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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

2015年12月1日オーエス劇場 優伎座 お芝居「喜太郎しぐれ」

12月1日 優伎座 オーエス劇場 お昼の部

お芝居は「喜太郎しぐれ」

ヤクザ一家に子連れの浪人夫婦が身を寄せている。浪人は病から目が見えなくなっている。その妻に横恋慕したヤクザ一家の親分は、厄介払いをしようと企む。浪人に「目が見えるようになるから」と、目無し地蔵にお参りに行かせた後、子分に殺しを命じる。赤ん坊も一緒に殺れ、と。

「何の罪とがもないお侍さん、ましてや赤ん坊の命まで奪うなんて出来ません」尻込みする子分たち。そこへ喜太郎が3日ぶりに真っ赤な襦袢姿でふらっと帰ってくる。博打で負けて、金子どころか身ぐるみ全部剥がされ、裸で帰る途中、なじみの女郎屋の女がこれ(襦袢)を貸してくれやしてね、と、どこまでも陽気な喜太郎。一文無しになったので、お金欲しさに、浪人殺しを引き受けることに。


ここまでは大衆演劇の定番のお芝居『源太しぐれ』とほぼ同じ。

違ったのは、ヤクザの親分が浪人の妻に片思いしている、というところ。『源太しぐれ』では、浪人の妻は、親分と既に好い仲で、「甲斐性なしの男は要らぬ」と結託している、つまり「毒婦」として登場するのが常ですが、『喜太郎しぐれ』では、妻は何も知らず夫の帰りを待っていて、喜太郎が浪人を助けたのち、妻も逃し、浪人と落ち合うように仕向けます。どちらがいいかどうかは意見が別れるとおもいますが、わたしはこのほうが納得して見ていられました。
また、この設定が、後半、生きてきます。

 

目無し地蔵の前。
喜太郎は浪人と赤ん坊を斬ろうと刀を構えるが、どうしても出来ない。
ええい、出来ねえ。赤ん坊が俺を見て笑うんだ。出来ねえ。出来ねえ。

それであっさり予定変更(笑)、喜太郎は浪人親子を逃すことに。

何度もお礼を言う浪人に、喜太郎は言います。


「(浪人に向かって)だんな、気楽に生きましょう。気楽にね。お侍さんは堅苦しくていけねえや」


胸がすくような台詞です。

「人助けって、格別に気持ちがいいもんだねえ」ーー

 

市川英儒座長演じる喜太郎は、陽気で楽天的、でも、どこか、影があって。

 

 「親分、こどもって、かわいいですねえ」

約束を果たさず、お金も返さないという喜太郎に、怒りでわなわな震える親分に対して、喜太郎がしみじみ言う台詞。とぼけているのではなく、本心から、出た言葉。。。

 

 浪人親子の命を助けただけでなく、有り金全部やってしまう喜太郎に、観客も「自分だって一文無しなのにどうするの?」と心配したり、「いくらなんでもやりすぎちゃうの?」なんて思うのですが、喜太郎がそこまでするには、やっぱりわけがあるのでした。


それが後半に。

喜太郎には田舎に家族がありました。若い頃、百姓暮らしに嫌気がさして飛び出したものの、ずっとずっと父母と妹のことが頭から離れない。会いたくて、でも会えなくて・・・。思い極まり、帰ってきたときには、ヤクザの親分を手にかけてしまったため、兇状の身でした。

一目だけでも会いたくてと言う喜太郎に、父は冷たく言い放ちます。

「それほどまでに会いたいなら、なぜ、堅気の姿で帰ってこないのだ」

御用提灯が囲むなか、喜太郎と父は・・・

 

喜太郎、父、喜太郎に助けてもらったお侍。それぞれが苦境のなかで、なけなしの思いやりをもって、いのちをかけて、相手に尽くそうとする姿が、4場に渡って描かれた、1時間15分のお芝居。

 

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お芝居終了後、舞台口上挨拶 「喜太郎」の扮装の市川英儒座長。

 

12月のオーエス劇場公演、初日は「大入り」も出て、客席も賑やかで楽しかった!

 

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ラスト舞踊「春夏秋冬花吹雪」

 

 

わたしは市川英儒座長の舞踊に強く惹かれます。

 

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しっとりした舞踊のとき。ところどころコミカルで、ちょっと昔のアイドル歌手の振り付けを思い出すような「当て振り」が入るとき。

 

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市川英儒座長 「星空の秋子」

 

スピーディに途切れなく繰り出される細やかな動き、所作の1つ1つに、目が離せないでいます。

  

中性的な「立ち」も好きだなあ

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市川英儒座長「花」

 

明るさのなかにつねに悲しみを湛えているような、憂いを含んだ表情

  

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「ずっと見ていたい」手放しで言うてしまう、不思議な魅力の役者さんです。

 

12月公演は23日までとのこと。

となると、あと何回来られるだろうか。1回でも多く観られるといいなあ。

(時間切れで、座長のことしか書けなかった、スミマセン)

 

 

 

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