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"大衆演劇が在る状態"が好きなので

江戸の朝霧のもやもや

「江戸の朝霧」は、いろいろな劇団さんで演じられている、大衆演劇の定番の時代任侠劇です。

主人公は侠客としてまだ駆け出しの"二代目"。古参の親分からいちゃもんをつけられ額を割られ子分を斬られ縄張りは奪われ…と、散々な目に合わされるも、忍の一字で耐え忍び、男修行の旅に出て"一人前"になって帰ってきてから仕返しを果たす…というのが、大まかな流れでしょうか。

あくまで好みなのですが、わたしには積極的に見たい気持ちが湧かない方のお外題です。が、何度か見るうちに、見るポイントがわかってきて、幾分か自分なりの楽しみ方ができるようにもなりました。ある劇団さんの「江戸の朝霧」で、なぜ江戸の朝霧と言うのかもわかり、だいぶすっきりもしました。

先日、その「江戸の朝霧」に当たり、見ました。

「悪い親分」役を演じられた座長。芸達者で、演技が実に細やか。眉のひそめ方1つとっても格好良く、歩き方や肩の張り方で、腹黒さや嫌味な感じを自在に表現され、とても魅せられました。座長以外の出演者の方がたも全員、緊張感のある演技でした。しかし、物語全体では、ツメの甘さなのか、表層的な感じがして、個々の細かい演技で魅せられても、心の奥のところまでは動かされないまま、幕となり。音響の状態が良くなかったのか、セリフが総じて聞き取りにくかったことも大きかったかも。

今回の劇団さんの舞台は、これまでも幾度と見ました。演技の細部にこだわりが詰まっていて、すごい!と思うところが多いのですが、"お芝居"としてどうかと問えば、こたびの「江戸の朝霧」同様、もう一歩、、、何かが足りない印象が常に残ります。舞台への強い情熱を感じられる方々だけに、もやもや。。まるで朝霧のように。

しかし、第2部の舞踊ショーが始まると、格好良さ、見せ方にゾクゾク。扇の扱い、腰の動き、目線。古典ものから激しい動きのポップスまでカンペキ。もや〜としていた気持ちは、あっという間に霧散。うーん楽しいぜ、困ったぜ。。。

芝居小屋の客席で一人もやもやしたりニタニタしたり、楽しさと葛藤が続きます。

 

 

神様みたいなお客様 


「お客様は神様です」
この言葉のそもそもの意味から、ちょっと飛躍した使われ方・・・
「金を払とるんやから客の言うことを聞け」みたいな、ゴネ客の常套句にも使われてしまう昨今ですが。
ありがたいことに、大衆演劇の劇場の客席には、神様みたいなお客さんがおわします。

ある日の劇場での出来事。
舞踊ショーの最中に「あれ、○○君が出てこうへんわ。やっぱり噂は・・・」と言いかけた人を制して、「まあまあ。こういう時は黙って見といたるもんやで」と言われた方がありました。

その方は、よく大阪市内の劇場でお見かけするベテランファンの女性、特定の劇団のファンというより、大衆演劇ファンで、とにかくお芝居とショーを見るのが日課にされているような。普段着の着物をさらっと召され草履でパタパタ、両手に「応援グッズ」ーーピカピカ光るペンライトと鳴り物を持って、幕開けの音楽がかかると同時に「よっ」と手拍子、終始ニコニコ顔で観劇しはります。

やや抑えたハンチョウ、渋いかけ声。この方がおられたら劇場じゅうが和みます。

前述の「こういう時は黙って見といたるもんや」には、思わず手を合わせたくなりました。

「見といたる」には「また来るよ、ずっと見てるよ」の意味も含まれているから・・・

 

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さて、神様みたいなお客様は、とある地下街の歌のコンテストにもおわしました。

このコンテスト、審査基準がちょっと変わってまして、歌唱の技巧よりその人の持ち味で入賞が決まるのです。「なんかグッときた」みたいな。わたし自身、かれこれ3年以上関わっているのですが、いまだに言葉にできません。

そのコンテストのある回のことです。
初出場の若い男性がステージに出てこられました。緊張しておられるのか、歌い出しで詰まってしまい、歌い直そうとしてまた詰まり、ちょっと進んでまた詰まり、、、と、レコードの針が飛んだみたいに、なってしまいました。

