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chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

大衆演劇と"忠治" 筑豊國太郎頭取 舞踊「忠治侠客旅」2017.1.9 筑紫桃太郎一座花の三兄弟@和歌山県岩出市夢芝居

大衆演劇 筑紫桃太郎一座花の三兄弟 舞踊ショー

 

震えが止まらなかった。

大衆演劇は、"時の澱"が込められた宝箱だーー

 

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筑豊國太郎頭取の個人舞踊「忠治侠客旅」

 

 

「リクエストはないですか。ないですね、、、」

さっと立ち去ろうとされたので、思いきってお願いしたのです。

「頭取の"忠治"が見たいです」

「忠治?ええと島津亜矢のかな。あれはねえ、もっと、体調がいい時じゃないとね」

「はい、すみません!!また来ます。また来ますので」 

慌てて言いました。

「みなさん、忠治の舞踊ね、綺麗な着物で踊るものではないんですよ。追われて追われて、ボロボロになって、が、本当の忠治。」

ひとしきり"忠治"について話されて、

「・・・踊りましょう。(楽屋に向かって)俺の"忠治"の、出してといて」

そう言って、踊ってくださった。

 

客席の後ろから登場。舞台に向かってあるいてゆく。

 

ひとめでわかった。

何年もの間、数え切れないくらい踊ってこられただろう重さが。

骨の髄まで染みついて、"忠治"が憑依しているのと違うかとさえ思った。

 

うまいとかそういうのではない、舞踊ですらないのかもしれない。

とか、書いてますが、じつは意識が飛んでしまって、あんまり覚えていない。。。

 

でも、

(ああ、大衆演劇だ。忠治だ。)

そう思ったことだけが、頭にこびりつきました。

 

格好よさとか、"芸"がどうとか、、

むしろそういうものを一切捨てて、"忠治"に添うてゆく執念。

 

 

今、朝倉喬司氏の「走れ国定忠治」を読んでいるところで

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現代書館 1996,ISBN:4768466818

 

"忠治"って、こんなに面白かったんやと、目鱗ボロボロでした。

恥ずかしながら表面的なことしか知らなかった。

 

『死を予定され、受け入れる』身体

第1章「国定忠治紀行」の、「『死を予定され、受け入れる』身体」という一節に、次のような文章があります:

"にっこり笑って人を斬る、国定忠治はよい男。"

こんな文句が、テキヤ衆のバナナのバサ売りのタンカにある。数え唄ふうに数字をタンカにのせていく「二」の部分が、この「にっこり・・・」ということになる。このフレーズは、つまりは「にっこり笑って、自分が死んでいく」態度の、いわば照れ隠しの反転鏡像である。

現に、国定忠治が嘉永三年一二月、大戸の関所に磔刑に処せられた時、彼はつけるのが決まりの目隠しを断り、しかも「笑って死んでいった」という地元吾妻郡坂上村の故老の話が残っている(萩原、前掲書)。本当かどうか確かめる術などないが、フォークロアとしては確実に残っている。

そしてこれは、「死を予定され、受け入れる」身体への、歴史的に形成されたなみなみならぬ思い入れを基底にして、忠治伝説の成立の核心をなすものとして、「残っている」といわざるをえない。(p.32)

 

すごい。すごい。

読み終えてないので、また改めて書かないとなりませんが、

先日、舞踊を見てーー 

大げさかもしれませんが、思ったんです。

大衆演劇は、国定忠治そのものだ、と。

 

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"筋を通した この生き様も
今宵限りと 仁王立ち
小松五郎を 万年溜の
水に浄めりゃ 赤城の月が
うつす忠治の
うつす忠治の 旅姿

「たとえ世間は変わろうと、
忠治は忠治で生きていかァ。」"

(「忠治侠客旅」歌唱 島津亜矢 / 作曲 村沢良介 / 作詞 たなかゆきを)

 

