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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2016年2月7日 お芝居「北向きの虎」本家真芸座@鈴成り座

2016年2月7日夜の部、鈴成り座(大阪市西成区)へ本家真芸座を観劇に。
お芝居は「北向きの虎」という現代劇でした。

(あらすじ)

北海道の炭鉱で働く"訳あり"の男たちを描いた人情劇。(1幕1景)

北海道の炭鉱のなかでも過酷なことで知られる"三番坑"の飯場。気の弱い新米炭鉱夫・新吉(片岡大五郎座長)が、先輩たちから、動きが遅いと難癖をつけられ、叩かれている。

 

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新吉 片岡大五郎座長

 

そこへ虎がふらっとやってくる。

「やめないか」

炭鉱夫のなかでも古株の虎は、自分と正反対の新吉が気になるのか、手荒ながらも、何かにつけ声をかけ、面倒を見ている様子。

 

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虎 片岡梅之助総座長

 

おい、新米、お前みたいなやつが、なんでこんなところで働いているんだ。

虎に促されて、身の上話をする新吉。

わたしは東京の者で、家には母親と姉がおります。貧乏暮らしゆえ、男の俺が働いて金を稼がなきゃならねえと思い、ここまでやってまいりやした。

身の上話をしているところに、向こうから女(矢島京子さん)が歩いてくる。

「姉さん!」叫ぶ新吉。

再会を喜ぶもつかのま、姉のおさよは、なんと目が見えなくなっていた。

 

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おさよ 矢島京子さん 

 

「新吉が送ってくれたお金を大切に仕舞っていたが、あるとき、泥棒が。取り返そうとしたおっかさんを殺し、わたしには火鉢の灰を投げつけて逃げた。その灰が目に入ってしまって、このように見えなくなってしまったんだ」と、涙ながらに話す。

「一人では生きていけないから、弟のところへ行けと、近所の人が少しの旅費をくれて出てきたものの、連絡船でお金を取られ、散々な目に。何度も死のうと思ったが、そのたびにお前の声が聞こえてきてね。おかげでなんとか訪ねてこれた・・・」

 

おさよの話を、黙って聞いていた虎が、突然、割って入ってきた。

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お芝居終了後 口上挨拶される総座長

 

「仮に、母親を殺した相手が現れたらどうする。憎いか。仇を討つか」

そして続けて言う「久しぶりだな」

驚くおさよ「その声は、、虎さん?!」

北海道の三番坑で、東京での真相が明らかになるーーー

 

 

花道からくる人が舞台の空気を塗り替える

約1時間、場面転換なし。それぞれの"語り"と所作で見せるお芝居です。

前半、博打で徹夜明けの虎が、昼寝をするから親方が来たら起こせと、自分の足と新吉の足に紐をつけて頼むのだけれど、新吉がすぐに忘れて立ち上がるものだから、そのたびに虎が転げ落ちるので、わははと笑って和んでいたら、花道から、おさよが、物語に影を落とす空気を連れて歩いてくる。場面展開がなくても、舞台が転換する瞬間。

それぞれの渾身の演技に、静まり返り、食い入るように観ていました。

 

悲しい男の物語と「救い」

虎という男の、言われえぬ孤独と、つい口をついて出てしまう乱暴な言葉。その裏にはやっぱり掛け値なしの優しさが、あふれんばかりにあって。

また、最後、、、ちょっとだけネタバレで書いてしまいますが、最後に、虎にも救いがあるのです。

最果ての地のような三番坑で、虎の最後は、孤独じゃなかった。

 

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 親方 豊島屋虎太朗さん

 

最後に、親方がつけてくれる煙草。震えながら吸い、うまそうに吐く虎・・・

人は一人では生きられない。

袖すり合うも多生の縁。

情けは、地獄にだってあるのだと。

そのことによって、観ているほうも、救われるのでした。

  

役者のうつくしい横顔

・・・と、一人の男の孤独極まる辛い話で、涙なしでは見られないのですが、ラストシーンの梅之助総座長の横顔があまりにうつくしくて、、、いや、ほんとにうつくしくて、目のやり場に困ってしまいました。

この時のわたしの顔、顔じゅうの筋肉が弛緩してどうしょうもない顔をしてたと思います。一人で観ててよかった。。。

あの場面のあの横顔、もう1回観たいわ〜なんて、身も蓋もない感想を書いてしまい、はずかしー限りですが、いやいや、ほんとうに。"絶品"でした。はい。。。

  

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"梅さま"の個人舞踊「梅川」これまたうつくしいこと

大人の女をとことん惑わす(だれやオバチャンとか言うてるの)、剛と柔、両方備えた、八面六臂の役者さんと思います。

本家真芸座さん公演

2月 鈴成り座(2月28日千秋楽)

3月 十三遊楽館

関西公演が続いて嬉しい限り

 

 

 

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