前田家の家来 鶴左衛門(途中からハゲつる左衛門)大川龍子さん
  • 倉田屋文之助 蛇々丸さん
  • 倉田屋おかよ 浪花しめじさん
  • 倉田屋の娘おはる 浪花成馬さん
  • 永谷こうすけ 浪花勘太郎さん
  • 上田屋きすけ 三桝ゆたか太夫元

 幕末の江戸、戦さで荒れる上野の山。彰義隊の前田伊三郎は妻に先立たれ、自分も忠義に殉死する覚悟で、生まれたばかりの我が子を商家・倉田屋の前に、捨て子する。赤子の泣き声に気づいて出てきた倉田屋文之助。前田から事情を聞き、夫婦で預かることを約束する。「我ら夫婦には子はなく、財産は手代に持ち逃げされ、生きる望みを失っていた。これから先はこの子の成長を頼りに生きていきます」。前田は礼を言い、金子を渡す。19年後ーー時代は明治に。倉田屋は前田からもらったお金でもともと以上の大店に。前田も家臣の鶴左衛門とともに生きていた。我が子に一目会いたいという願いを抱きながら・・・

f:id:chomoku:20160907002305j:plain

前田伊三郎の扮装での口上挨拶される近江新之介座長

感想など 独特の視座があるお芝居

幕開け舞台は戦さ場と化した上野山。めらめらと火の手が上がるのを、揺れる布と照明で表現。温泉のレストラン席の前は、そんな緊迫した状態。作り込まれた舞台セット。

感慨深いお芝居やった。。。浪花劇団の人情を扱ったお芝居には、大人の心の、千々に乱れるさま、弱さや強さを、知らされることが多いです。このお芝居も、大きな見せ場や派手さは少ないのだけれど、細部に考えさせられるところが多く、うーんうーんと唸りながら見ていました(変な客..)。

実の親と育ての親というのは大衆演劇ではよくある布陣なのですが、このお芝居がそれとはちょっと違うのは、「預かるだけだ」と倉田屋文之助が言うところです。実の親が育てられる状況にないから、たまたま出来る自分たちが育てているのだと。「子育ては皆で」という、社会的な考え。

妻のおかよの方は、もうこの子は我が子、誰にも渡したくないと主張する。それに対して、文之助は持論を引っ込めてしまい、諌められずにもどかしそうにする。これまた、家父長的な世界が多く描かれる中で、珍しいシチュエーション。

家業が成功し、子も成長した。幸せなのに、どこか後ろめさに苛まれているような、倉田屋。

一方、武士だった前田は、日雇い人夫として糊口をしのいでいて。時代が変わり、立場は逆転。「身分違い」が人を分断する時代。その理不尽な状況下で、自分の立場を受け入れ、身なりは粗末でも心に誇りを持って生きている。

「武士は喰わねど」みたいなことを声高に言うのではなく、歩き方、手ぬぐいの扱いなどの一挙手一投足や、丁寧な言葉遣いから、彼の人としての矜持が、ひしひしと伝わってくる。

ラストの節劇。前田が去りながら「二人仲良く暮らせ」と言葉で言う代わりに、手をつなぐ仕草で、何度も何度も訴えます。(仲良くな)(元気でな)。仕草だけで心情・状況を伝えないといけない節劇の中、せめて一言なりとも言いたいだろう前田伊三郎の葛藤と相まって、胸に迫りました。書きながら思い出してちょっと泣けてきた。(お前が幸せならうれしいよ)ーー新之介座長の節劇はいつも力強く、言葉より響きます。

 

旅役者 大川龍子さん

全体に重めのお芝居を、やわらげる道化役がいます。それが、大川龍子さん演じる鶴左衛門。途中からハゲてしまったのでハゲつるザエモンと呼ばれています(すごいネーミングですがー)

緊迫したところでも、スーッと割って入ってきてしまう鶴左衛門。タイミングによっては、風情や流れを壊しかねないのですが、龍子さんの何とも言えないふわっとした物腰で「はいごめんやっしゃ、ごめんやっしゃ〜」とやられては、気を許さないわけにいきません。

最後まで「若さま」に添う、健気な家臣。そそっかしくて頼りない、でも、なくてはならない人生の相棒。

f:id:chomoku:20160907002446j:plain

大川龍子さんは八面六臂。おじいさん、おばあさん、悪い親分、菩薩のような十手持ち、慈愛に満ちた母親役、三枚目から冷徹な人斬りまで演じられる。最近では「河内十人斬り」の強欲なおかく婆さんを。怖かった&悪かった〜。

この方が舞台に立たれるとき、過去の役者さんたちの存在を思います。"個"ではないんです。

舞踊ショーではラスト舞踊の前に1曲歌われます。太く声量のある声に会場が揺れるよう。大衆演劇界のアレサ・フランクリンと勝手に呼んでます

 

以下、舞踊ショーの写真から何枚か撮れたものを:

f:id:chomoku:20160907002759j:plain

近江新之介座長「橋場の渡し」写真はシリアスなショットですが、客席を通るときは笑いの渦をおこしながら

 

f:id:chomoku:20160907051632j:plain

蛇々丸さん「恋の酒」手の先 着物の線 隅々まで極まる格好良さ

 

f:id:chomoku:20160907002627j:plain

浪花しめじさん「大江戸喧嘩華」この歌をソロでは珍しいかも 明るい曲ですがどこかほろっとさせられます 中性性と女性性の色香が交錯するようなしめじさんの舞踊

 

f:id:chomoku:20160907002606j:plain

浪花成馬さん「薄情渡り鳥」可憐で朗らか お芝居では娘役 丸みのあるアルトの声が好きです

 

f:id:chomoku:20160907002717j:plain

浪花勘太郎さん「薄情渡り鳥」明るくガッツの塊のような役者さん 優しい空気がほとばしる もと介護士さんだそうで めちゃわかる気がします

 

ラスト舞踊「万里の河」
動きが早くて撮れず。。最後のところだけ(しかも半分やし..)

f:id:chomoku:20160907002929j:plain

 

ゆの蔵は、お芝居と舞踊の間が長く、くつろぎ下手なわたしはちょっと持て余してしまうので、あまり足が向かないでいましたが、10月から平日の開演時間が改定されるという貼り出しが。

f:id:chomoku:20160907054829j:plain

「平日のお芝居は17時半から18時半、舞踊19時から20時」と。つまり開演時間が遅くなって休憩時間が短縮。これはとってもありがたい〜

 

浪花劇団@ゆの蔵9月公演

9月29日お昼の部まで 15日ロング公演 16日休演
昼の部:お芝居11時半から12時半・舞踊ショー14時から15時
夜の部:お芝居17時から18時 ・ 舞踊ショー20時から21時
料金: 1,000円 (21時以降入館は800円)

天然温泉ゆの蔵
門真市新橋町33-11
京阪線大阪モノレール「門真駅」徒歩10分
詳細はゆの蔵のページをご覧ください

 

www.yunokura.net



 

Copyright © chomoku All Right Reserved.