2017年1月 筑紫桃太郎一座花の三兄弟公演

夢芝居(和歌山県岩出市森118-1)
2017年1月30日まで

【昼の部】開演時間:12:00から
大人 1,500円 / 小人 1,000円
【夜の部】開演時間:17:30から
1,000円

 

yumesibai.com




 

2016年の大衆演劇へ感謝観劇 心に刻まれた舞台その4 〜「 歌」の楽しみ 5人の方のステージより

劇団あやめ 大衆演劇 章劇 浪花劇団 たつみ演劇BOX 劇団飛翔 観劇記録

2016年、テレビの中の歌い納め番組「紅白」や「レコ大」が終わったようですが、大衆演劇の舞台でも、この1年、素晴らしい歌のステージが繰り広げられておりました。

大衆演劇の役者の皆さん「歌」も相当達者でいらっしゃって、「なんでこんなに何でもできはるの!?」と驚いてばっかりです。歌唱はもちろん、その方ならではの持ち味と、「お客さんと一緒に」という心意気がみなぎるステージングが大好きです。たくさんの歌を聴かせてもらいました:

 

千鳥さん(劇団あやめ)@笑楽座 2016.7.30 千穐楽

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「感謝状」(作詞:星野哲郎 作曲:弦哲也

アカペラで。あまりのうまさにびっくり。力強く、艶やかでよく伸びる声。大衆演劇界のカストラート?!

千鳥さん「かーん しゃ じょうおお〜〜〜♪」

客席「パチパチ(うーんいいなあ〜)」
千鳥さん「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」(まだ伸びる)
客席「えええええ??(まだ伸びる?)」
千鳥さん「お〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜♪」(まだまだ伸びる)
客席「すすすすごい〜っ!!!」

この間、まったく息継ぎなし。どれくらい伸びたのか、ストップウォッチで測っておきたかったです。感嘆の声と拍手喝采。「ずっと聞いていたい」とお客さんがた、口々に。女が女に惚れる図でしたね。。。残念ながら1回しか当たらなかったので、また聞きたいなあ。

 

 

大川龍子さん(浪花劇団)@御所羅い舞座 2016.12.24 昼の部 

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「みんな夢の中」(作詞作曲:浜口庫之助

なくしてしまった恋を「どうせ夢だもの」と歌われる、歌詞は悲しいけれど 美しいメロディーの、しっとりとしたいい曲。大川龍子さんの歌唱で初めて知りました。

このブログでもなんども書いてますが大衆演劇界のアレサ・フランクリンと、勝手に呼ばせてもらっている大川龍子さん。大変な声量の御仁で、マイクセーブしないといけないくらいで、でも、時々リミッターを振り切って歌われる場面があり、その瞬間が「ゾクゾク(うーん、なんてソフルフル)」たまらんのでありました。

演歌と浪曲は旅かけてこそブルース。

世の連れ、人の連れ、流れてゆくのが吉。

 

 

澤村章太郎後見(章劇)@ユーユーカイカン 2016.5.26 昼の部

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「旅鴉半次郎 ふりむけば夕陽」(作詞:保富康午 作曲:遠藤実

歌といえばこのお方は外せません。2016年もやっぱりこの歌。他の会場ではどうなのでしょうか、ユーユーカイカンではこれを聴かないと幕が閉まらないほどの定着率・認知度です。

途中セリフのところ:

後見「お嬢さん!」
客席「はいっ!」
後見「(???戸惑いながら)お嬢さん!」
客席「(さらに大きな声で)はいっ!」

優しい後見は、客席を占める「元お嬢さん方」を、ちゃんと「お嬢さん」扱いしてくださるので(オッチャンも含め)、みんな笑顔ホクホク。

ハスキーで甘〜い低音にゾクゾク。いやー素敵であります。

 

 

恋瀬川翔炎座長(劇団飛翔)@明石ほんまち三白館、浪速クラブ他

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「炎」(作詞:三浦康照、作曲:和田香苗)

