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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2015年の観劇まとめ こころに刻まれたお芝居15選 その1

大衆演劇 劇団松丸家 浪花劇団 都若丸劇団 春陽座 章劇

2015年は、余暇のほとんどの時間を観劇に注ぎ倒した結果、44劇団185本のお芝居を観ることができました。どんだけ芝居好きやねん〜ですが、なんのなんの、観ている方はもっと観ておられるのが、大衆演劇。まだまだ初心者のくせに僭越ですが、出会えた舞台に感謝を込めて、15本のお芝居を選ばせてもらいます。

自分なりに設定した選定基準
  • まずはお芝居そのものの面白さ、好ましさ
  • 1カテゴリー3つまで
    喜劇・悲劇・新作・武士もの・股旅ものなど、ざっくりとカテゴリー分けして、1カテゴリにつき3つまでとし、バランス良く選ぶ
  • お外題の希少性・重要性
    大掛かりなセットを用いたものや、王道のものだけでなく、良質の小作品も入れる
  • プラスα その時の劇場の様子なども含めて
  • 1劇団3つまで
  • 1位の他は順不同とする

です。偏りつつも、偏らないように・・・笑

 

2015年に観ることができたお芝居から15選 (1〜5)

1.「あばれ行灯」劇団松丸家@庄内天満座(豊中市) 10月4日 昼の部

(人情もの)

見終わった瞬間から、わたしのなかで今年ナンバー1に確定したお芝居です。渡世人の男が主人公の、大衆演劇らしいお芝居のなかに、極めて現代的な視点ーーそれも庶民の肌感覚からの語りかけで、本質をついていて、驚きました。

「草鞋を脱がせてもらった恩義」のために、何の恨みもないもの同士でも斬り合わなければならない渡世のさだめ。自分が負かした相手から、死に際、故郷の母の面倒をみてほしいと託された男。「おっかさんと別れたのは5歳の時だ、俺の顔なんて覚えちゃいねえ…」その言葉どおり、息子と偽って暮らし、百姓仕事をするなかで、これまでのヤクザ稼業がなんと虚しいものだったか、初めてもたらされる労働の喜びから知らされる。反面「自分が幸せになってもいいのだろうか」と悩み、「許嫁」との結婚に対し首を縦にふれずにいる。そこに殺された男の友人がやってくる。正体をばれされ、もはやこれまでと観念する男に、母親が言う「お前はわたしの息子だ」と。。。この「救済」に至る展開での、小弁太座長の熱演に、涙が止まりませんでした。

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松丸家小弁太座長 

1つ、ものすごくよいなあ!と思った台詞があって、送り出しの際に、座長に伺いましたら、ほとんどアドリブだったそうで、ますます驚きました。あれをアドリブで言ってしまえるって、大衆演劇の役者さん、どんだけすごいの??と。

また、このお芝居を見た日の夜の部、京橋羅い舞座で、たつみ演劇BOXの「武士道残酷物語」を観たのですが、「あばれ行灯」とあまりにも対照的、真逆の世界で、振り幅が大きくすぎて、頭のなかは完全にコンフュージョンに陥るという、個人的に濃厚すぎる日でした。

 

2.「情けの捕縄 親心」浪花劇団@千鳥劇場(高槻市)7月3日 昼の部

(人情もの)

発表されていたお外題から変更になって観たお芝居。主人公の男の母親役の大川龍子さんの演技が素晴らしくて、泣いて泣いて、頭が痛くなるほど泣きました。

故郷を飛び出した男が、盗みを働き罪人として捕らわれるも、故郷の母に一目会いたいと十手持ちの役人に懇願し、猶予をもらって再会する・・・という、大衆演劇では定番の「親子愛」がテーマのお芝居なのですが、浪花劇団版ではそこからもっと大きな視点の「許し」があって。母親は、全てわかったうえで、騙されて、許すのです。息子のことも、十手持ちのことも、包むように。どんなことがあったって、みんなわたしのかわいい息子だよ。そんなメッセージが、所作で語られていく「節劇」に、なりふり構わずわんわん泣いてました笑。

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大川龍子さん 歌も唸るばかりの上手さとその声量
大衆演劇界のアレサ・フランクリンと呼ばせてください

 

