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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2015年の観劇まとめ こころに刻まれたお芝居15選 その2

たつみ演劇BOX 大衆演劇 新川劇団 劇団炎舞 劇団都 橘菊太郎劇団 沢田ひろしさん

2015年に観たお芝居185本から15選 その2です(その1はこちらです)
再掲になりますが、自分なりに設けた選定基準は:

  • まずはお芝居そのものの面白さ、好ましさ
  • 1カテゴリー3つまで
    喜劇・悲劇・新作・武士もの・股旅ものなど、ざっくりとカテゴリー分けして、1カテゴリにつき3つまでとし、バランス良く選ぶ
  • お外題の希少性・重要性
    大掛かりなセットを用いたものや、王道のものだけでなく、良質の小作品も入れる
  • プラスα その時の劇場の様子なども含めて
  • 1劇団3つまで
  • 1位の他は順不同とする

というものです。偏りつつも、偏らないように・・・笑

 

2015年に観ることができたお芝居から15選 (6〜10)


6.「夜叉ケ池」たつみ演劇BOX@朝日劇場 2015/5/5  夜の部

(意欲作・ケレン見)

俯瞰と湿度

たつみ演劇BOXのお芝居からどれか選ぶのは難しいと思っていました。でも、改めてリスト(家のもんには住所録の整理をしているふりしてExcelデータ化‥)を作って眺めましたら「夜叉ケ池」が、際立ってありました。データとして可視化するって大切ですねいやいや。。

泉鏡花の小説をベースにしたお芝居で、池の伝説と男女の恋、村の運命を描いた物語。有名なお話なのでネット上でも情報多数、あらすじを書き出すと膨大になるため割愛させてもらいます。この妖奇譚を、どう表現されるのか、想像もつかずにいたところ、主演たつみ小龍さんの、池の主・白雪姫様が、解き放たれるクライマックスに至るまで、特設セットで贅沢に見せてくれる演出と、緻密な心理描写、妖奇譚独特の湿り気を帯びた舞台。食いいるように見ていました。

「優れたファンタジーは極めて現実的である」
これは本で読んだ言葉ですが、このお芝居にも、当てはまります。「夜叉ケ池」の伝説を軽視する村人たちは、現代人の姿そのもの(この群像描写こそ特筆かも)。池の伝説を信じ、人里離れて暮らしている百合(小龍さん二役)と夫・萩原晃(ダイヤ座長)のほうが、地に足をつけている人間で。。。異世界に連れていかれながらも、突きつけられるリアリティ。優れたファンタジーの定義どおり。真に恐れるべきは現世なり…なのです。

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送り出しでのたつみ小龍さん (5/14)

 

 

 

7.「ゆうれい貸します」 新川劇団@梅南座 2015/11/3 夜の部

(喜劇)

女形が絶品のお芝居

「ギャグやアドリブで笑わせるのではなく、筋で笑わせるのが喜劇」と、観劇仲間が教えてくれました。筋がいのち。その意味でよくできた喜劇で、原作は山本周五郎「ゆうれい貸屋」というものです。

新川博也・笑也両座長は、女形役がめちゃめちゃうまい。女にしか見えません。とても可愛らしい女形です。このお芝居では笑也座長が女形、しかも「辰巳芸者の幽霊」役という、ややこしい(笑)御仁として登場。

女房に出ていかれた弥六のところに、芸者の幽霊・お染がおしかけ女房として現れる。最初は抵抗するものの、ゆうれいの強みを生かして尽くしてくれるので、いい仲に。調子よく過ごしているところに家賃の催促。2人は金策のために「ゆうれいを貸す」商売を始め、これが大当たり…

大詰め、弥六の浮気(未遂)に怒り狂ったお染が、憤怒のメイクで舞う「スリラー」は迫力満点。かっこいいやら、可笑しいやら。最後「人間生きてるときが花なんだ」と幽霊たちが言うところに、ほろっとさせられました。
他の劇団でも演じられていますが、笑也座長の女形は絶品&怪演なので、観てもらいたいなあ。

 

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相舞踊「泣かせやがってこの野郎」新川博也・笑也座長


 

 

8.「河内十人斬り」劇団炎舞@浪速クラブ 2015/8/16 昼の部

(定番・ヤクザ)

大衆演劇のメッカ大阪のいちばん熱い日

この日のお昼の、浪速クラブの熱気は忘れられません。「本家本元の"河内十人斬り"がかかる」とあって、客席には大衆演劇ファンが詰め寄せ、開演前から興奮気味。予約した席が一番前の花道側の端っこで「見づらいかも」と言われましたが、ここが良かった。