恋瀬川翔炎座長といえばこの歌ですよね。説明不要、初めての方も全員参加させてしまうパワー、巻き込み力は、業界随一ではないでしょうか。

座長「燃えろ燃えろ燃えろ♪」
客「しょーえん!」
座長「はいよ、燃えろ燃えろ燃えろ♪」
客「しょーえん!」
座長「なあに、炎よ燃えろ〜♪」

合いの手の中でも、この「なあに」というのが好きで、何回聞いてもクフフと笑んでいます。歌詞の「惚れた女を道連れに」のところを「惚れたお客を道連れに」と替えて歌うのが、しょーえんバージョンです。

 

 

小泉ダイヤ座長(たつみ演劇BOX)@新開地劇場 2016.10.6 夜の部

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「まずい歌ですが聞いてください」と言って歌い始められる、ダイヤ座長。朗かな地声での歌唱、持ち前の明るいムードのステージングに惹かれます。「DAIYA」の名とダイヤ柄の着物にも注目。

楽しみの1つに「ペンライト」。ダイヤさん、毎回、客席のペンライトの数を「日本野鳥の会」よろしく数え挙げられるのです。歌の最後に「今日は○○本でした。応援ありがとうございました〜!」と、発表してくれるのが嬉しくて、頑張って振ってます。

この年になってペンライトを振るとは思いもしませんでしたが、いやー、、、楽しいです。笑

ペンライトなどの「光りもの」を、観劇グッズとしてカバンに常備してまして、観劇以外にも自転車のライトにも使っています。

便利で可愛い子 なんですよ

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このあひるのペンライトは蛙子さん(@kaebullet)にいただいて、スペアを求めておもちゃ問屋さんへ、1ダース求めました。12本。どないすんねん〜と思いましたが、お譲りしたりしているうちに、使い切り、年末に補充しました。

 

大衆演劇の舞台の楽しみに1つの「歌」のコーナー。どの劇団さんにも、歌手がおられて、ここから知った歌、好きになった歌がたくさんあります。

2017年も楽しみに。。。  

 

 

 

 

2016年の大衆演劇へ感謝観劇 心に刻まれた舞台その3〜相舞踊、一人ラストショー、1か月の公演、客席でもらったものなど

大衆演劇 観劇記録 鹿島順一劇団 劇団花月 本家真芸座 舞踊ショー

2016年の観劇を振り返って 印象に深く残っている舞台から、お芝居も舞踊もまだまだ、ありすぎて書きれませんが、相舞踊、ラストショーなどを、思いつく順に、書き置きます。つらつらっと お付き合いください〜:

相舞踊「おさん茂兵衛」一條こま座長・大御笑佛さん 劇団花月@びわ湖座 2016.2.21夜の部 

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(2016.2.21 夜の部 劇団花月@琵琶湖座 舞踊ショーより)

 

一條こま座長と大御笑佛(おおみしょうこ)さん、女性二人による相舞踊。琵琶湖畔の夜に見た、淡い夢のような、数分間。実際のおさんと茂兵衛も、この日の舞踊のお二人のようにうら若く、世間に対してあまりにも無力なカップルではなかっただろうか。。 

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ブログの記事にしていますので、よかったらぜひ: 

2016年2月21日 夜の部 劇団花月@琵琶湖座 舞踊ショー「おさん茂兵衛」 - chomoku


 

「一本足踊り」鹿島順一座長@遊楽館 2016.10.8 夜の部

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"雨と雪に閉ざされた人生に暁差す日がきっと来る"

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これは個人舞踊ではなく「一人ラストショー」と思いました。三代目渾身の舞踊。「リクエストがあったのでもう1回どこかでやります」と言われ、絶対見たいと思ってました。予想通り?千秋楽のアンコールで。やったー!でした。

 

 

1ヶ月通しで参った公演

2月 本家真芸座@鈴成り座

初日には行けませんでしたが、1ヶ月間、よう通いました。
「たこ焼きプレゼント」の日も「抽選会」の日も、行きました。
洗剤が当たりました。ありがとうございます。

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鈴成り座のたこ焼き、うんまい!です。わたしのような他府県の者にとって、大阪のたこ焼きは総じて美味しく良心価格。梅南座のおでんといい、劇場で提供される食べ物のレベルの高さも、特筆せねばなりませんね。

