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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2015年12月1日 京橋羅い舞座 劇団美山「紺屋と高尾」

12月初日夜の部 お芝居は「紺屋と高尾」ということで、第1部は「花魁道中」から。

開演5分前。舞台のほうから役者さんたちの足音が。幕の向こうに照明がつき、舞台中央に立つ「花魁」の姿が、うっすら幕ごしに見えました。なんて華やか!影を観ただけで、これから始まる舞台への期待が高まり、思わず声を漏らしてしまいます。 


魁道中。

 

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里見こうた若座長扮する「高尾太夫」 似合いすぎる!

高尾太夫の目を見はるばかりの美しさ、そして、若さ。

一目で心奪われる男の心情を疑似体験させられる、観客のわたしたち。

なんて美しいんや。なんて、可憐なんや・・。

 

やがて、ぎょうぎょうしい「儀式」のような闊歩をやめ、
しずかな笑みを浮かべ、太夫は言う

 

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「ぬしさんが来るのを待っていんぬにえ」ーーー

 

 

舞台はそのまま、第2部お芝居へ。

「紺屋と高尾」

大阪は紺屋の店先。働き者だった久造(里見たかし座長)が、お店の主人(中村㐂代子太夫元)の名代で、江戸へ行って無事済ませて戻ってのはいいが、「謎の病」にかかっているという。困り果てる医者(祐樹さん)と主人。誰か何か知っているか。一緒に江戸に行った政吉と新吉(京馬さん・笑窪さん)が「じつは・・・」と打ち明けます。

仕事を無事済ませた3人は「吉原」へ行った。そこで花魁道中と遭遇、天下に名だたる「高尾太夫」を見て、久蔵さんはすっかり恋に落ちてしまったのだと。

なんだって「恋わずらい」てか。おい、久蔵。へーい。降りてこんか。へーい。

なんども呼ばれて、ようやく2階からおりてくる久造。臆することなく、切々と苦しい胸の内を訴えます。そうなんです旦那様、あの日以来、寝ても覚めても、何をしていても、高尾太夫が「ぽっ」と現れ、あ、あっちにも「ぽっ」、こっちにも「ぽっ」、あ、ぽっぽっぽっ、で、仕事も何も手につかねえのです。

呆れる主人。しかしあまりに一途な久造に、つい主人もほだされて、なだめるように言います。

「いくら売れっ子とはいえ、お金を出せば会えるのだ。働いて稼げ。足りないぶんはおれが出してやる」と。

 

そして1年。死ぬ気で働いて貯めたお金に、足りないぶんを約束通り店の主人が足してくれた全財産の50両を持って、江戸へと向かいます。 ーー

 

落語などでも有名なこのお話、インターネット上でも多数の文献があるので、わたしがヘタに語るまでもないほど。

また、劇団美山の「紺屋と高尾」は、DVDとして発売されている劇団代表作の1つで、劇場で隣り合わせた方々も「もう何遍も見ている」と言われていました。

わたしが「今回初めて観ました」と言うと、

「まあ、そうなの。でも、前よりまたパワーアップしてるわよ」とのこと。

 

さて、舞台転換あって、江戸は吉原「三浦屋」。恋い焦がれた高尾太夫との逢瀬が叶う久造。高尾もまた、あの日、雑踏の中で久蔵を見て、「あちきもぬしさんのことが忘れられなかった」と言います。えええ、うっそーっ。マジで?? 現代っ子的リアクションで、喜びに悶絶する久造に、客席も大笑い。狂言回し的存在の里見ゆうきさん扮するお医者さんとの掛け合いなど、さすが人気のお外題、お約束の絡みが多数あるようで、みなさん既に笑うポイントを知っておられて、それらが来る前からじわじわと笑いが起こりはじめ、待ってましたという感じで、どっとわきます。 

 

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口上挨拶 芝居の扮装の里見たかしさんと、ゆうきさん。

 

そんな笑いの渦のなかで、わたしは、、、泣いてました。笑うよりも、泣けて泣けて。

 

華やかな座敷とは裏腹の、過酷な日々と虚構の世界にがんじがらめの高尾太夫

紺屋勤めの給金を一銭も使わずに貯めた全財産かき集めても、太夫に会うために必要な50両には、全然足りない、しがない職人の久造

江戸の格差社会。太夫は、こんな市井に朴訥と生きる若者にこれまで会ったことがなかったことでしょう。真面目で一途な久造の、かけねなしの嘘のない言葉に、太夫がいっぺんにほだされる気持ちが、痛いほどわかる、というか、想像して余りあるといいましょうか。

 

「花魁」や「遊女」のことが知りたくて、何冊か読んだなかで、

村上喜代子さん著の「ゆうじょこう」

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井上理津子著 「さいごの色街 飛田」

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沖浦和光さん著「悪所の民俗誌」

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この3冊がとても良くて(他にもあったかもしれません、思い出したらまた書き足します)それまで自分のなかにあった「遊女像」がまるっと吹き飛ばされました。

大衆演劇でも「女郎」が登場するお芝居の見方も180度変わりました。 

 

こうたさん扮する高尾太夫の若さ(しつこいですが結構ここ重要)と美しさ。
繰り出される仕草の1つ1つ、芸術品のような、みごとな「花魁」。

ほんとうにはまり役だと思いました。

 

ラストは、1年後、約束通り、年季明けの高尾がやってきて・・・
遊女の語は悲しい結末のものが多いのなかでも「紺屋高尾」は数少ないハッピーエンドの物語。

第1部から第2部、まさに夢心地の、1時間15分でした。

 

第3部舞踊ショーのことも書きたいのですが、いったんこれでアップします。

 

 

 

 

 

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