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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年2月19日お芝居「兄弟とんぼ」本家真芸座@鈴成り座

大衆演劇 本家真芸座

2016年2月19日 鈴成り座(大阪市西成区)本家真芸座公演 夜の部へ
お芝居は「兄弟とんぼ」でした。

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エンディングショー「大江戸喧嘩花」から

 

(あらすじ)

やくざ渡世に生きる男たちの悲哀と情を描いた物語。

源太(片岡大五郎座長)は「兄貴」(豊島屋虎太朗さん)とふたりで、やくざ出入りの助っ人稼業で、渡り歩いている。

 

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源太 片岡大五郎座長 

 

そんなふたりの旅に、転機が訪れる。

源太が、大井川の旅籠でおよし(矢島京子さん)という女中と出会い、いい仲になり、子ができた言うのだ。そして、およしと一緒になるために、やくざ稼業から足を洗い、堅気になりたいと、兄貴に打ち明ける。

源太の申し出を快く認める兄貴。もう二度とやくざ稼業に戻るんじゃないぞと、路銀まで持たせて見送る。

 

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兄貴 豊島屋虎太朗さん

 

その後。源太は、およしと夫婦になり、赤子を育てながら、魚屋として働き、ささやかながら幸せに暮らていた。

 

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およし 矢島京子さん

 

そこに、まむしの親分(真城匠さん)がやってきて、敵対している武蔵屋の親分の首をとってこいと言う。

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まむしの親分 真城匠さん 

 

仕事を世話してやった俺の頼みが聞けねえとは恩知らずの犬畜生だと貶す親分に、源太は我慢ならず、1度だけだと引き受けてしまう。しかし、そこには、二重三重に、辛い運命が待っていた。。。

 

 

(感想など)

約55分、1幕3景。

好きなところがたくさんあって、じんわりと、いまなお浸って考えています。

冒頭で、峠の茶屋で一服する兄貴と源太が語るシーン。

 

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茶屋の娘 片岡小梅さん

 

兄貴が源太にお金を渡すとき、お財布から1両だけ抜いて渡すのです。それを見て、わたしは「そうか、さすがに自分の分も要るよね」と思っていると、そうじゃなくて、兄貴、それを茶屋の支払いに置くのです「釣りはいらねえよ」と。

「なあに、おれたち渡世人は、旅先で『ごめんなすって』と仁義をきれば、何処にいたって、お天道さまと飯がついてくらあ」ーー

考えも、持ち物も、じつに身軽な兄貴。

花道を去ってゆく源太を、微笑みながら、少し寂しそうに見送って。

 

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豊島屋"兄貴"虎太朗さんの背中 羽織の柄が素敵だなあ

 

このあとの展開を見たあと、この冒頭のさりげないシーンには、じつにいろいろなことが詰まっていたんだなあと、気付かされるのでした。

 

 

 

  

"渡世"の不条理

大衆演劇の股旅系のお芝居には、知り合い同士が、斬り合わなければならないという場面が出てきます。

現代の感覚では、不条理すぎてついていけない。

それでも、自分の価値観をいったん横に置いて、お芝居上の渡世人たちが身をおく世界に、ひたすらコミットしながら(これには一定の訓練?(観劇回数?)が要るかも)舞台を見守っていきます。

 

源太、兄貴、武蔵屋の息子(片岡梅之助総座長)、そして「悪役」のまむしの親分も。それぞれが辛い運命を背負っている渡世に生きる男たち同士、どう折り合いをつけるか。。。それには、たった1つの方法しかなくて。

 

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武蔵屋の親分の息子 政五郎 片岡梅之助総座長

 

ひとりの「自己犠牲」の精神が、別のひとりの情(なさけ)を呼び、連鎖したはてに、奇跡のような結論に、いきつくのです。

しかしこれって究極の選択ですよね。。

 

 

ルワンダ東ティモールの究極の選択

ルワンダの民族対立で、多くのルワンダの民が殺されてしまった。憎悪から対立が激化し、また殺戮が起きる。止める方法はたった1つ。自分の身内を殺した相手と、和解すること、"敵"を許すことだと。

そんな難しいことを実現するために、現地でひとりひとり説得する活動を行っているという牧師さんの話を聞きました。

 

東ティモールでの英断。長引く民族対立で、武装解除させるために、なにをしたか。

"殺戮"をはたらいたひとたちから武装を解除させる条件として、彼らをなんと「無罪放免」にすることを出した、というのです。

平和運動団体からも猛反対された。傷ついた者、犠牲者が浮かばれないと。

それでも、なぜそれをしないといけないかというと、そうして1日先延ばしにすることで、次の犠牲が出るからだと。。。 

 

争いを止めるたった1つの方法

はじめは頭がクラクラしました。

敵と和解する、罪を問わない、そんなこと。

しかし、考えるだに、ほんとうに止めるためには、それしか方法がないのだと思ったとき、うわーっと叫びたくなりました。泣きました。

 世界で究極の選択として行われていることが、大衆演劇のお芝居のなかでも、語られているのです。

と、また壮大なことを言ってしまったーーーでもほんとうにそうなんです。

 

「仁義に生きて、情けに死ぬ、か。」

お芝居のなかで政五郎(梅之助総座長)がいう台詞。

 

でも、その情けは死なないと、信じます。

 

 

 

本家真芸座さん公演
  • 2月 鈴成り座(2月28日千秋楽)
  • 3月 十三遊楽館

 

 

 

 

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