抽選会も、初めてでした。お芝居に舞踊を見せてもらった上に、こんなおもてなしまで。どうお礼を言うたらいいやらでした。

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イベントの極め付けは、やはり「梅之助祭り」でしょうか。

総座長が久しぶりに主役を演じられたという「三浦屋孫次郎」に、「俵星玄蕃」のフルバージョンを至近距離で。強烈でした。しばらく立てなかったなあ。

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いつもひと月に5回行けたらいい方だったので、初めていっぱい通い詰め、1ヶ月という単位の公演の楽しみを知りました。

日を重ね、お芝居や舞踊ショー以外のところでも交流があり、その街の人との関係が醸成されていくんやなあ、、、そして、それら全部が、来年再来年の「ただいま」「おかえり」という挨拶になってゆくのやなあと、実感しました。

 

10月 鹿島順一劇団@遊楽館

再結成されて2ヶ月目の公演が大阪で。十三駅から徒歩3分、仕事終わりダッシュすればお芝居にギリギリ間に合うので、初日からいっぱい行きました。楽しかったー。お芝居にいっぱい泣き、笑い、客席でいっぱいしゃべって、いっぱい考えた1ヶ月。

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客演の春咲小紅さん だんだんお話しできるようになって嬉しかった~

 

ツイッター繋がりの方々とも会えて、毎日来ておられるという座つきの方とも話せる間柄に、そうそう、劇場のとなりのナイトクラブの呼び込みの方とも「こんにちは〜」と挨拶できるようになって、劇場までの道中でも日ごとに楽しみが増えました。

そして何を隠そう、この月でわたし、ハンチョウをかけられるようになったのでした。たはー。まだまだおっかなびっくりやってますが、もっとうまくかけられるようになりたいものです。

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例えば 甲斐文太さんのようなベテランの方に「ぶんた!」などと呼び捨てにするのにはまだまだ勇気が要るのですが
気後れせず、ますます盛り上げるわよ!ざちょう〜〜っ!

 

・・・と、あともう1記事、書けたら書きたいのですがーー(去年結局書けなかったし)日付は大晦日。次回はもう三番叟かしら・・・

 

2016年は、大衆演劇観劇ライフ大転機の1年でした。 ますます深みに、でも、いつかはうーんと気楽に、、、

来年も一層、よろしくお願いいたします〜〜〜

 

 

2016年の大衆演劇へ 感謝観劇 心に刻まれた舞台の数々より 〜 お芝居3つ

大衆演劇 新川劇団 浪花劇団 本家真芸座 観劇記録

 数えると200はとうに超えてました、2016年のお芝居。見せていただいた劇団さんは50超え、通算したら(ひええ)。選べるわけなどないのですが、振り返って、どうしょうもなく心に刺さってるなあと感じたお芝居の3つについて記します。

共通しているのは「この場ならではの味わいが伴っていたこと」と、言えるかな、、、

 

「刺青奇偶」新川劇団@梅南座 2016. 9.28 お昼1回公演

 次元が違う

こういう言い方は控えるべきと思うのですが、他の言葉が浮かばず。。。
幕が開いてから降りるまで、お芝居を貫く刹那的なムードも、たまらんかった。
思い出すだけで胸の奥が軋む。現世のどこにも存在しない、劇中世界へ連れて行ってもらえた、1時間と40分。
南座でかけられたというのも大きな要素と思います。 

ブログ記事にしていますので、どうか読んでやってください。

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半太郎役 新川笑也座長

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お仲役 新川博也座長 

 

chomoku.hatenablog.com

 

 

 

「河内十人斬り」浪花劇団@堺東羅い舞座 2016.8.24〜26

 なんと3日連続!で、かけられたお芝居。何考えとんねん〜って(←いい意味で)かける方もかける方、そして全日見に行く方もどうかしてますね、、、あ、わたしです、、ええ、万難排して馳せ参じました。