第1部が舞踊ショー、第2部がお芝居の前半、第3部がお芝居の後半という構成。普段は舞踊ショーのほうが好きという方が多いのですが、この日ばかりは別で、第1部から皆のこころは既にお芝居へと向かっているのが感じられました。

「河内十人斬り」は大阪府内で実際にあった残忍な殺人事件。炎鷹座長の父・橘魅乃瑠さんが大衆演劇のお芝居として立てられたものだそう。炎鷹座長が弥五郎を、熊太郎には、炎鷹座長の希望で、名優沢田ひろしさんというコンビで。ヤゴとクマを中心に、出演者全員、手加減なし容赦なしのがぶり寄り、クラブの舞台に地響きが轟く2時間半。

一番前で観たことで、気づいたことが2つ。1つは、第1部の幕切れ、激しい立ち回りで熊太郎のマイクが外れ、クリップ部分がぽろっと床に落ちたのです。目の前だったので拾うべきか?おろおろしていると、傷ついた熊太郎を背負って舞台袖にはけてきた弥五郎が、さっと蹴って舞台袖奥へ滑らせて処理。すごい冷静!よく見てる!この間、演技をやめることなく。
もう1つは、幕間に座員のもんたさんが塩をまいておられたこと。あとで尋ねましたら、激しい立ち回りがあるので怪我がないようにという清め?の塩だったそうです。もんたさん、終演後、泣いておられました。安堵されたのでしょう。

「うちにとって大事な芝居」と、炎鷹座長が口上で言われたとおり、この公演日は、今年の大阪の大衆演劇にとっても大事な1日だったのではないだろうか。これぞ芝居小屋!の熱狂に浸りました。

 

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カーテンコールで 左 沢田ひろしさん・右 炎鷹座長 

 

 

 

9.「お吉物語」 劇団都@朝日劇場 2015/6/16 夜の部

(定番・悲劇)

演技で頂点

舞台は黒船来航の下田。「開国」のうねりに巻き込まれた、実在の女性の生涯を描いたお芝居で、いろいろな劇団で演じられています。

主演藤乃かな座長、ゲストに愛京花さん、長谷川武弥さん。お芝居のセットの都合上、舞踊ショーが先で、お芝居が後という構成。2時間超える大作。藤乃かな座長の芝居の域を超えた熱演に、思い出しても胸がぎゅうと締め付けられます。

劇団都のお芝居のなかから、これをあげた理由は、かな座長の、ぶっちぎりの熱演が、、、かな座長のお吉が、他の選択をさせなかったから。この記事ではお芝居中心に書いていますが、もしも「演技」に特化して書くなら、このお吉を頂点にすると思います。

悲劇です。取り返しがつかないほどに。でも、だからこそ、見届けるひと(観客)が要る。見届けるひとがいる限り、決して悲劇ではない。こんなことがあったのだと、その存在を知るひとがいることで、不遇だったお吉の魂が少しでも慰められると信じています。そしてかな座長こそが、この日、お吉にとって誰よりも近い存在だったのではないだろうか。。。

終演後、かな座長はお吉のまま、送り出しにおられました。恐縮しつつ、やはり残しておきたくて写真をお願いしました。下の写真に小さく載せさせてもらいます。

 

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10.「竹の水仙橘菊太郎劇団@新開地劇場 2015/7/18 昼の部

(喜劇・浪曲応用劇)

目福・耳福の好芝居

落語の演目をお芝居にしたてたものだそうです。
粗末な身なりで宿屋に逗留している謎の男。宿屋の女房は、毎日お酒や料理を運ぶものの、一向に支払う気配がないので、亭主に催促させたところ、無一文。男は竹で水仙を作り、宿の玄関先に置けと言う。売れた分で支払うからと。こんな竹細工が売れるんかいな、訝しがる亭主。しかし、通りすがりの立派なお侍が、言い値で買うというので、びっくり。それもそのはず、男は名工と名高い大工・左甚五郎だった。

新開地の立派なセットで格調高く、合間に浪曲を挟みながら進行する趣向も、1粒で2度美味しい、よく出来たお芝居。楽しかった〜
落語や浪曲のことは不勉強なので、あとで調べました。分かるとさらに面白い。大衆演劇ほんと勉強になります。

お芝居は言葉の宝庫。むかしの例えや言い回しが好きで、メモしています。この日もたくさん拾いました。「夏のぼたもち」(明日の朝まで持たない)「 ”こも着ても 乞食じゃないぞな 寒椿”と言うてな」など、ここぞというときに使おうと思います(いつ使うんや)。

 

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橘大五郎座長の左甚五郎、飄々と憎らしいほどかっこいい男ぶり
(写真は同日ミニショーより)

 

やっと10。あと5つです〜〜(年賀状手付かず..)
年をまたがってしまいそうですが、引き続きお付き合いいただければうれしいです!

 

 

 

 

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