chomoku

"大衆演劇が在る状態"が好きなので

劇団荒城 真吾八番勝負の日@浅草木馬館 2017年10月26日 お芝居「隊逝きて」

10月。劇団荒城の木馬館公演では1回公演でお芝居を2本上演されるという情報がネットに上がっていたのを見つけました。

f:id:chomoku:20171210093239j:plain

1日で4本もお芝居が見られるってこと?!」

こんなまたとないチャンス。思い切って日帰りで東京へ行くことにしました。いつ行くか(行けるか)悩みに悩んで、ギリギリ26日に決行。

お上りさんなのでこの幟を見ただけでテンション急上昇〜

f:id:chomoku:20171210085941j:plain

貼り出されたお外題一覧。終了したものに「×」が書かれています。

f:id:chomoku:20171210085926j:plain

壮観です

 

10月26日 「真吾八番勝負」の日の演目:

f:id:chomoku:20171210085908j:plain

お芝居三昧(四味?)とはこのことか。すんごい楽しかった。。。

昼の部 前狂言「鎌太郎仁義」ーー 王道の股旅もの
昼の部 切狂言「赤垣源蔵」ーー 忠臣蔵外伝 定番の武士もの
夜の部 前狂言「二つの顔を持つ男」ーー 笑いあり涙ありの異色の剣劇

そして最後、夜の部切狂言「隊逝きて」。

狂言なので長めのお芝居と思いきや「30分ほどのお芝居です。時間は短いですが、言いたいことが詰まっています」と、真吾座長が口上で言われました。

あらすじ

時は幕末、会津白虎隊の話。食料調達のために隊を離れた士中二番隊隊長 日向内記(ひゅうがないき)。 その間、少年兵たちは自ら動いてしまい、飯盛山から鶴ヶ城に火が上がるのを見て、城が落ちたと思い自決する。残された日向は・・・

 

舞台模様 断片

休憩時間。劇場内に流れるBGMが、ロック調の曲から詩吟に変わりました。何と詠われているのかはほとんど聞き取れないのですが、とても重い内容な気がして 「もしかしてもうお芝居に入ってる?」と、思った次の瞬間、開演を告げるブザーが。

ブーーーーー・・・

この時のこのブザーの音が、とても厳かに感じたんです。まるで大きな笛の音のような・・・

幕があくと、舞台は真っ暗。荒城真吾さん演じる日向内記が下手に座り、上手にいる一人の侍が、会津藩主からの伝文を日向に告げるところから始まります。

ネタバレを避けようと思うとなかなか書けないのですが、日向がこの後どう行動するかが、描かれたお芝居でした。

 

わたしのような白虎隊の知識の乏しい者でも楽しめました(悲劇なのですが)。

 

劇団荒城の芝居に対する凄まじい執念。

日向が板に突っ伏すれば、そのまま板に沈んでいきそうなのです。

白虎隊がザックザックと進む方向は、舞台袖を越えてとてつもない遠くに行ってしまいそうなのです。

最後には、鮮やかな1枚の絵のようなシーンが、待っていました(涙腺崩壊)。

後から教えてもらって知ったのですが、投光器を使わない演出だったと。ああ、だから最後のシーンの時だけ、パッと輝度が上がって、鮮やかな1枚の絵に見えたんやなあ、、、と思いました。

最後の音楽も、あかんやつで。。。ベタといえばベタなんですが、もうこれしかなかろうみたいな選曲(涙腺再崩壊)。

 

「知識がなくても楽しめる」ように

先日、ある座長さんから、古典や名作のお芝居を立てる際に大切にしていることを教えていただきました。「どんな複雑な物語であってもキモは1つか2つ。それを一番に考える。そこを外さなければおおよそ大丈夫なんです」と。

つまり、史実や時代背景、プロットの描写は大事だけれど、縛られすぎたり、それが先行するのは違う、ということかと、理解しました。

「隊逝きて」でいうと「どんな時も生きる」こと、でしょうか。

「30分の中に言いたいことがすべて詰まっている」

まさにこの言葉通りのお芝居でした。

  

 

f:id:chomoku:20171210100653j:plain

浅草木馬館の英語チラシとビギナーズラックでゲットした大入りのティッシュにテンション猛烈アップ

 