演じるにおそらく最もふさわしい場所で

大阪は堺にある劇場で、その地に馴染みある劇団が演じる。河内音頭のオンシーズン。シチュエーションも大事やと思います。客席で高齢の女性が「こんな事件があったんやて、知らんかったわ」「親戚が住んどるところや」と話すのが聞こえました。河内十人斬りの事件のことを書いたプリントを持っている方も。

口上挨拶でお芝居について語られる際にも、舞台の上でも下でもローカルネタという感じです。ちなみに「河内十人斬り」を描いた小説「告白」の著者町田康さんは堺出身のパンクロッカーなんですよ〜と、わたしも自ネタを披露してました。

代々、演じ続けてこられたそうです。今回「おやな」役(弥五郎の妹)に、子役・ベビーここさんが初挑戦と。無事、堂々演じられてました。終演後、そのことを説明なさろうとして、涙が止まらなくなってしまった座長。 

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に、思わずもらい泣き。

3日目。山狩の金剛山山中。サプライズゲストの浪花三ノ介さんが炭焼きの「愛媛県」に扮し、「お前のお母ちゃんも演っていたんだぞ」と、同じく初挑戦「飴虎」役のタイガー一心さんに言われました。

お芝居というセッション 

このあたり、物語の筋とは関係ないことかもですが、とてもとても大事なことで。劇団にとって、これは特別なお外題で、演者の間で共有しているものがありそうで。

ミュージシャンで言うたら、セッション? 例えばこんなイメージーー

久しぶり、大きくなったな。

何の曲、やろうか。〇〇の〇番?

交わすセリフは、楽器で言うたら音合わせのようなもの。

いつまでもこうしてお前たちと"音"を合わせ奏でていたいーー

以前のわたしなら、余計なことを言って物語を止めないで、と思ったと思います。ビシッと演ってほしいと。でもそれは、ちょっと違うな、、と、、、

大衆演劇のお芝居。代々受け継がれ、演っていく。そこに大義や意味を求めるのは、てめえ勝手のことだ。いや、もちろん、それも道理なのだけど、でも、単日のお芝居の「出来」ではなく、大きな流れで見たら、違った景色が見えてくるのではないだろうか。

また、兼ねてからどう解釈してよいか考えていたこの「問題作」を捉えるのに、道徳めいた話や有り体の芝居論の追求は一旦不要に。そんな風に思えるようになった、きっかけを与えてくれたお芝居でした。

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ベビーここさん 10歳 ひたむきさとよく通る声が胸に響きます
(同日送り出しで 写真がぶれてしまった..)

劇団の1本

ともあれ、劇団の「1本」。超力作。有無を言わさぬ。見応え十分。

弥五郎役に新之介座長、熊太郎役に蛇々丸さん。劇団HIRYUから近江春之助座長と近江大輔さんが、3日間ゲストで、松永家の身内役で出演。迫力、迫力、ど迫力。ガチの河内言葉が飛び交う。

押入りの残酷なシーンは「型」で。熊太郎の内縁の妻「おぬい」役・浪花しめじさんと、その母親「おかく」役・大川龍子さんが、身体を張った演技で「最期の絵」を、魅せてゆかれます。浪花劇団のこのような迫力と緩急ある演出が、とても好きです。

3日目はさすがに疲れが見えたような? でも、それすらも、お芝居の熊太郎と弥五郎の疲労困憊と相まってで、現実とお芝居の揺らぎとして受け止められる。そんな気がしました。

お芝居は、音楽だ。ただ鳴らすだけでも、意味があるーー

金剛山中のように奥深いです。

 

 