浪花劇団版「へちまの花」も、定番と異なる結末で、驚かされました。
わたしは、浪花劇団版「へちまの花」が断然好きです。



3.「千代田の嵐」都若丸劇団@花園会館(京都市) 1月21日 夜の部

(武士もの)

最初から最後まで、1本の糸がピーンとはったようなうつくしさで展開していくお芝居。舞台は江戸城内の役所らしきところ。書院番と取り巻きから妬みをうけ、自害へ追い込まれてしまった兄を、弟(若丸座長)が復讐する話。この復讐のシーンがみどころで、兄が受けた仕打ちを、弟が、そっくりなぞらえてやり返していくのです。物語がじわじわと巻き戻っていく感じが小気味よくてゾクゾクしました。最後は、、復讐を果たすも、悲しい幕切れ。。。

都若丸劇団のお芝居では、喜劇が人気外題としてあげられることが多いと思うのですが、わたしはこの1時間の枠にビシッとよくまとまったシリアスなお芝居に、惹かれます。殺陣の上手さとスピードに刮目。緊迫したシーンに入る若丸座長お得意の「外し」も、さいこう。このお外題、これ以来まったく当たらないので、また観たいなあ。

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花園会館新春特別公演 めったにない京都公演とあって、初詣もそこそこにひたすら若丸さん詣の1月

 

 

4.「人情廻り舞台」 春陽座@庄内天満座(豊中市) 11月4日 夜の部

(芸道もの)

役者が、役者を演じるお芝居が好きです。役者本人の思いから語られているのか、それとも台本通りのことなのか、フィクションと現実の境界が、溶けていくような、不思議な感覚にさせられます。このお芝居も、その1つです。

粗末な身なりをした病持ちの老いた男が、清水の次郎長親分のところにやってきて「サイコロ勝負」をしてくれと言う。かつては江戸の歌舞伎の舞台に立ったことがあるという男。死期が近いことを悟り、最後に、役者として活躍している息子に、楽屋暖簾や座布団を用立ててやりたい。次郎長は思いを汲んで、その男を贔屓筋の網元に仕立てた宴席を設け、花形役者を呼ぶ・・・

心座長演じる伝説の親分・清水次郎長の情け深さ、かずま座長演じる年老いた男の悲哀、まこと花形の新緑薫るようなうつくしい若役者ぶり、絶妙のキャスト。「語り」が多めなのですが、飽かず観られました。

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澤村かずま座長が花形に 「俺もまだまだそっちの役(若者役)が出来る年なのに、老け役ばっかりじゃ」と言っていたのが可笑しかった


大詰め。花形役者(息子)の台詞のつづきを、男が思わず読み上げる場面。みごとな口跡に、もしや父ではと駆けよろうとする息子を、制するときの、かずま座長の気迫ときたら、この上なかったです。うらぶれた暮らしをしながらも「芸」を忘れることはなかった。役者の執念の、無言の慟哭が、舞台じゅうに響くようでした。



5.「浪曲一代男」 章劇@ユーユーカイカン(四日市市) 8月24日 昼の部

(芸道もの)

関西の劇場では観る機会がない章劇の舞台を、8月ユーユーカイカンで観られました。劇団も劇場も、関西のものとは雰囲気が異なって、新鮮でした。

浪曲師の物語。弟弟子「照月」(瀬川伸太郎座長)が実力を買われ、前座に起用されるばかりではなく、師匠の娘も彼を慕っていることを、妬む兄弟子「弧月」(澤村連・当時福座長) が、彼を舞台に立てられなくなるように仕向け、照月は一座を追われる。数年後、渡世人になった照月。一座は弧月のせいで衰退の一途。今こそ恨みを晴らすときと、師匠と娘さんを救うべく、挑んでいく照月・・・

忘れられないのが、冒頭、照月が、師匠に促され、兄弟子たちを前に、浪曲を披露するシーン。せがしんさん、唄うまい!そして、それをうつむき、目だけをぎらっと光らせている連座長の、鬼気迫る演技。

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座を追われてから、浪曲師の夢を捨て渡世人になった照月の姿は、かの「一本刀土俵入」の茂兵衛と重なり、ほろり。

"強きひとよ 夢破れても 情けあり"  拙柳御免。

 

あと10本、、、

他にも個人舞踊とラストショーも。

書ききれるやろか。。。

 

 

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