夜の部を待つ間、ちょこっと散歩 舞台衣装屋さんのディスプレイの「南無妙法蓮華経」の着物に目がハートマークになったりと

f:id:chomoku:20171210102814j:plain

 欲しいものがいっぱい

f:id:chomoku:20171210103611j:plain

お上りさんにとって夢のような浅草の1日
ああまた行きたいなあ〜


 

 

里見劇団進明座 里見要次郎総座長二役演じる「お里沢市」@朝日劇場 2017年11月12日夜の部

11月12日、要ちゃんコール@盛和塾大阪あきんど祭りin高津宮

f:id:chomoku:20171209061204j:plain

・・・の、興奮冷めやらぬまま、朝日劇場夜の部へ。

お芝居「お里沢市」は里見要次郎総座長の十八番狂言とのことで、もうもう、めちゃめちゃ面白かった!!です。 

f:id:chomoku:20171209061701j:plain


歌舞伎や浄瑠璃で演じられる「壺坂霊験記」大衆演劇版(かな?)
古典の良いムード漂う喜劇。
里見劇団では「総座長の祖父の代から演っているお芝居」とのことでした。

あらすじ(冒頭のみ)

 お里(里見直樹座長)と沢市(里見要次郎総座長)は仲の良い夫婦。お里は目の見えない沢市をいたわり、沢市もお里を慈しみ、貧しいながらも幸せに暮らしていた。

ヤクザ男・雁九郎(要次郎総座長二役)。お里にぞっこん惚れており、借金を払ってやった代わりに、俺の女になれと迫る。「いやなら金返せ」お里は仕方なく、雁九郎の意のままになるという。

「暮れ六つの鐘がなったら迎えに来るからな」ーー

雁九郎が帰ると入れ違いに沢市が帰ってくる。沢市に事情を話すお里。沢市は我が身の不甲斐なさを詫びるが、お里はそんなことは百も承知で一緒になったんだと言う。夫婦の愛は揺るがない。
「もう少ししたら、雁九郎はんが来るわいな・・・来た!隠れるわいな」
沢市を押入れに隠すお里。雁九郎が嬉しそうにやってくる・・・

 

「1秒で出てくるのよ」ーー神様?要次郎様?圧巻の早着替え! 

びっくりしたのは雁九郎と沢市の二役演じる里見要次郎総座長の超絶早着替え。

「1秒で出てくるのよ」ファンの方から聞いたとき、嘘やと思いました。

が、ほんまでした。

沢市が隠れたかと思うと、雁九郎が花道から現れる。雁九郎が客席を走り抜けて出て行ったかと思うと、次の瞬間、舞台上の襖を開けて沢市が登場。この間、わずか1、2秒?もう魔法としか思えない。それがなんどもなんども、しかもどんどん早くなるので、興奮しすぎて変になりそうでした(なってました)。

着物や鬘だけではなく、声のトーンもキャラもガラッと変えないといけないので、めちゃめちゃ大変なんではと思います。 

f:id:chomoku:20171209061248j:plain

さわいっつあんの扮装の要次郎総座長
 

途中、雁九郎が沢市の鬘をつけて出てきて「鬘が違うわいなあ」と追い返されたりする、種明し的な笑いを取るのも忘れない総座長。

以前、歌舞伎役者の方が「早着替えで(完璧にできるところを)わざと着替えた跡を見せる」と語られたのを何かで読んで、なるほど〜と思ったことを思い出しました。
 

二役の救い

素行が悪いとはいえ、お里にぞっこんで一所懸命の雁九郎を、悪人に思えない。まして要次郎さん演じる雁九郎があまりにも魅力的なので、余計に。

最後、雁九郎にとっては悲劇、、なので、胸が痛むのですが、沢市と同一人物が演じていることによって軽減されると言いましょうか、雁九郎が沢市に溶け込んで二人ともハッピーになったんだ、なんて思いました。それはきっと二役でなければ生まれない、救いのイメージ。。。なんですよね。。 

f:id:chomoku:20171209061514j:plain 

「気をつけて帰ってくだしゃんせ」 

「雁九郎さん。気をつけて帰ってくだしゃんせ」ーー

お里の言葉に、雁九郎は感動して言います。

「この俺にそんなこと言ってくれるのか。お前のそういうところに惚れちまったのかもしれねえなあ。他の女はそんなこと言わない。金のあるときは寄ってもくるが、そうじゃなけりゃあ冷たいもんだ」

これは第1場で雁九郎が去る前のちょっとしたやりとりなのですが、ジーンとしました。お里と雁九郎、それぞれ人となりを想像させられる、心に残るセリフでした。 

f:id:chomoku:20171209061346j:plain

お里役 里見直樹座長

 