通常の歌唱を競うコンテストならば、鐘1つ「カーン」で終了させられるところ、このコンテストは違いました。いや、このコンテストのお客さんは違いました。

みな、彼が詰まった先を歌い出すのを固唾を飲んで待っているのです。
(頑張れ)(聞いているよ)そんな声が聞こえてきそうな、光景でした。

それで思ったのです。

「ステージをステージとして成立させるのは客なのだ」と。

彼の歌は、技巧的には上手いものではありませんでした。それが、一所懸命聞こうとする人がいることで、少しずつ「歌」になり、羽ばたいてゆく・・・それは今なお忘れがたい奇跡のような5分間。審査員の1人Kさんは「歌が生まれる瞬間に携わったような気がした」と評されました。

パフォーマンスをパフォーマンスたらしめるのは、演者の力はもちろんですが、お客さんの力でもあるということを、目の当たりにした思いでした。

 

「劇団と運営側とお客。この3つが協力して初めて最高の舞台ができると思っています」

筑豊國太郎頭取を偲ぶ会の記事にも書いた、東海健康センターのKさんの言葉を、また思い出しています。

舞台にも、舞台裏にも、客席にも、劇場の周辺にも神様みたいな方がおられるので、観劇はやめられない。。。半分言い訳ですが^^;心底そう思っているのです。

 

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2017年9月の感謝観劇

台風が来たり 仕事で煮詰まってたりで 諦めた日が幾日か
観たかったお外題が通り過ぎ・・またいつか会えますよう

  • 劇団あやめ@此花演劇館
    「人情春雨傘」「ちんさぐぬ花」「下北の弥太郎」
  • たつみ演劇BOX@新開地劇場
    「春雨新五郎」「恋の高岡」「丹下左膳」「迷子札」
  • 鳳凰座@浪速クラブ「夫婦坂」「お蝶の最期」
  • 長谷川武弥劇団@明石ほんまち三白館「平公の恋」
  • 浪花劇団@オーエス劇場
    「一本刀土俵入り」「花と剣」「大江戸裏話〜三人芝居」
  • 劇団悠@羅い舞座酒井駅前店「化け猫」
  • 橘劇団@羅い舞座京橋劇場 逢春座・浅井劇団合同公演
    「上州つむじ風」ゲスト伍代孝雄さん
  • 三河家劇団@がんこ座「マリア観音
  • 第6回なでしこ会公演@朝日劇場(下座:劇団大川・劇団美川)
    三河家諒さん構成演出主演「出世の鼻」
  • 座KANSAI@明生座「堅気に戻れなかった男」
    KANGEKIまちに飛び出す旅役者シリーズ コリアンタウン・御幸森天神ロケ
  • 都若丸劇団@梅田呉服座「花散る方へ」

 

 

 

2017年8月の感謝観劇

暑かったです(当たり前ですが^^;)

  • 嵐山瞳太郎劇団@オーエス劇場
    「木曽節音次郎」「三公と棟梁」梅澤秀峰さんゲスト
    「若き日の森の石松」嵐山瞳太郎座長誕生日公演
  • 劇団あやめ@がんこ座
    「夏祭お七しぐれ」
     咲之阿国祭り「四谷怪談」
  • 澤村慎太郎劇団@羅い舞座堺駅前店
    「長脇差と草鞋と三度笠」
  • 一見劇団@浪速クラブ
    「人生夢芝居」「駕籠の鳥」
    「幡随院長兵衛」「祭りの夜」
     沢村菊乃助座長ゲスト
    「遊侠三代」玄海竜二会頭ゲスト
    「明治一代女」
  • 劇団武る@鈴成り座
    「紅とかげ」沢田ひろしさんゲスト
  • 劇団寿@九条笑楽座
    「三日月懺悔」つばさ準之助祭り・劇団つばさ合同公演
    「杵屋駒吉三味線仁義」
  • 劇団暁@ユーユーカイカン
    「上州土産百両首」
    「湯島の白梅」
  • 筑紫桃太郎一座花の三兄弟@東海健康センター
    筑豊國太郎頭取を偲ぶ会

 

8月は
りんくうタウンと九条で興奮
東海エリアで胸熱
山王でさわやかシックス

でした。

勢い、インディペンデント、ロック、昭和の匂い。

懐古趣味じゃない
魂こもった丁寧な芸による
夢の世界はいつだって
色褪せることはない

東海の方が言っておられたように
舞台の上の役者さんと
舞台の後ろの劇場・センターさんと
舞台の前のお客さん
三者が魂を入れて初めて
夢の世界が見られるのだと思う
 

できれば"メディア"もそこに加わりたい。。。

夢です

 

 

参加させてもらいました:筑豊國太郎頭取を偲ぶ会@東海健康センター 2017年8月17日

8月17日午後3時、東海健康センターに向かって車で出発。お盆休みの混雑も落ち着いているだろうと思い込んで出たら大渋滞。がーん。そのためショーには大幅遅刻。。まあ半分は観られたからよかったとしましょう。。

