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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年8月18日夜の部 まな美座@新吉宗劇場 お芝居「涙橋」旅芝居の風2 叶わなかった夢をいま

8月18日夜の部 新吉宗劇場へ お芝居は「涙橋」でした

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(まな美座さんはお芝居の写真撮影はOK 座長に承諾いただき撮らせてもらいました) 

 

あらすじ(冒頭のみ)と配役

大衆演劇の定番のお外題の1つで、親と子の情愛を描いた時代人情劇。
1幕1景、1時間15分。

配役

  • うどん店女将     島崎寿恵座長
  • 雨太郎(本名雪太郎) 神野泰志座長(劇団神楽)
  • お熊婆さん      雅舞子副座長(劇団神楽)
  • 馴染み客の大工    神野昌樹さん(劇団神楽)
  • 十手持ち役人     里見剣次郎さん
  • うどん店店員 おはな    夢一途さん 

橋のたもとにあるうどん店。小さいながらも繁盛している。この日も、馴染み客の大工、信州から息子探しの旅をしているというお婆さん(実は喰い逃げの常習犯のお熊)まで、ひっきりなし。どんなお客も温かく迎える女将。店員のお花も結婚が決まり、幸せそう。

女将は、十数年前、生活苦からこの橋のたもとに"捨て子"をした。しかしそれは一時の気の迷い、慌てて引き返したが、すでにこどもの姿はなかった。以来、いつか会えるかもしれないと思うと、ここを離れることができない。

そろそろ店じまいという時、1人の若い男が橋の上に現れる。なにやらワケありな風。声をかける女将に対して、警戒する男。しかし粘り強く語りかける女将の優しさに、打ち解けて、うどんをご馳走になることに。

実は男は、窃盗の罪で役人に追われている最中だったーー 

 

感想など 

「涙橋」は、これまで何度か見たことのあるお芝居で、劇団によって設定やストーリーに違いがあります。ずっと離れていた親子がやっと巡り会えた、という場面に立ち会うのですから、見る側も毎回大変?なお芝居でして(←もちろん良い意味で!)。

今回の舞台でも、先の写真を見直してもじんわりこみ上げてくる、あったかいものを、もらったような思いです。

その1つに、座長の島崎寿恵さんが、あまりにも、このお芝居の女将そのままで、いらっしゃることから。。。

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座長の口上挨拶。毎回舞台にかける情熱に溢れたお話と、お客への謝辞を述べられるのに、聞き入ってしまいます。「あ、これは対話や」と思いました。

客席は、とりわけ夜の部は、決して多くない。それでも「座長が好きで毎日来ている」という方がたが、お芝居の幕が閉まると同時に「よかったわあ」と口々に言われるのが聞こえます。

 

一鉢のうどんに込められたもの

ちょっとだけネタバレですみません:

生き別れた息子・雨太郎(本名雪太郎)に、なんとか詫びたくて、女将はある提案をします。「おばさんが食べさせてあげようか」と。「え、そんな、いいよいいよ」と雨太郎。まあ当然ですよね。いい歳して恥ずかしいし。

でも女将は諦めない。それで、とうとう「・・・じゃあ、食べさせてもらおうかな」と。雨太郎が言う。

実はこういうの、わたしちょっとこっぱずかしくて、はじめ正視できないでいたのですが、、、ここ、大切な、とても大切なシーンだと思いました。

母にとっての夢 なんですね。叶わなかった夢。そしてそれは息子にとっても「夢」だった。ずっと夢見ていたことだったんだーーそう思うと、涙がこぼれた。

そして、思いました、というか気づきました。

冒頭から、女将はいろいろな人に、うどんを給するんですね。
中には、無賃で。あるとき払いで。

見ず知らずの人に対して、惜しみなく給される、心づくしの、あったかいうどん。

大衆演劇をこれほど象徴しているものはあるだろうか、と。

 

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「うんめえなあ」「1階の喫茶店で作りたてだからね」 と女将。こういう返しも大衆演劇らしくて好きだなあ

 

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夜の部を見越して掲げられていた「大入り」の幕

 

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この日のゲスト 劇団神楽から神野泰志座長・雅舞子副座長(寿恵座長の娘さんだそうです)「おしどり」

 

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 同じく劇団神楽神野昌樹さん「よされ節」

 

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役人役 里見剣次郎さん お芝居を引き締める 貫禄の演技
舞踊は「思い出ぽろぽろ」

 

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媛野瑚南さん「江戸の闇太郎」
この方の舞踊には一目惚れでした。こどもらしい、この歳にしかできない、素直でまっすぐな舞踊。旅の一座の子らがこうして1つ1つ教わってきただろうことを、思馳せられます。

 

観劇こぼれ話

この日、開演時間を勘違いしてかなり早めに着いてしまったところ、ラッキーなことに、劇場階下の喫茶店でコーヒーを飲んでいらっしゃる寿恵座長が、見つけて声をかけてくださったので、4回めにして、友人から教えてもらって観に参ったことを、伝えることができました。

同じ関西とはいえ、うちから和歌山までは遠く、夜の部は最後まで居れないので、なかなかチャンスがなく、やっと叶ってありがたかったです。

座長はとても喜んでくださって、先日もやっぱり同じ方の紹介で外国の方が来てくださったんですよ、と。

大がかりな宣伝手段はなく、人づてで伝えていく。わずかかもしれないし、遅いかもしれない、けれど、確かな温かみとともに。。。

 

劇場に行くまでに川があります  

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帰りはとっぷりと暮れ、水面に揺れる建物の影を眺めながら
「和歌山いいとこやわあ」とプチ旅愁にひたる、旅芝居への旅です。 

 

2016年8月まな美座公演

8月30日 お昼の部まで
の部12時から 夜の部17時半から
木戸銭:1700円 前売:1400円

新吉宗劇場
和歌山市新雑賀町1-1
JR阪和線和歌山駅」・「南海和歌山市駅」から徒歩15分
(駅からバスで「本町3丁目」下車 城北通を南へ徒歩5分ほど)
電話:073-425-7666

 

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劇場への詳細は「カン★ゲキ」の案内ページをごらんください: 

新吉宗劇場 | カン★ゲキ 関西大衆演劇情報誌

 

 

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