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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2015年の観劇まとめ こころに残る個人舞踊9選

年末の忙しい最中こっそり2015年の観劇からこころに残った舞台を選ぶために、1年分の写真とメモを楽しく振り返り中。。。先の記事ではお芝居15選のうち、5本について書きました。あと10本、書き残ってますが、さきに個人舞踊の方を書きます。

お芝居は185本と数えられても、踊り手の人数はさすがに数えられず^^;
44劇団184公演からということで…10選と思ったのですが、どうしても10選目が決まらず、9つの舞踊に(選べたら追記したいと思います、重要なのが抜けていたらどうしよう…)。

お芝居同様、舞踊を選ぶ際にも自分なりに設定した選定基準は

  • 1名様3舞踊まで
  • 1劇団3名様まで
  • さっくりカテゴリー分けして1カテゴリーから3人まで
    女形・立ち・若手・ベテラン・演歌・POPSなど)

です。しかしこの基準を意識するまでもなく、バランスよくというか、いい感じに?ばらつきました。

 

1.市川英儒座長(優伎座)@オーエス劇場(大阪市西成区
 「また君に恋してるアメイジング・グレイス」2015.12.19

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こころのなかの涙の海

大衆演劇舞踊でよく使われる演歌「また君に恋してる」から、一転「アメイジング・グレース」へつながる展開。女形、シンプルな着物で。

ツイッターでも書いたのですが、楽曲が大音量で鳴り響いているのに、その舞からは「音」が感じられないのです。注がれる光のなか、目に見えないものと踊っているようにも、見えて。また、なんと言ったらいいのだろう、けっして「泣かせる」ための舞踊ではないのに、胸が締め付けられる。涙が出そうになるのだけれど出ず、それは外にはこぼれず、胸のなかに海のように広がる。こころのなかは悲しみを含みつつも、満たされていく。。。

舞踊を観て、感動して、声が漏れたり涙が出たりと、その感動が放出することはあっても、こころのうちに溜まって満たされるように感じたのは初めてで、そんな気持ちを噛み締め観入っていました。終わって欲しくない、ほんとうにうつくしい舞踊でした。

 

2.蛇々丸さん(浪花劇団)@千鳥劇場(大阪府高槻市
 「一番星ブルース」2015.6.7

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孤高の渋星

蛇々丸さんの芸と佇まいがだい好きで、選ぶのは難しい。これぞ大衆演劇!という「会津の小鉄」か、ザ・男の演歌の「南部酒」か。迷って、この日この歌での舞踊が際立っていたので。写真が撮れてなくて、わずかにこれ1枚(涙)。

「ガキの頃なら願かける/そんな習慣もあったけど/今じゃ行く末見るような/星の流れのはかなさよ」のところ、力強く繰り出される当て振り。千鳥劇場の雰囲気が、よく合っていました。星が、人知れず漆黒の空を渡るように、夜の部まばらな客席を前に、舞台いっぱい滑るように舞ってゆく。最後、ドラムが轟き、舞手は大きく回る。激しくうねるエレキギター、その頂点で「ジャン!」とカッティング、と、同時に、天井を見上げてフィニッシュへ。 高く上げた手を下ろし、胸に当てて一礼、舞台袖に消える。渋すぎて溜息。。

 

3.沢村菊乃助座長(玄海劇団)@梅南座大阪市西成区
  2015年5月14日 三河家桃太郎劇団ゲスト出演「貝殻節」

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九州の海と土の匂い

5月の三河家桃太郎劇団の梅南座公演はほんとうに楽しかった。観たかった本家本元「マリア観音」や、伝説?の「湯島の白梅」の上演もあり、スケジュール工面して通っていました。月の途中から、沢村菊乃助さんがゲストで参加。その初日のミニショーラストがこの「貝殻節」でした。

「何の因果で 貝殻漕ぎなろうた/カワイヤノー カワイヤノ」男性の歌声がろうろうと響くなか、大きく広げた両の手を前に差し出し、ひとうち、ふたうち。大阪のまちなかの劇場が一気に漁村の海岸になり、民謡の世界へ連れて行かれました。そのとき浮かんだのが「土の匂いがする舞踊」という言葉でした(なぜか海ではなくて土)。都会にはない、土と埃の匂い、汗の匂い。。。すり足も、独特。素顔の菊乃助さんはゲームと漫画に造詣が深い(笑)超現代っ子だそうですが、舞踊では完璧に古典の世界の住人なのが不思議。「血」と「地」のなせる技、なんやろうか。。。

 

 

 

4.三河家諒さん(フリーランス

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全面信頼

諒さんが舞台に現れた瞬間、客席から必ず「はあ〜」と声が漏れます。何度も見るのに、何度見ても「はあ〜」と言うてしまう。「きれいやなあ」とお客が言えば、すかさず「せやろ」と諒さんが返す。それが全然嫌味じゃない。出てくるだけでこころ掴まれる、天性の役者さんです。どの曲か、迷ったのですが、全然選べない。それくらいいつも手放しで頭んなかからっぽにして、酔いしれる。撮れた写真のなかから9月の新開地劇場、たつみ演劇BOXゲスト出演のものを載せています。この梅の花の半襟、好きなんです。女形から袴踊りまで、何を舞ってもかっこいい!