 

初めての平針東海健康センター。 

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大宴会場はお客様いっぱい。

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 熱心に見るひとひと、拍手、手拍子、かけ声。すんごいいいムード。

テーブルにはビールや食べ物が並んでいる宴会場なのだけど、舞踊ショーの間は客電が落とされているので、視界に入らず、舞台に集中出来ます。 

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リラックスしつつ、みんなで舞台を見守り、芸に感嘆する。

変な連想かもですが、、、昔も昔まだ10代の頃、北海道へ渡るときに乗った、青函連絡船の二等船室を思い出しました。

青函連絡船が港に着くまでの一晩、客室に居合わせた者の間に生まれる連帯感と、舞台を一丸となって盛り上げようとする客席が、重なって。

いっぺんにこのセンターが好きになってしまいました。

 

 

筑豊國太郎頭取を偲ぶ会」

東海健康センターでは、毎月公演されている劇団さんとの交流会を開いておられるそうで、今回は特別にこういう形でとのこと。当初は40人くらいを想定されていたそうですが、増えに増えて60人くらいの参加者に。

席に着く前に頭取にお参り。

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写真は昨年12月のオーエス劇場の時のものだそう。
うんうん、この服着てトークしてくれはりましたね…

 

いつもの交流会では「乾杯」するところ、今回は「献杯」。

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素顔も男前三兄弟さんですが一応すっぴんなので写真はこれくらいの引きでご容赦^^

この先は、いつも通りの「交流会」に。正直「偲ぶ会」として何か語らいでもあるかと思ったので、やや拍子抜けしたのですが、、、でも、来てよかった。

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亡くなった人が生きている人にしてくれる、もっとも大きなことは、生きている人と人、それも、その人がいなかったら出会うことがなかっただろう人と人を出会わせてくれることだと、思う。

これまでの人生、たくさんの悲しい別れから、新しい出会いをたくさんもらってきました。

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さらに大衆演劇では「賑やかにするのが供養」という感じでしょうか、悲しい心を抱えながらも、追善公演が開かれ、お芝居を演じ、踊り、笑う。んです。

 

わたしも神妙にしていたのは始めのうちだけ、あとはテーブルで一緒になった方としゃべり、ビンゴゲームにジャンケン大会、目指せ豪華景品ゲット!と、すっかりノリノリで参加してしまいました^^;

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初めての交流会、1人で行っても大丈夫だろうか?浮いたりしないかな?と、ドキドキもので来たのですが、すっと馴染めて、会話に入れてもらえてありがたかったです。

 

 

「劇団と運営側とお客。この3つが協力して初めて最高の舞台ができると思っています」

この会を仕切っておられた、東海健康センターのKさんの言葉です。

大衆演劇はすごい文化ですよ。後世に残したい技や芸がいっぱい詰まっている」とおっしゃるKさんに、「ですよね!ですよね!」と力いっぱい相槌を打ち。

大衆演劇を盛り上げたくて、いろいろ企画を続けて来られたそう。以前はプロレスラーとのコラボも!見たかった〜。

「ここにいる1ヶ月間、役者さんがベストな状態で舞台に立てるようにすることが、会場を預かる者の役割と思うと、Kさん。

地域にも馴染んでもらいたいと、地域の方に引き合わせたりも。役者さんが「このセンターに来てよかった。もう一度来たい」と思ってもらいたいから・・・と。

なるほど、そういう取り組みを経て、あの会場の盛り上がりがあり、この打ち解け度100%の交流会があるのだなあと納得しました。

 

このパネルはスタッフの方によるものだそうです。

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筑紫桃太郎一座のみなさんがこちらで公演されたのは7年前とのことですから、写真は7年前のもの。

大切に保存されていらっしゃったんだなあ。

待っておられたんだなあ。。。

そう思うと、涙がこぼれます。

 

わたしも。。今年1度、頭取にお話を伺いたいとお願いしたところ、快く応じてくださり、教えてくださったこと、忘れません。

筑豊國太郎頭取に、何か出来ることはないだろうかと、、、そんなこと全くの自己満足ですが、、偲ぶ会に混ぜてもらいたくて、強行でやってきた。

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偲ぶ会がなければ、来ることがなかったかもしれないこの場所で、思いがけず良い出会いをもらえて、少しでも劇団のみなさんのお話も聞けて、ありがたかったです。

帰りもやや渋滞気味でしたが、辛さを感じませんでした。

 

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