「沓掛時次郎」本家真芸座@明石ほんまち三白館 夜の部

「劇団の1本」の1つ、でしょうか(変な言い方ですね) 明石ほんまち三白館でお外題が発表になった時、是が非でも行かねば!と思いました。

あの劇場のどーんと長い花道を行く、ザ・股旅姿の"梅さま"の、伝家の宝刀ジグザグ歩きが、観たいじゃあありませんか。

1幕4景。

「あっしならここにおりますぜ」

「最後にお前さんのような立派な渡世人に会えてよかった・・・」

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筋とは直接関係ないけれど好きなシーン

見せ場がたくさん。

2景の、旅の流しの芸人に身を隠している時次郎とお絹親子が寒い街を歩くシーンがとても好きです。これより前の場所で見た時、時間の関係か、省略されていたのですが、ここがないと寂しい。物語の大筋にはあまり関係がないかもですが、こういうシーンが入ることで、ぐっと深まるんですよね。

格好よさとは

純情すぎる時次郎の、お絹への恋心。

「遅かった・・・お絹さん・・・」

大詰め。太郎坊役の子役・矢島扇華さんが踏ん張ります。

「もう、人殺しはやめてくんろーっ!」

強くて格好いい時次郎、だけど、その中身はとことん苦労人。太郎坊の哀願に、怒りを抑えて、丸腰で、地べたに這いつくばるように、命乞いをする。

「こどもの、、、面倒を見なけりゃならなえので、命までは、差し上げられません。片腕片足で、勘弁しておくんなせえ」

さっきまで大きく見えていた時次郎演じる梅之助総座長が、地べた(板)に同化するほど、低く、頭をこすりつけるように。

腕自慢としては、惨めかもしれない。でも、生きることへの執着をむき出しに、なりふり構わずのこの姿以上に、かっこいいものはないと思い、涙が止まらないのでした。

前場所で怪我をされていた矢島ひろみさんがお絹さん役で復帰。気迫がこもって、美しかったです。 

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ヒロインが光るほど「純愛」の切なさが増しますよね

明石ほんまち三白館は、こけら落としから1年という新しい劇場ですが、すでにお芝居小屋のムードが醸し出されていて、遠方のわたしもすっかり馴染んでいます。新しいのに、空間設計が今風ではないからかな。舞台も広くて立派な板。とりわけ、あの長ーい花道は、見るたびにワクワク。股旅芝居ならここで!と、声を大にして言いたいところです。 

 

長くなってしまいました、またまた一旦、続きますーー

 

 

 

2016年の大衆演劇へ感謝観劇 心に刻まれた舞台の数々より〜 個人舞踊6つ

大衆演劇 浪花劇団 劇団新 劇団あやめ 本家真芸座 筑紫桃太郎一座花の三兄弟 まな美座 観劇記録 舞踊ショー

 

「びっくりした」

1年振り返って、特に印象深かった舞踊を思いつくまま上げてみたところ、これがキーワードになっているような。

とにかく、びっくりした。表現に。技に。場との溶け具合に。

あと一つ挙げるとしたら「らしさ」かも、、、

「びっくり」と「らしさ」の、6つの舞踊です。

 

蛇々丸さん(浪花劇団)「追分鴉」@堺東羅い舞座 2016.8.6夜の部

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「流れ」のなかに

蛇々丸さんの舞踊には、フィギアスケートの実況中継のような解説をつけたくなるのです。「ここでターンを入れてきましたね」「おっと、1回転しました、綺麗ですねー」「さあそして花道での演技です」…というような。

滑るように繰り出される所作。曲のリズムと身体の動きが「ビタッ」と合っている。ダイナミックな時も、ゆったり動く時も、一縷の狂いもなく。リズム感の良さがハンパない。呼吸も、音符1つ1つに合わせておられるのと違うかな、と思うほど。その呼吸のタイミングが舞踊から伝播するからか、見ているうちに、"舞踊曲"の世界に、すーっと誘いこまれている。

それは作詞作曲者が描きたかっただろう世界であり、安易な自己主張など入る余地はない。それでいて、この方にしか表せないだろう確かさを、同時に感じます。

手。動かせば、空気がまるで弾力のあるもののように見えます。

うまく言えないのですが、圧がかかった空気の中で踊っているような、、そんな錯覚に陥る時もあります。

どの舞踊も好きで、泣く泣く?選んだ「追分鴉」は、強烈な1本。

「びっくり」しました。

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「沓掛時次郎」を歌ったものだそうです。冒頭「渡り鳥さえ一羽じゃないか…」遠く浅間の山を見つめる時次郎。思いの乱れを滲ませた表情に、心を持ってかれる。