 

 

 

5.嵐山瞳太郎さん(たつみ演劇BOX) 

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愛の花束、愛の鐘

好きな舞踊がありすぎて、選べないお方です。瞳太郎さんといえばやっぱり「この鐘を鳴らすのはあなた」だろうか。「愛を込めて花束を」もいいな。「マッチ棒」「港のヨーコ」など、他ではあまり踊られていない選曲もツボです。大きく目を見開き、舞台の隅から隅まで"瞳太郎色"に塗り替えていく、渾身の舞踊。自身の世界を持っている役者さん。現代的で、際立つ個性があるのだけれど、普遍的。ちゃんと"基礎"があるからなのでしょう。「"座長"よりお客を呼ぶひと」と、浅井研二郎座長。その通りで、わたしも関西でゲスト出演されるときはほとんど観に行ってしまいました。写真は11月17日、梅南座の新川劇団へのゲスト出演の際に撮ったものから選びました。

 

 

6.天夜叉さん(フリーランス)「神鳴りの唄」
  @庄内天満座(豊中市) 2015.10.27 劇団松丸家ゲスト出演

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傾奇ものフリーダム

庄内天満座に貼り出されたゲストの告知を見た瞬間、マイセンサーが反応しました。「これは見ないといけない」と。ワイルドサイド、グラムでロックな匂いがプンプンする、いまをときめく傾奇者(わたしのなかで)一目で魅了されました。

コンサートなどでよくある「みなさん手拍子お願いしまーす」という場面。わたしのなかで、手拍子したくなるひと、"強要"されてもしたくないひとがありまして、これって天性の人徳、そして「ステージ」をわかっているかどうかで決まる気がします。促されなくても、自ずと手拍子したくなるミュージシャンって、いるんですよね。天夜叉さんから「手拍子を」と促されたとき、もう喜んで!応じました。ステージを分かっていらっしゃる。中央にはない、アウトローだけが纏うことができる色気がムンムン。Nobody can't stop him!

 

 

 7.都若丸座長(都若丸劇団)「と・も・こ」
  @花園会館(京都市) 2015年1月12日

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ストーリーテラー

大衆演劇を観てから知った曲は、たくさんあります。吉幾三の問題作(?)「と・も・こ」も、その1つ。ギターの爪弾きにのせ、津軽弁の語りで始まります。「とも子と二人で暮らしてた頃、ハッピーでナウな日々だった…」やがて「ともこ」は買い物に出たっきりいなくなり、探しあてたときにはお腹に赤ちゃんがいた。「誰の子だ」って聞いたら「知らない」と泣くともこに、「男」は言います「かわいそうなともこ。あれから3回目の秋だ…」そしてようやく「歌」が始まります「この歌を/あなたに/聞かせたかった」と。。。若丸さんが完全にこの歌の「男」となって、「ともこ」を慈しみ、悼み、自分も傷つき、苦しみながら小さく笑う。物語が立ち上がる舞踊。となりのお客さんが「若ちゃん」と泣きながら、小さくつぶやくのが聞こえました。その方と、手を取り合えばよかった。同じ気持ちだったから。他のかたもそうだったのではないかな。。。大人気劇団の大人気座長。毎回毎回全力投球、完全燃焼。ここまで出来るかた、見たことない。「と・も・こ」はこれ以降当たらずで、もう一度見たくてたまらないです。(写真は都合上、別の日のものです)

 

 

 

8.澤村かずま座長(春陽座)「ひとり旅〜りんご追分〜ひとり旅」
  @弁天座(大和高田市) 2015年8月19日

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客席がほころんでゆく

佐良直美さんの「ひとり旅」も、大衆演劇で知った曲です。舞踊ショーでしょっちゅう使われる歌の1つで、たくさんの役者さんが踊っておられるのを観たなかでは、この日のかずま座長の「ひとり旅」が、とくに印象深かったので。

写真は上の通り、写りが悪いのですが、、ミニショーラストで、客席から登場。じつはこの日、客席の雰囲気がちょっと硬かったんですが、かずま座長がこの歌詞の主人公のように、居酒屋の席のひとに話しかけるように客席を回られて、場内が一気にほどけ、あったかくなったのを覚えています。途中で美空ひばりさんの「りんご追分」が挿入されるのも、何度か見たような。。。一瞬ちょっとしんみりとして、再びぽんっと「ひとり旅」に戻り、我に返って飲み始める主人公。亡くしたひとの面影胸にしまいながら・・・。客席のみなさん目をハートマークにしながら見入ってました。わたしもですが。。。朗らかなかずま座長に、この歌がよく合ってたなあ。

 

 

9.姫川寿賀座長(劇団春)「悲しい酒」
  @オーエス劇場 2015年5月 

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百合の花のような

お芝居中は、果敢な股旅姿で、身体をはったギャグでも下ネタもどんとこいで、ハジけまくる姫川寿賀座長、舞踊になれば一転、百合の花のような舞踊家に。5月のオーエス劇場での「悲しい酒」では、上品な白無地の着物と紫の帯で、しっとり湿り気を帯びた色香を放ちながら登場。舞台中央で、くる…っと回られたとき、あまりにきれいに転回されたので、回転台に乗っているのかと思ったほど。どうやったらそんなに流れるように回れるのでしょう。着付けも綺麗。「ここはボス(母小代美さん)が着付けるの上手いのよ」と、常連さんが教えてくれました。 

 

 

 

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