第3部舞踊ショーより 

f:id:chomoku:20171209064645j:plain
かわい〜楽し〜 

 

終演後口上で「俺、今日めっちゃ働いた…」とつぶやく要次郎総座長に、笑いながらもジーンとして、叫ばずにおれませんでした。

「要ちゃん!さいこう!!」

f:id:chomoku:20171209061551j:plain

 

 

 

春陽座「殺陣師一代 市川段平」@千鳥劇場2017年10月7日

お昼1回のみの上演。2時間近く、休憩なしの通し狂言でした。

f:id:chomoku:20171207082249j:plain

お芝居終了後の舞台口上 沢田正二郎役の澤村心座長

 

お芝居の概要と配役

「リアリズムが入った”殺陣”が欲しい」—— 稀代の俳優・澤田正二郎に言われ、段平は考え続ける・・・昭和初期の新国劇で殺陣師として活躍した人物を描いた芸道劇。
1幕4景、1時間55分。

  • 市川段平 澤村新吾
  • 市川段平の娘 絹代 澤村かな
  • 劇場主 大谷社長夫人 北条真緒
  • 座員 板倉  澤村かずま
  • 座員 島田  澤村京弥
  • 座員 辰巳  澤村拓馬
  • 座員 久松  澤村みさと
  • 座員 長谷川 澤村みき
  • 座員 倉橋  松田勝則(ゲスト)
  • 澤田正二郎  澤村心

 

第2場面の、段平が亡くなった妻への思いを語る独白部分。20分超え、、、この時、客席にすこーしダレる感じが見られたのですが、第4場、段平が沢田正二郎新国劇の役者たちに「国定忠治」の最期の立ち回りをつける大詰めから、そんな途中のゆるみも一気に払拭。

舞台も客席も全員ただ一点、段平の一挙手一投足を見つめる、凄まじい30分(こっからまだ30分!!)の始まりでした。
 

f:id:chomoku:20171207082602j:plain

市川段平役 澤村新吾 劇団責任者

 

それは映画でいうところの、ノーカットの長回しで、見ているようで、、、
タルコフスキーの映画「ノスタルジー」が頭に浮かぶ

実に生々しい「殺陣指導」だった。

「上手に流れてから、忠治を囲んで3回、ぐるぐるっと回る」
「板倉はん、怪我せんように飛んでおくんなはれや」
「ここで、縄を打ってくる!」

1つ1つの指示がすごくわかりやすい。
まるで座員の一人にでもなって覚えるつもりで笑、段平の最期の殺陣に見入りました。

 

「演技を通り越して本気で泣いてました」
終演後、送り出しの時、段平の娘役のかなさんがホッとした表情で、笑いながら仰いました。

f:id:chomoku:20171207082453j:plain

澤村かなさん

 

もう1つ。忘れられないのが、立ち回りをつけながら何度も倒れる段平に向かって、かずま座長が「段平さん!」ではなく「せんせいっ!!」と叫んだことです。この声で完全に頭ん中が飛び、身体が熱くなりました。

f:id:chomoku:20171207082415j:plain

澤村かずま座長

 

段平が倒れるのは演技なのか、「澤村新吾」が倒れているのではないか?

段平の流す涙は、段平の涙ではなく、「澤村新吾」が泣いているのではないか?

劇中の新国劇の団員が、必死で段平の殺陣についていく姿は、演技ではなく、劇団指導者の演技を必死で覚えようとしている座員の姿ではないか?

前日の稽古の場面に巻き戻っているのではないか?とさえ思えて。

このお芝居のテーマが「リアリズムの追求」。

そこに、、、これはわたしの勝手な想像ですが、、、演じている劇団、役者一人一人が背負っている現実=リアルが重なるからこそ、段平や沢田が、この世に確かに存在した人たちなんだと思えてくる。

役どころを越えて「せんせい!」と叫ぶところにこそ、揺さぶられる。作り物でない、身体と心を張ったリアルなお芝居が、こころに焼き付いて離れません。

 

f:id:chomoku:20171207082904j:plain

澤村京弥さん

 

f:id:chomoku:20171207082924j:plain

澤村みさとさん

 

f:id:chomoku:20171207083108j:plain

澤村拓馬さん

 

f:id:chomoku:20171207083317j:plain

澤村みきさん

 

f:id:chomoku:20171207084235j:plain

澤村心座長 

 