「おっとどっこい」という合いの手から、アップテンポに転換、いなせな舞。気取って気取って、強がりの旅がらす。最後は、どどーんと大上段に高らかにフィナーレが鳴り、腕を高く上げ、落としてゆく(その時も曲の"タメ"とビタっと一致)。お芝居1本分に値する濃密な世界。曲自体も秀逸で、これぞ大衆演劇ならではの舞踊では、、と思わされたのでした。

 

 

片岡梅之助総座長(本家真芸座)「博多夜船」@鈴成り座 2016.2.4夜の部 +「朝花」@庄内天満座 2016.11.13夜の部

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 通称「ターンテーブルの舞踊で、「びっくり」した1本。

メジャーコードの美しい曲調。舞台上手からそそそそそとやってきて("梅さま"の「そそそ」は天下一品)、中央位置で「すっ」と腰を落とし「一回転」スタート。至近距離で見ましたが、回転させているはずの足の動きが全くわからない!ええええどうなってんの??と、おののいている客席に対して、舞手は終始余裕の笑み。手には扇を持って、ちょうど鳥が羽を広げたような姿勢のまま静止、銀ビラのかんざしだけがキラキラと渚のような光を放つ。立ち上がる前に、ちょっとだけ、本当にちょっとだけ"逆回転"されるのです。その時、わずかに上半身が揺れる。まるで機械仕掛けから解き放たれた人形のように。この瞬間がすんごい好き。1秒たりとも目が離せません。

 

もう1本の「朝花」は、11月の「梅之助祭り」の最後の個人舞踊。

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体調がすぐれないと言われていた中、敢行された「出ずっぱり」の日。終了予定時刻の21時もとうに回っていて、もう十分見せてもらった、もうラスト舞踊(総踊り)かな、、と思いきや、女形で登場されたのがこの曲でした。「びっくり」しました。

なんでここまで見せてくださるのだろう。時間が押してるし身体の大事をとって1本減らすこともできたはずで、お客さんも皆大満足やと思われました。それでも、決めた通り、やり遂げられる。いつもいつも鉄の意志を感じる。すごい舞台人や、この方は・・・ギフトのような1本。わたしゃこっそり泣いてました。

何かをいとおしむような目線。ミニマムな照明に浮かび上がる舞手は、影に包まれるようにも見える。衣裳、鬘も美しく、ラファエロの絵のようでした(拝)。

 

猿之助座長(劇団あやめ)「15の夜」@笑楽座 2016.7.23夜の部

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舞踏枠

この日は「猿之助祭り」超早着かえで魅せてくれました、もーすごいのなんの。エネルギッシュ。お得意の電飾もあり、これでもかと繰り出される舞台に、客席もおお盛り上がり。で、そんなめくるめく舞踊の中で、なんでこれなん?衣装もこの日の他の舞踊と比べると地味なもので。でも、これが最高〜に楽しくて、どストレート、そう、まるでミュージカルを見ているみたいで、テンションがあがったんです。

物議を醸し出したらしい?「盗んだバイクで走りだす♪」の歌詞を含む「15の夜」。

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夜中の街角、自販機から「熱い缶コーヒー」をプシュッと開ける当て振り。ゴミ箱へシュート!入らない。イラっとして、でも、拾って入れる。「大人たちは心を捨てろ捨てろと言うけど俺は嫌なのさ」胸をドン。盗んだバイクにまたがり、誰にも縛られたくないと、踊る、踊る。そして、出た、ヘッドバンキング!・・・ええ、ベタです。でもここまで徹底的に演じきれば、もう誰にも縛られようのない世界。そこには希望があるのです。

(上の写真、改めて見たらお着物がタータンチェックベイ・シティ・ローラーズを意識されたとかかしら…)
 