「寒くなりましたね。皆さまお風邪など召されていませんか・・・」

「段平」から1ヶ月後、11月のオーエス劇場。
開演前に流れる、新吾さんのアナウンスに、客席がいっぺんに和みます。

劇場の前に自転車が並び、客席は芝居好きでいっぱいに。なんだか昔に時間が巻き戻ったのを見ているようで、嬉しくてたまらかった1か月間でした。

 

f:id:chomoku:20171207084531j:plain

 

 

「股旅物」の精神、作者の真実、月見草 長谷川伸「石瓦混淆」より

"私が股旅物を書くのは、表現の一つの方法として書くのである。要は股旅物にあるのではない。その中に流れている精神である。これを履き違える時、其処には単なる一個の武勇伝が出来上がるに過ぎない。…形に捉われるのは一番いけないことである。"

"嘘のないものは書けるが、真実は絶対に書けない。書けるのは、ただ、作者の真実だけである。
史実を全然知らずに書くのは出鱈目であるが、しかし事実は究めがたい。史記に残されているものなども、調べてみると誇張や嘘が随分多い。一応の事実を知っていて、これに自分の解釈を加え、精神を吹き込んで、嘘を書くがいい。作品から云えばこれが真実になるのである。"

"中里介山氏の『大菩薩峠』に、月見草の花が出るが、その時代の日本には月見草などは無かったと学者が云う。けれどもあの場合、月見草以外に何の花を咲かせたらいいのだろう。"

長谷川伸「石瓦混淆」より(中公文庫)

 

2017年11月の感謝観劇

今月もたっぷりどっぷり旅芝居の日々
ただただありがとうございます

  • 春陽座@オーエス劇場
    「父子丁半」「平手造酒」「古里の兄」「質屋の娘」
    伍代孝雄さんゲスト「人生回り舞台」「忠治と由蔵」
    三河家諒さんゲスト「不知火お藤」「小鉄女房」「へちまの花」
    澤村心座長誕生日公演「稲葉小僧の新助」
  • 近江飛龍劇団@羅い舞座堺東店
    「ゲロ松お千」「弥太郎笠」
    「愛の終着駅」特別ショー「水龍太鼓」
  • 森川劇団@浪速クラブ「海猫の恋」
    一代新之助祭り「振袖吉五郎」 歌って踊る「俵星玄蕃
  • 桐生座恋川劇団@羅い舞座京橋劇場
    「新・座頭市物語 子守唄」「雪散華」
  • 嵐山瞳太郎劇団@梅南座
    「望郷」「古里の兄」ゲストとくたろうさん
  • 劇団輝@遊楽館「居酒屋物語」「金太初旅」
  • 里見劇団進明座@朝日劇場「お里沢市」「駿河夢芝居」
    要次郎歌舞喜「義経千本桜狐忠信」
  • 劇団十六夜@高槻千鳥劇場「滝の白糸」
  • 橘小竜丸劇団@ユーユーカイカン「吉良仁吉」
  • 劇団鯱@琵琶湖座「バテレン鬼十郎」
  • 都若丸劇団@明生座「助っ人仁義」
  • 優伎座@弁天座「甲州三人男」
    ゲスト浅井海斗座長・浅井春道さん・浅井ひかりさん
  • 第1回盛和塾大阪あきんど祭り・大衆演劇ステージ
    山根演芸社社長山根大さんトークと里見劇団進明座による奉納舞

 

f:id:chomoku:20171201030809j:plain

近江飛龍座長「山谷ブルース」@羅い舞座堺東店
 

f:id:chomoku:20171128115726j:plain

里見劇団進明座 要次郎歌舞喜「義経千本桜狐忠信」@朝日劇

f:id:chomoku:20171128120813j:plain

森川劇団 一代新之助さん歌って踊る「俵星玄蕃」@浪速クラブ

f:id:chomoku:20171128121148j:plain

春陽座 澤村かずま座長 ミニショー「忠治山形屋」@オーエス劇場

 

f:id:chomoku:20171128121352j:plain

f:id:chomoku:20171201030732j:plain

優伎座 市川静乃さんラスト舞踊「夜叉ケ池」@弁天座

f:id:chomoku:20171128121749j:plain

 劇団輝ラスト舞踊「お江戸はカーニバル」@遊楽館

 

 

Copyright © chomoku All Right Reserved.