 

次の2本はミニショーから。

筑紫桃之助座長(筑紫桃太郎一座花の三兄弟)「深川がたくり橋」@オーエス劇場 2016.12.10夜の部

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赤い曲線

「びっくり」強烈な1本。
歌詞も、よくよく聞くと、どぎつい内容。舞踊も、、、R指定ですねこれは笑

筑紫桃之助座長はどこか女性的なムードがあるお方。薄手の生地に身体のラインが竹久夢二の絵の女性のように思いました。夢二の女性のように、"骨"の存在が感じられないほど、ひたすら曲線で表現される舞。

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真っ赤な衣装に真っ赤な照明。オーエス劇場ですから、場末の淫靡なムードが漂って。ミニショーからこれですかって。客席から聞こえてきた「わたしこれめちゃ好きやねん」という声に、同意して「うんうんわたしも」とうなづいてました。

最後、紫の帯がシュルシュルとほどけてゆく。人に引っ張られて、というのはよくありますが、一人でそれを演じられるのです。これ、密かにすごい技術ではないかと思いました。帯がどんどんとかれて、え、まさか、まさか、、、きゃー(絶句)でした。写真は自粛。。。

 

 

小龍優さん(劇団新)「戻り橋暮色」@鈴成り座 2016.12.14 夜の部

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予感

「小龍優オンパレード」のオープニングがこの曲でした。「戻り橋」セットの背景に、ベンチに腰掛けた小龍優さんが、冒頭の語りの部分を自らの声で語り、舞踊へ。

大衆演劇の舞踊ショーの定番曲の1つで、とても好きな歌です。女性で、しかも十代の優さんが踊られるのが、とても新鮮で、、、大人の女性が人生の悲哀を醸し出すそれとはまた違った、瑞々しさ、潔さ。

優さんの舞踊は、一目で惹きつけられました。筋が通った所作に、胸がすくような、気持ちのよい舞踊。「まだまだやりたいことがあるの!」という気概が、ひしひしと伝わってくるような、楽しい予感が湧くのです。何日か通って見せてもらった中で、どれか1つなんて選べないのですが、すぐに浮かんだのがこの舞踊だったので。。。

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劇団新さん、また関西に来られる可能性大とのことで、楽しみですー。

 

 

最後に、、、子役さんの舞踊から

媛野瑚南さん(まな美座)「江戸の闇太郎」@新吉宗劇場 2016.8.18 夜の部

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律儀さ

この方の舞踊にも一目惚れでした。こどもらしい、この歳にしかできない、素直でまっすぐな舞踊。旅の一座の子らがこうして1つ1つ教わってきただろうことを、思馳せられます。

踊っている瑚南さんの頭の中が透けて見えるよう・・・なんていうと、怒られそうですが、これはいい意味で、そう思うのです。見よう見真似で身体が勝手に動く、というのではなく、お師匠さんから教わったであろう「お手本」が、ちゃんと頭の中にあって、それと身体がつながっての踊りだと、思うのです。

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一心不乱に踊られるのですが、客席を見ていないわけではない。その距離感も、爽やかで。堂にいった「闇太郎」でした。

 

付記 その日その時自分だけの体験 でも

大衆演劇のこんなところが素敵なんですよ、見てもらいたいな、という思いから、舞台の様子が少しでも伝えられるよう、一所懸命書いているのですが、一方で、それとは矛盾していることーーここに綴る"感想"は、どこまでいっても個人的で、その日その場所、その時の自分の目を通して受けたものでしかない、ということ。。。

ひとの数だけ、その人だけの体験がある。その、それぞれの胸のうちにある体験の呼び水としてもらえたら、これほど嬉しいことはなく、願いながら書き置きます。 

しかし、上記6つに、"袴"や股旅が1本もないとは・・・偏りが半端ないですね^^;(頭取の"忠治"が見られなかったのが超悔しい~来年こそ)


と、ひとまずアップ、2016年振り返り、まだまだ続きますーー

 

 

 

 

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